夜勤中の脳の疲れや集中力の低下にブドウ糖を




想像力

16時間も続く夜勤で
集中力が途切れることは?

看護職の友人仲間とランチをしていて、日本看護協会が先月(5月15日)発表した「2018年病院看護実態調査結果」にある「夜勤形態」のことが話題になりました。
仲間とは、回復期リハビリテーション病棟で看護師長を務めるYさん、がん看護が専門のN看護教員、そして訪問看護師としてのキャリアが長いKさんの3人です。

彼女たちとは年に3回ほど集まり、一緒に食事をしながら近況報告をし合う仲です。
先に「生活の再構築」をテーマに話が弾んだときのことを記事にさせていただきましたが、あのときと同じ顔ぶれです。

生活の再構築に向けたリハビリテーションは、脳卒中はもとよりがんでも、また心疾患や肺疾患などあらゆる領域で欠かせない。そこにはさまざまな職種がかかわるのだが、リハビリテーション看護の専門性はどこにあるのか、という話を書いてみました。

さてその調査結果ですが、そこには「最も多くの看護職員に適用されている夜勤形態は二交代制」で、全体の半数以上、57.8%を占めているとあります。しかも、前回調査(2017年)に比べ、数値としては1.3%と僅かですが、増えているというのです。

また、この二交代制における夜勤の勤務時間、つまり業務についてから勤務を終えるまでの時間を見てみると、最も長いのは「16時間~16時間59分」で、この時間帯が最も多く、全体の63.1%を占めているのです。
この実態に、「えーっ、夜勤なのに、そんなに長い時間働いているの?」と 改めて驚くとともに、「集中力が途切れたりしないかしら……」と心配になってきました。

夜勤中に仮眠をとっても
脳は疲れ、集中力が落ちる

今時の現場を知らない者としては、出された数字を見る限り、「これって長時間労働で問題にならないのかしら」と疑問を感じます。

この疑問に、病棟看護師長として勤務表を作成する立場にあるYさんが、日本看護協会が策定している「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」に、夜勤による負担軽減のための対策がいくつも提案されていているとして、ざっと次のような話をしてくれました。

たとえば、ガイドラインのp.34では「勤務編成の基準」として11項目が提案されていて、そのなかの「基準6」では「夜勤の途中で1時間以上の休息を確保すること」となっている。
次の「基準7」では「夜勤の途中で仮眠時間を設定する」として、勤務が22時以降に及び、実働時間が8時間を超える場合は、「連続2時間以上の仮眠を確保すること」、その時間帯は深夜0~4時の間が望ましいと明記されている、等々――。

その実施状況については、少し前のデータですが、2014年の調査結果を見てみると、「連続2時間の仮眠」が確保できているのは26.4%にとどまっているものの、「1時間以上の休息」は74.7%という高率で確保できているようです。

こうして長時間夜勤の負担軽減策は、年々拡充される方向にあるようですが……。
「でも、そもそも私たちの体内時計は、夜になると眠気が強くなり、朝になって太陽の光を浴びると目が覚めるというように、常に脳と身体に働きかけているわけだから、やはり夜勤中の眠気や脳の疲労対策は個人レベルでやる必要がありそうね」
看護教員のN さんがそう話すのを聞いて、私はふとあることを思い出しました。

脳のエネルギー源として
たっぷりのブドウ糖補給を

1年余り前になりますが、当時若干15歳の将棋士、藤井聡太君が破竹の勢いで勝ち進み将棋ファンの注目を集めていました。
お茶の間でも大変な人気で、藤井棋士が試合の途中に摂る食事がそのまま映像で紹介されたりもしたのですが、そのお盆に並べられた品々を見て、麺類やご飯ものなど、炭水化物の量が多いことにちょっと違和感を覚えました。

たまたま脳神経内科の医師を取材した折に、その違和感について話してみました。
ずっと坐ったまま将棋を打っているだけで身体は動かしていないのだから、炭水化物ばかりあんなに摂らない方がいいのではないでしょうか、と――。

すると、こんな答えが返ってきたのです。
「藤井君は脳をフル稼働させて次に打つ手を考えているわけだから、脳にエネルギーをたっぷり補給してあげないといかんでしょう。脳のエネルギー源として最も重要な栄養素はブドウ糖ですよね。だから彼は炭水化物を人一倍摂っているんだと思いますよ。炭水化物は糖質で、糖質は体内に入って代謝されると最終的にブドウ糖になりますからね」

ブドウ糖は
脳に十分量を備蓄できない

脳の働きをサポートする栄養素として一般によく知られているのは、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)、ARA(アラキドン酸)に代表される「オメガ脂肪酸」と呼ばれる必須脂肪酸です。
訪問看護師のKさんも、高齢者宅を訪問していると、認知症予防のために脳を活性化しようと、この種のサプリメントを飲んでいる方によく出会う、と言います。

しかし先の脳神経内科医によれば、脳にいいからとサプリメントを飲んでいても、そのサプリメントに含まれているDHAやEPA、ARAがしっかり脳に取り込まれて期待される効果を発揮するためには、その取り込みに必要なブドウ糖が欠かせないのだそうです。

このように、脳や神経系が働くうえでブドウ糖は最も重要なエネルギー源なのですが、残念ながら、脳に蓄えておけるブドウ糖はごく少量に限られるという問題があります。
そのため、ブドウ糖を常にコンスタントに補給してあげないと、血液中のブドウ糖濃度が下がり、脳がエネルギー不足から思うように働いてくれなくなってしまうというわけです。

夜勤用の仮眠・休憩室に
ラムネ菓子を常備しよう

仕事や勉強、あるいは趣味に熱中するあまり糖分を補給することを忘れていると、集中力が途切れたり、頭が思うように働かず眠くなってくる、といったことは日常的によく経験することではないでしょうか。

当然ですが、こうした事態は、長時間の夜勤勤務中も起こり得ることです。
しかも、脳の疲れにより集中力が落ちたり、眠気に襲われたりすることは、個人の問題にとどまらず、直接患者の安全を脅かすことにつながりかねません。

「夜勤中にしっかり休息や仮眠をとることも大事だけど、糖分を適宜補給することも忘れないようにしないといけないわね。ナースステーションの休憩室や仮眠室に、ラムネ菓子でも常備しておくようにしようかしら」
とは、さすが病棟師長のYさんです。

ラムネ菓子にはちょっと私も凝っていまして、脳のエネルギーとなるブドウ糖100%のやさしい口どけ ラムネ は、大のおススメです。個別包装になっていますから衛生的かつ携帯にも便利で、ナースステーションなどに常備しておくにはぴったりです。

なお、糖質を摂りすぎると、エネルギーとして消費されなかった糖質が体内で脂肪として蓄えられますから、肥満につながりやすいというリスクがあります。そのため、糖質制限ダイエットなるものが流行ったりするわけですが、そのリスクが高いとされる清涼飲料水や菓子類に多く含まれる果糖やショ糖(砂糖)を摂りすぎないようにすれば、肥満の問題は避けられるのではないでしょうか。

なお、日本看護協会の「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」は、同協会のサイトからダウンロードすることかできます。
https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/guideline/yakin_guideline.pdf

また、文中の2014年の調査結果はコチラから。
https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/yakinkotai/chosa/pdf/2015gaiyo.pdf