看護師のマスクはコミュニケーションの妨げに




コミュニケーション

マスク姿の看護師が
増えてきているのだが……

取材などで医療現場を訪れる際に、いつも気になることの一つが、看護師さんたちが着用している「マスク」です。

最近は、医療スタッフだけでなく、受付や事務系の方々がマスクを着用している姿もよく目にします。なかには、顔の半分以上がマスクで隠れてしまっているスタッフもいますが、看護師のあなたは、看護の現場で日常的にマスクを着用しているでしょうか。

「着用している」とおっしゃるあなた、患者や家族とのかかわり、とりわけコミュニケーションに、そのマスクが妨げになっていると感じたことはないでしょうか。

一方で、「できるだけ着用しないようにしている」というあなた、その理由は?
また、自らが患者から感染を受けるリスクが高まることへの懸念はありませんか?
そして、そのリスクへのご自身の対策は?

マスクは院内感染対策、
特に飛沫感染予防に必須

看護師ら医療スタッフが臨床でマスクを着用する基準のおおもとは、厚生労働省の研究班が2016(平成28)年に作成した『医療機関における院内感染対策マニュアル作成のための手引』に「標準予防策」の1つとして明記されています。

そこでは、感染源の有る無しにかかわらず、「目・鼻・口の粘膜に体液などによる汚染が予測される場合」は、すべての患者の医療処置やケアを行う際に、マスクの着用を徹底することを奨励しています。

これは、患者側の飛沫による自らの職業感染を防ぐためだけではありません。
看護師ら医療スタッフ自らが、咳やくしゃみなどを介して、患者側にインフルエンザウイルスなどを飛散させる、つまり病原菌の運び屋になるリスクを避ける目的もあります。

職業感染や院内感染対策を重視すると、看護師さんのマスク着用は欠かせないようです。
とはいえ、患者とのコミュニケーションの観点から、マスクだけに頼らない対策に力を入れている施設もあり、検討の余地はあるように思うのですが、いかがでしょう。

患者とのかかわりを重視し
マスクの着用を極力減らす

マスクの着用には、着用している側の表情を隠してしまうという弊害があります。
そのため、マスクを着用して患者にかかわるときは、
「アイコンタクトをフルに活用して、不安や不快感を与えないようにする」
など、看護師さん側の工夫が求められることになります。

その目元の表情をより豊かにするためにと、目元ケアに力を入れている看護師さんも少なくない、という話も時々耳にします。
努力しておられることはわかりますが、それだけでは十分とはいえません。

特に配慮が求められる聴覚障害者や高齢者

たとえば音声情報をキャッチしにくいために、口の動きから形を読み取ってコミュニケーションを図っている聴覚障害のある患者もいます。
→ 口元が隠れるマスクで悩まされている人たち

彼らにとって看護師さんの口元を完全に覆い隠してしまうマスクは、コミュニケーション上の大きなバリアになってしまいます。

超高齢社会のこの国にあっては、いわゆる老人性(加齢性)の難聴により「聞きとり」に支障のある高齢患者は少なくありません。

このような方にとって、看護師さんら医療スタッフのマスク着用によるくぐもった声は、コミュニケーションの大きな妨げとなるでしょう。

これらの弊害を考慮して、外来や相談窓口などを中心に、インフルエンザの流行時期など感染リスクが高い場合は例外として、通常はスタッフのマスク着用をできるだけ禁止している医療機関もあると聞いています。

感染予防策として
免疫力を高める努力も

少し前に、看護師さんのマスク着用を極力減らす方針をとっている看護師長さんを取材させていただいたことがあります。

その時の話では、マスク着用の弊害を理解したうえで、ケア場面においてマスクの着用を極力減らすことにスタッフ間の合意が得られるようにカンファレンスを重ねたといいます。

併せて、手洗いやうがいの励行に加え、規則正しい生活を心がけるように日々指導しているとも。とりわけ腸内環境を整えて免疫力を高める生活を心がけるように話しているとも。

からだの免疫力が低下すると、皮膚表面や粘膜の免疫力も低下します。
そのためウイルスや細菌のような外敵から皮膚や粘膜をガードする力が弱まり、感染を受けやすくなったり、感染を悪化させることにもつながりがちです。

免疫細胞の7割が集まる腸内の環境を整える

そこで、腸内環境を整えて免疫力を高める生活をするようにという話になるわけです。

なんといっても私たちの腸管には、身体全体の免疫細胞の約70%が集まっています。
この、腸内にある免疫細胞の一つひとつが本来の働きを存分に発揮できるように腸内環境を健康な状態に保つことにより、免疫力の維持・アップにつながると考えられているのです。

具体的には、手軽な乳酸菌系飲料として、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性増加が確認されている明治ヨーグルトR-1 カルピス 守る働く乳酸菌 L-92、チーズ類などを、毎日コンスタントに摂ることにより、善玉菌の代表である乳酸菌を増やすこと。

また、とかく出来合いの食事になりがちな点を考え、スタッフには、ミネラルやビタミン類を豊富に含む食事を心がけるように話していると、語ってくれました。

感染リスクの高い場合を除き
笑顔の見える「透明マスク」を

看護師さんのマスクの着用は、院内感染の防止だけでなく、自身の健康を守るためにも、「全面的にやめよう」というわけにはいかないでしょう。

特にがん患者が急増し、抗がん剤による治療が頻繁に行われているような医療現場にあっては、ドレーン管理や点滴時などにおける抗がん剤の曝露防護策としてマスクが必要になることも増えてきています。

そこで最近推奨されているのが、口元も表情も見える「透明マスク」です。
レストランやホテルなどでの需要にこたえて開発されたものですが、最近は医療現場でも使われるようになっているようです。

そのひとつ「ム-ヴ・オン 透明衛生マスク マスクリアベーシック は、使われている透明フィルムが息で曇らないように防曇処理もされています。コスト削減のために、専用の除菌・消毒液で洗浄すれば繰り返し使用できるようにもなっています。交換フィルムをまとめて購入しておけば、より経済的です。⇒マスクリア ベーシック専用交換フィルム (5枚入)

手術室内や感染症対策としてN95マスクが必須とされるような場合は例外として、外来や相談業務などで試してみる価値はあると思うのですが、いかがでしょうか。

あるいは、看護の立場からマスクに求めることを反映できるように、看護師さんサイドからマスク業者に透明マスクのような新製品の開発を提案して、「現場の看護師さんが考案したマスク」のようなキャッチフレーズ付きのマスクが登場したらいいのにな、などと考えたりもしています。どなたか挑戦されてはいかがでしょう。