体重の増減と糖質の「質」に密接な関係が

炭水化物

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炭水化物の摂取量と
体重変化の関連性を研究

ある朝、朝刊を読んでいて、「糖質摂取は質にこだわって」とある記事が目に留まりました。内科クリニックの院長、下島和弥医師が書かれたもので、そこには、英国の医学雑誌に報告された炭水化物の摂取量と体重変化の関連性を示す研究結果が紹介されていました。

糖尿病や肥満、あるいはメタボなどの治療のために糖質制限を心がけているものの、いっこうに体重が減らないと悩む患者さんは少なくないと聞きます。

個人的にも私の周りには、ダイエットのため、あるいはメタボ予防に体脂肪を減らそうと、ご飯やパンなどの炭水化物を極力制限して糖質カットや糖質オフに挑戦しているのに、体重がなかなか落ちないと嘆く友人、知人が少なからずいます。

この新聞記事を読み、「そうだ、体重を落とすには糖質の質にこだわる必要があったのだ」と、改めて気づかされましたので、今回はそのへんのことを書いてみたいと思います。

体重減少のカギとなる
糖質の性質と食物繊維摂取量

紹介されている研究では、炭水化物の摂取状況と体重変動の関連を、医療従事者約14万人を対象に長期間にわたり観察しています。対象者は全員65歳以下で、いずれも研究を開始した時点で糖尿病やがんなどの病気を患っていないことが確認されています。

この研究結果として、対象者の体重は平均して4年ごとに1.5㎏増加し、この体重増加と炭水化物の摂取状況(量や食品)には、次のような関連性を確認できたことが紹介されています。

  • でんぷんなど血糖値を上昇させやすいものを多くとる人は、体重もより増えていた
  • 食物繊維の摂取量が1日当たり10g増えると、体重の増加が平均よりも0.8㎏少なくなっていた
  • 精製された穀物やでんぷん質の野菜、加糖飲料を、全粒穀物や果物、非でんぷん質の野菜に替えると、体重増加は抑えられていた
  • 上記の傾向は、過体重や肥満の人に強く見られた

炭水化物と糖質は
どう違うのか

炭水化物と聞いてすぐ頭に浮かぶのは、ご飯ものやパン類、パスタ、ラーメン、そばなど、主食としてとっている食品、さらにはイモ類やスウィーツ類ではないでしょうか。いずれも体内で消化・吸収されてエネルギー源となるのですが、必要以上にとりすぎると、余ったぶんは体内で脂肪として蓄えられてしまいます。

そのため、「炭水化物はダイエットの敵」などと考え、炭水化物を控えることになります。しかしその炭水化物には、エネルギー源となる「糖質」とは別に、消化・吸収されない状態で直接大腸に届く「食物繊維」も含まれています。

食物繊維は多くの日本人に不足しがちな栄養成分ですが、便秘の予防や血糖値の上昇を抑制する、血中コレステロール濃度を下げるなど、重要な働きをしています。ですから、むしろ意識してとる必要があるのです。

したがって、炭水化物イコール糖質ではないこと、炭水化物から食物繊維を除いたものの総称が糖質だということを、まずはっきりさせておく必要がありそうです。

糖質には糖類と呼ばれる
さまざまな性質のものがある

そこで糖質ですが、先の新聞記事で下島医師も書いておられますが、糖質にはさまざまな性質のものがあります。とっさに頭に浮かぶのは、砂糖をはじめとする、いわゆるスウィーツ類ですが、ご飯ものやイモ類などに多く含まれている「でんぷん」も糖質の仲間です。

糖質のなかで、甘さが魅力のスウィーツ類に欠かせない「ショ糖(砂糖)」や果物類に含まれる「果糖」、牛乳や乳製品に含まれる「乳糖」、および糖質が体内で分解されてできる「ブドウ糖」などは、まとめて「糖類」と呼ばれています。

いずれの糖類も、健康を維持していくうえで主要なエネルギー源です。ただ、ショ糖や果糖は肥満につながるリスクが高く、とり過ぎは問題です。

一方でブドウ糖は、脳の重要なエネルギー源です。不足すると脳の働きが落ちて集中力が続かなくなったり、疲れやすくなったりすることはすでにご承知でしょう。

日看協が発表した「夜勤形態」の調査結果では、二交代制が最も多く、勤務時間は約16時間に及んでいる。この間に1時間の休息と続けて2時間の仮眠をとっているようだが、体内時計から考えると脳の疲れや集中力の低下が懸念される。回避策としてブドウ糖補給を……。

精製された穀物と
精製されていない穀物

先の研究結果には、「精製された穀物やでんぷん質の野菜、加糖飲料を、全粒穀物や果物、非でんぷん質の野菜に替えると、体重増加は抑えられていた」とあります。

「精製された穀物」の代表は、白米と小麦粉です。ですから小麦粉で作られているパン、パスタ、ラーメン、うどんは、「精製されていない穀物」である全粒粉や大麦、オート麦、ライ麦、そば粉、玄米で作られているパン類や麺類に替えるといいでしょう。

具体的に言えば、「白い炭水化物を茶色い炭水化物に替える」ことになります。

でんぷん質の野菜と非でんぷん質の野菜

また、「でんぷん質の野菜」とは、じゃが芋、さつま芋、里芋、トウモロコシ、豆類です。一方の「非でんぷん質の野菜」としては、ブロッコリー、トマト、ズッキーニ、もやし、きのこ類などがあげられます。

「加糖飲料」がコーラや炭酸飲料、レモネードなど、その多くが自動販売機で手軽に手にできる飲料水であることは言うまでもないでしょう。

食物繊維の摂取量を
1日10g増やすには

先の研究結果では、「食物繊維の摂取量が1日当たり10g増えると、体重の増加が平均よりも0.8㎏少なくなっていた」とあるのも注目すべきでしょう。

「日本人の食事摂取基準」の2020年版を見ると、18~64歳の食物繊維の1日当たりの摂取目標量は、男性21g以上、女性18g以上とされています。ところが、これだけの量をとれている人は、男女ともにごく一部に限られています。

ということは、1日当たりの食物繊維の摂取量を現状より10g増やすのは容易ではないということです。したがって、三度三度の食事ではかなり意識して、糖質含有量が少なく食物繊維が豊富な食品を選んで多くとる必要があります。

この場合の食品としては、ひじきやわかめ、海苔などの海藻類、あるいは湯葉(ゆば)やひきわり納豆、きのこ類、さらには切り干し大根や高野豆腐といった乾物類がお勧めです。

蓮根(れんこん)やゴボウなどの根菜類にも食物繊維は多く含まれています。ただ、これらの食材には糖質も多く含まれていますから控えた方がいいでしょう。

でんぷんでありながら食物繊維?

なお、炭水化物のなかには、糖質の代表格であるでんぷんでありながら、消化・吸収されずに腸まで届いて食物繊維の働きをしてくれるため、食べても体重増加につながらない「レジスタントスターチ」と呼ばれる「難消化性でんぷん」もあります。

最近、ビジネスマンなどの間で朝食用にと人気の「スーパー大麦(バーリーマックス)グラノーラ」はその代表ですが、詳しくはこちらを読んでみてください。

多くの人を悩ます便秘の改善には「食物繊維」が欠かせない。この食物繊維には水溶性と不溶性に加え、第三の食物繊維、つまりレジスタントスターチがある。糖質の代表格であるでんぷんでありながら食物繊維の働きをして、腸活によりダイエットやメタボ予防に貢献してくれる。

参考資料*¹:産経新聞2023年11月2日「健康cafe 261」糖質摂取は質にこだわって