夜勤中の脳の疲れ・集中力の低下にブドウ糖を

想像力

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長時間の夜勤で
集中力が途切れることは?

看護職の友人仲間とランチをしていて、日本看護協会が発表した「2022年病院看護・助産実態調査結果」にある「夜勤形態」のことが話題になりました

その調査結果には「最も多くの看護職員に適用されている夜勤形態は二交代制(夜勤1回あたり16時間以上)」で、全体の53.8%を占めていて、前回調査に比べ僅かですが二交代制が増えている、とあります。

また、この二交代制における夜勤の勤務時間を見てみると、最も長いのは「16時間~16時間59分」で、この時間帯が最も多く、全体の58.9%を占めているのです。

この実態に、「えーっ、夜勤なのに、そんなに長い時間働いているの?」と 改めて驚くとともに、「集中力が途切れたりしないかしら……」と心配になってきました。

夜勤中に仮眠をとっても
脳は疲れ、集中力が落ちる

現場を経験したことのない者としては、出された数字を見る限り、「これって長時間労働で問題にならないのか」と疑問を感じます。

この疑問に、病棟看護師長として勤務表を作成する立場にある看護師さんが、日本看護協会が策定している「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」に、夜勤による負担軽減のための対策がいくつも提案されているとして、次の話をしてくれました。

ガイドラインのp.34では「勤務編成の基準」として11項目が提案されていて、そのなかの「基準6」では「夜勤の途中で1時間以上の休息を確保すること」となっている。

次の「基準7」では「夜勤の途中で仮眠時間を設定する」として、勤務が22時以降に及び、実働時間が8時間を超える場合は、「連続2時間以上の仮眠を確保すること」、その時間帯は深夜0~4時の間が望ましいと明記されている、等々――。

その実施状況は、少し前のデータですが、2014年の調査結果によれば、「連続2時間の仮眠」が確保できているのは26.4%にとどまるものの、「1時間以上の休息」は74.7%という高率で確保できているようです。長時間夜勤の負担軽減策は、年々拡充される方向にあるようですが……。

「でも、そもそも私たちの体内時計は、夜になると眠気が強くなり、朝になって太陽の光を浴びると目が覚めるというように、常に脳と身体に働きかけているわけだから、やはり夜勤中の眠気や脳の疲労対策は個人レベルでやる必要がありそうね」と、看護教員のN さんが話すのを聞いて、私はふとあることを思い出しました。

脳の疲れの回復に
たっぷりのブドウ糖を

少し前になりますが、当時若干15歳の将棋士、藤井聡太君が破竹の勢いで勝ち進み将棋ファンの注目を集めていました。お茶の間でも大変な人気で、藤井棋士が試合の途中にとる食事がそのまま映像で紹介されたりもしたのですが、そのお盆に並べられた品々を見て、麺類やご飯ものなど、炭水化物の量が多いことにちょっと違和感を覚えました。

たまたま脳神経内科の医師を取材した折に、その違和感について話してみました。ずっと坐ったまま将棋を打っているだけで身体は動かしていないのだから、炭水化物ばかりあんなにとらない方がいいのではないでしょうか、と――。

すると、こんな答えが返ってきたのです。「藤井君は脳をフル稼働させて次に打つ手を考えているわけだから、脳にエネルギーをたっぷり補給してあげないといかんでしょう。脳のエネルギー源として最も重要な栄養素はブドウ糖ですからね。だから彼は炭水化物を人一倍とっているんだと思いますよ。炭水化物は糖質で、糖質は体内に入って代謝されると最終的にブドウ糖になりますからね」

脳はブドウ糖を
十分量は備蓄できない

脳の働きをサポートする栄養素として一般によく知られているのは、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)、ARA(アラキドン酸)に代表される「オメガ脂肪酸」と呼ばれる必須脂肪酸です。

訪問看護師のKさんも、高齢者宅を訪問していると、認知症予防のために脳を活性化しようと、この種のサプリメントを飲んでいる方によく出会う、と言います。

しかし先の脳神経内科医によれば、脳にいいからとその種のサプリメントを飲んでいても、そのサプリメントに含まれているDHAやEPA、ARAがしっかり脳に取り込まれて期待される効果を発揮するためには、その取り込みに必要なブドウ糖が欠かせないのだそうです。

このように、脳や神経系が働くうえでブドウ糖は最も重要なエネルギー源なのですが、残念ながら、脳に蓄えておけるブドウ糖はごく少量、おおむね1日の消費量に限られるという問題があります。

そのため、ブドウ糖を常にコンスタントに補給し続けないと、血液中のブドウ糖濃度が下がり、脳がエネルギー不足から思うように働いてくれなくなってしまうというわけです。

夜勤用仮眠・休憩室に
ラムネ菓子を常備しよう

仕事や勉強、あるいは趣味に熱中するあまり糖分補給を忘れていると、集中力が途切れたり、頭が思うように働かずに眠くなってくるといったことは日常的に経験することではないでしょうか。

当然ですが、こうした事態は、長時間の夜間勤務中も起こり得ることです。しかも、脳の疲れにより集中力が落ちたり、眠気に襲われたりすることは、個人の問題にとどまらず、直接患者の安全を脅かすことにつながりかねません。

「夜勤中にしっかり休息や仮眠をとることも大事だけど、糖分を適宜補給することも忘れないようにしないといけないわね。ナースステーションの休憩室や仮眠室に、ラムネ菓子でも常備しておくようにしようかしら」とは、さすが病棟師長のYさんです。

ラムネ菓子にはちょっと私も凝っていまして、脳のエネルギーとなるブドウ糖100%のやさしい口どけ ラムネ は、大のお勧めです。個別包装になっていますから衛生的かつ携帯にも便利で、ナースステーションなどに常備しておくにはぴったりです。

手軽なところでは、コンビニなどで簡単に手に入る森永製菓 大粒ラムネ を脳のエネルギー源として愛用している友人もいます。

果糖や砂糖は避けてブドウ糖を

なお、糖質をとりすぎると、エネルギーとして消費されなかった糖質が体内で脂肪として蓄えられますから、肥満につながりやすいというリスクがあります。そのため、糖質制限ダイエットなるものが流行ったりするわけですが、そのリスクが高いのは同じ糖質でも清涼飲料水や菓子類に多く含まれる果糖やショ糖(砂糖)です。

ですから、果糖やショ糖をとりすぎないように気をつけていれば、糖質(ブドウ糖)による肥満の問題は避けられるのではないでしょうか。

仮眠30分前のスピカフェで熟睡を

また最近は、夜勤中の仮眠の眠りの質を上げて時間になったらスッキリ目覚める効果が期待できるとして、仮眠をとる30分ほど前に「スピカフェ」という機能性表示食品のノンカフェイン飲料を飲んでいるという声をよく聞きます。スピカフェに配合されているGABAの効果により短時間でもぐっすり熟睡できるようです。

加えてこのスピカフェには、「ストレス緩和」や「睡眠の質を高める」「肌の健康維持」という3つの機能(健康への効能)が期待できることが研究で確認されています。詳しいことはこちらをご覧ください。

交代制勤務とユニフォーム2色制

ところで、交代制勤務に関しては、ユニフォームを色分けすることでシフトを見える化して、残業時間を減らすなどの業務改善に取り組む話がこのところ話題になっています。いわゆるナッジ理論の応用ですが、関心のある方はこちらをチェックしてみてください。

新型コロナ感染対策として尾身茂会長が求める「感染対策としての行動変容」は、「ナッジ理論」の応用により比較的成功している。理屈で説得するよりも、ちょっとしたきっかけを与えることで行動変容を引き起こすという「ナッジ理論」。生活習慣病の指導に活用できそうでは?

夜勤と乳がん発症リスクのこと

なお、夜間勤務に関連してよく話題になる乳がんの発症リスクについてこちらで詳しく書いていますので一度読んでみてください。

「女性の夜間勤務は乳がんの発症リスクを高める」との雑誌記事を読んだのをきっかけに、そのエビデンスを探ってみた。日本乳癌学会の疫学調査によるエビデンス検証によれば、可能性があるとのこと。あながち否定できないからには、リスクを踏まえた予防的行動を。

また、夜勤明けの日の過ごし方については、こちらを。

夜勤のある生活はどうしても体内時計の狂いによりサーカディアン・リズムが乱れがち。結果として、昼夜が逆転して睡眠不足や不規則な食生活から体調を崩しがち。そうした弊害を極力避けるために、体内時計に影響を与えがちな太陽光や食事、睡眠対策をまとめた。

参考資料*¹:日本看護協会「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」

参考資料*²:2014年の調査結果