急性期におけるリハ・栄養・口腔の一体的取組

チームワーク

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急性期医療では
ADLの低下を招きやすい

高齢化が進むのに伴い、外来を訪れたり救急搬送されてきた高齢者、とりわけ在宅の要介護高齢者が、そのまま急性期病棟へ入院するケースが増加しています。

急性期病棟の患者は、治療上、ベッドで安静にした状態で過ごす時間が長くなりますから、当然その弊害として筋力低下や関節の拘縮、循環血液量の減少など、いわゆる廃用症候群が進むリスクも高くなります。

しかし急性期医療の性質上、これら安静の弊害を回避するためのケア力やリハビリテーション力は概して低く、結果としてADLの低下等々が要介護度を悪化させ、医原性の寝たきりを招いていることなどがかねてより指摘されてきたところです。

令和6年度診療報酬改定で
「リハ・栄養・口腔連携体制加算」を新設

そこで令和6(2024)年度診療報酬改定では、急性期におけるADLの低下を防止しようと、リハビリテーション、栄養管理、口腔管理を一体的、つまりフルセットで実施することを評価する新加算、「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算(患者一人につき1日当たり120点)」が新設されています。

具体的には、急性期病棟に入院したすべての患者に対し、ADLや栄養状態の低下、さらには摂食嚥下に関わる口腔内の問題の重症化防止に向け、リハビリテーション、栄養管理、口腔管理をそれぞれの職種が単独で行うのではなく、関係する多職種が連携・協働して一体的に取り組むことにより、ADLの維持・向上の効果を上げていこうというわけです。

しかし、ここで求められているリハビリテーション、栄養管理、口腔管理を一体的に推進していく方法については、これまでガイドラインのようなものは用意されていません。そのため関係者からは、「患者一人につき1日当たり120点の加算は大変魅力的だが、具体的にどう取り組んでいったらいいのか」といった声が少なからず上がっていました。

リハ・栄養管理・口腔管理を
多職種連携で行うには?

そんな折も折、管理栄養士の友人から一冊の新刊本を紹介されました。今年(2024年)5月13日に刊行されたばかりの『生活期におけるリハビリテーション・栄養・口腔管理の協働に関するケアガイドライン』(医学書院)です。

「生活期」とは一般に、急性期とその後の回復期を経て、医療機関から退院した後の在宅や施設で生活している時期を指します。病気を発症して間もない、あるいは慢性疾患が急性増悪した直後の「急性期」とは違いがあります。

ただ、多職種がチームを組んで患者個々のADL、栄養状態、口腔状態を評価し、リハビリテーションと栄養管理、および口腔管理に係る計画を立案したうえで、その取り組みを一体的に進めていくためのノウハウに、病期による大差はないはずです。

しかも、このガイドラインは、国立長寿医療研究センター・日本リハビリテーション栄養学会・日本老年歯科医学会の全面的な人的支援と、厚生労働省の研究費支援を受けて作成されたとのこと。「だから、内容は充実していると思うから、急性期にも十分活用できると思う」というのが友人が本書をすすめる理由です。

急性期医療の現場にいる方で、今回の診療報酬改定を受け、リハビリテーション、栄養管理および口腔管理に一体的に取り組もうという方は、本書により事前に他職種の方々の活動内容を具体的に理解しておけば、より効果的な連携・協働に役立つはずです。

日本健康・栄養システム学会の手引書も

加えて、日本健康・栄養システム学会は、介護保険施設・老人保健施設・通所事業所・通所リハビリテーション事業所を対象に実施した厚生労働省の調査研究事業の一環として、「高齢者の口から食べる楽しみをいつまでも!!」と題する手引書を作成しています。

同手引書は、リハビリテーション、機能訓練、口腔管理、栄養管理の一体的取組の効果的な推進とその質の向上を目的に作成されたもので、令和6年度診療報酬・介護報酬改定の解説と併せ、一体的取組の意義や方法も伝えていますから、こちらも参考に。

栄養ケアと口腔ケアの見直しに

また、『エキスパートナース増刊: 具体的に教えます! 栄養ケアと口腔ケアのなかなか聞けないこと (2024年5月臨時増刊号)』(照林社)も、今回の診療報酬改定に対応した内容になっています。こちらも是非活用を。

サルコペニアについて

なお、高齢者が要介護状態に陥る、あるいは要介護度を悪化させる要因として、低栄養や活動不良による「サルコペニア」が注目されていますが、このサルコペニアについて詳しく知りたい方は、「医原性サルコペニアは看護で防ぐ」をあわせてご覧ください。

参考資料*¹:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定概要説明資料 Ⅱ-3 リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進―①」P.10 & P.11