VRで認知症を疑似体験してみませんか

VR体験

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VR装置を活用して
限りなく現実に近い体験を

限りなく現実に近い体験ができる仮想現実(バーチャルリアリティ:VR)の装置の活用がさまざまな領域で進んでいますが、看護領域でも取り組みが広がっています。

たとえば、がんの終末期にあり自らの死が近いことを察知した患者が、「家族との思い出の場所にもう一度行ってみたい」とか「1日だけでもいいから自宅で家族と一緒に過ごしたい」などと希望することはよくあることだと聞きます。

このような患者の希望をかなえようと、VRゴーグルを患者に装着してもらい、思い出の場所に出掛けたり、家族との団欒を疑似体験してもらうことを緩和ケアに取り入れ、効果を上げている事例があることは先に「終末期緩和ケアにVRで疑似外出体験を」で紹介しました。読んでいただけましたでしょうか。

VR装置を活用して
認知症の人の生きづらさを体験

このとき使われていた、水中眼鏡を一回り大きくしたようなゴーグル型のVR装置を活用して、最近では、認知症の人の生活を現実であるかのように疑似体験する試みがさまざまな場所で行われるようになっています。

認知症により認知機能が低下している人には自分を取り巻く世界がどう見えているのか、周囲の人は彼らにどう接しているのか、当事者はどのような生きづらさを抱え、どんなとき、どんなことで困っているのか、などなど……、リアルに疑似体験してみようというわけです。

その体験を通して認知症による生きづらさや困りごとを具体的に理解し、認知症という病気に対する誤解や偏見あるいは思い込みをなくし、認知症の人の気持ちに寄り添ってみることで、彼らの生きづらさを少しでも軽減できればというのが目的です。

老年看護学教育に
VR認知症疑似体験を導入

具体的には、老年看護学教育の一環として、「認知症ケア」の講義のなかで、この「VRによる認知症疑似体験」が取り入れられることが年々増えているようです。

直近では金城大学の看護学部が、当学部の2年生を対象に、株式会社シルバーウッドのプログラム(実際に認知症の方が体験している世界、症状などをVRでリアルに体験できるようにコンピューターでプログラミングされている)を活用して「VR認知症体験」を行ったことを、大学の公式サイトで2023年12月26日のNEWSとして報告しています

そこには次のような、学生のVR認知症体験の感想の一部が紹介されています。

  • 声かけが大事というのは日々の勉強で理解していたつもりだったが、今日の講義ではその声のかけ方がどれだけ大切なのか理解できた
  • 自分では(これまで)見えていなかった視点で世界が見えた。認知症の人の気持ちになれて、見ていることのすべては理解できていないものの、認知症の方に寄り添うことの大切さを学べた
  • 認知症の種類に応じての症状がそれぞれあると思うので、それらを理解して患者さんに接していかないといけないと感じた。今日の体験から、寄り添うというのはただ優しい言葉かけをするのではなく、認知症の人が思っていることを読み取り、どのようなケアをしたら安心してもらえるのかを考えてケアすることが大切だとわかった。認知症のことがよくわかり、いい体験となりました。

(引用元:参考資料*¹)

自治体レベルでも
VR認知症体験サービスを

また最近は、「VR認知症体験講座」とか「VR認知症体験イベント」、あるいは「VR認知症体験会」などと題して、VRによる認知症の疑似体験を無料で受けられるサービスを提供している自治体もチラホラ出てきています。

ざっとネット検索しただけでも、東京都豊島区、大阪府豊中市、愛知県知立市、山口県山口市、あるいは石川県三条市などが、住民らを対象に地域包括支援センターなどで、この取り組みを行っていることがわかります。

学生時代に経験できなかったが是非一度体験してみたいという方は、お住まいの市区町村の高齢者福祉課や地域包括支援センターなどに問い合わせてみてはいかがでしょうか。

VRプログラムをレンタルし
病棟や研究会で疑似体験

なお、無料というわけにはいきませんが、VR認知症疑似体験用のプログラムを含むキットの一式は、株式会社シルバーウッドなどからレンタルすることもできます。

たとえば病棟単位で、あるいは研究会などのお仲間とこのプログラム一式をレンタルして、「VR認知症疑似体験」に取り組んでみるのはいかがでしょうか。

その際には、地元の地域住民や日頃連携している地域のケアスタッフなどに参加を呼び掛けてみるのもいいのではないでしょうか。

株式会社シルバーウッドでは、「VR認知症疑似体験」の研修などを企画してVRのレンタルを検討している担当者を対象に、各種VRプログラムのオンライン事前体験会(無料)を開催しています。詳しくはこちら*²を参照してください。

認知症の人が生きている世界がわかる一冊

なお、認知症専門医として活躍された長谷川和夫医師が、自らが認知症であることを公表され、ご自分が生きている世界をまとめられた『ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言』(KADOKAWA)には、当事者ならではの体験がリアルに語られていて、認知症という病気を理解するうえで知っておきたいことが山積されていると好評です。

詳しくは「患者になった認知症専門医が語る認知症の世界」をあわせてご覧ください。

認知症ケアについては、こちらも参考にしていただけると思います。

「身体拘束ゼロの認知症ケア」に取り組む医療や介護の現場で、「認知症マフ」と呼ばれるケアグッズの活用が進んでいる。認知症によるBPSDの予防・軽減に有効とされる「快刺激」を与えることができ、認知症者のこころが和らぐ効果が期待できるようだ。
認知症、特にBPSDがみられるときは身体拘束を余儀なくされがちで、「縛らない認知症ケア」の実践は簡単なことではない。そんななかBPSDの予防的ケアを徹底して身体拘束ゼロの認知症ケアを実践している医療法人大誠会グループの取り組みを紹介する。

参考資料*¹:金城大学公式サイト NEWS【看護学部】「認知症ケア」の講義でVR認知症体験を行いました。

参考資料*²:株式会社シルバーウッド「新着情報&イベント情報」2024.01.24「VR認知症、その他VRプログラム」まずは体験してみる ~オンライン事前体験会のご案内~