「排泄予測支援機器」が介護保険給付の対象に

トイレ

排泄予測支援機器が
4月から介護保険適用に

介護が必要な在宅療養者の日常生活を支える福祉用具のなかには、介護保険の要介護認定を受けていることを条件に、レンタル(借りる)あるいは購入に介護保険の支援を受けることができるものがあることはご承知だろうと思います。

このうち購入費が介護保険給付の対象になっていて、費用の一部が支給される福祉用具*は、これまで腰掛便座や入浴補助用具などの5点*がありました。

*購入費が介護保険給付の対象になる福祉用具は、①腰掛便座、②自動排泄処理装置の交換部分、③入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すりなど)、④簡易浴槽、⑤移動用リフトの吊り具の部分の5点だった。

そこに今回、正確には2022年4月1日より、新たに「排泄予測支援機器」が加わっています。

この排泄予測支援機器について厚生労働省は、3月31日に発出した通知*¹のなかで、現場で実際に活用する際に留意すべき点を明示しています。

排尿トラブルを抱える在宅療養者やその家族等介護者にとっては、「排尿のタイミングを知らせてくれる」この機器は、おむつから解放されてトイレでの排尿が可能になり、QOLの向上につながることが期待できるものです。

そこで今回は、この排泄予測支援機器が介護保険給付の対象になる条件を中心にまとめておきたいと思います。

膀胱内の尿量を推定し
排尿のタイミングを通知する

今回介護保険給付の対象に加わった「排泄予測支援機器」については、先の通知*¹で次のように説明されています。

利用者が常時装着したうえで、膀胱内の状態を感知し、尿量を推定するものであって、一定の量に達したと推定された際に、居宅要介護者やその介護を行う者に排尿の機会を自動的に通知するものである。専用ジェル等装着の都度消費するもの及び専用シート等の関連製品は(給付対象から)除かれる。

具体的には、膀胱内の尿の溜り具合を超音波で測定して可視化するとともに、排尿のタイミングを、排泄予測支援機器本体から、専用のアプリケーションがダウンロードされたスマートフォンやタブレット等に、インターネットを介して本人や介護者に知らせるシステムになっているものが給付対象となります。

現在市販されている製品としては、すでに紹介済みの「DFree (ディー・フリー)」の「DFree Home care」(トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社)があります。

介護施設勤務の看護師から、「排尿予測センサー」がオムツ交換やトイレ誘導に役立っている、入院患者の排尿自立支援に活用してみてはどうかと提案を受けた。超音波センサーで膀胱内の尿のたまり具合をリアルタイムでキャッチして排尿のタイミングを通知してくれるらしい。

なお、同様の機能を有する排泄予測支援機器のなかには、排尿のタイミングをインターネットを介すことなく、排泄予測支援機器本体からスマートフォン等に直接通知するものもあるようですが、このようなタイプの支援機器は給付の対象外となります。

排泄予測支援機器の給付対象は
トイレでの排尿自立が見込める人

新しく介護保険給付の対象に加わった排泄予測支援機器は「トイレでの自立した排尿を支援する」ものです。

したがって、この機器の介護保険給付の対象者については、「トイレでの自立した排尿が困難となっている居宅要介護者等であって、排尿の機会の予測が可能となることで、失禁を回避し、トイレで排尿することが見込める人」と定義されています。

この場合の「トイレでの自立した排尿が困難となっている」原因としては、以下の3つのケースが想定されています。

  1. (排尿のための)運動動作が低下している
  2. 排尿のタイミングを感知することができない
  3. (排尿のタイミングを)伝えることができない

また、この支援機器は自立した排尿を目指して使用するわけですから、使用を決めて購入するに際しては、使用する居宅要介護者等が以下の3条件を備えていて、この機器を使用可能な状態にあることを確認することが求められています。

  1. 排泄予測支援機器を使用する目的を理解し、トイレでの自立した排尿を目指す意思がある
  2. 排泄予測支援機器を常時装着していることができる
  3. 居宅要介護者やその介護者等が排泄予測支援機器から送られる排泄タイミングの通知を理解でき、トイレまで移動、あるいは誘導することができる

独居者の購入も給付の対象に

通知に添付されている「Q&A」では、この排泄予測支援機器の使用方法としては、以下の2ケースが想定されています。

  1. 居宅要介護者等本人が装着し排尿の機会を感知することで、適時に自らトイレに移動して排泄する
  2. 介護者が排尿のタイミングの通知を受け、本人に排泄の声掛けやトイレへの誘導を行って排泄を促す

したがって、居宅要介護者等が独居の場合でも、「1」の方法で使用することができることから、介護保険給付の対象となります。

ただし、使用する居宅要介護者等本人が排泄予測支援機器の使用目的や使用方法について正しく理解していることが前提条件となりますから、その点の確認が必要です。

排泄予測支援機器の購入・使用は
膀胱機能が正常であることが条件

排泄予測支援機器は、膀胱内の尿の溜まり具合を超音波などで測定して可視化し、排泄のタイミングが近いことを知らせる仕組みになっています。

この知らせを受け取って、自ら、ないしは介護者の支援を得てトイレで排尿することにより排尿の自立を可能にしようというわけです。

そのため、この支援機器を使用する前提として膀胱の二つの機能、つまり尿をためる「畜尿機能」と溜った尿を尿道から体外へ排泄する「排尿機能」が正常に機能していることが必須条件となります。

医学的な所見を確認する

したがって排泄予測支援機器の購入に際しては、以下のいずれかの方法により、使用する居宅要介護者等の膀胱機能に問題がないことを確認しておく必要があります。

  1. 介護認定審査における主治医の意見書で確認する
  2. サービス担当者会議等において医師の所見を求める
  3. ケアマネジャー(介護支援専門員)等が聴取した居宅サービス計画等に記載する医師の所見を確認する
  4. 個別に取得した医師の診断書で確認する

おむつの交換時期把握を目的の購入は保険給付の対象外

なお、排泄予測支援機器については、常時失禁状態にある居宅要介護者等の介護者が、おむつの交換時期を把握する目的で使用するケースもあるようです。

しかし、排泄予測支援機器が介護保険給付の対象となるのは、その使用目的が「トイレでの自立に向けた排泄を促す」場合に限られます。

おむつの交換時期を把握する目的で使用する場合は、保険給付の対象外となります。

なお、排泄予測支援機器以外でレンタルや購入に介護保険が適用となる福祉用具についてはこちらを参照してください。

在宅に移行する患者には自立促進や介護負担軽減を目的に福祉用具の活用が勧められる。この福祉用具の選択、活用に精通した「福祉用具専門相談員」の存在をご存知だろうか。患者の病状や介護状況、生活環境を踏まえた助言の的確さの評価は高い。退院支援での連携を。

参考資料*¹:厚生労働省老健局高齢者支援課長「介護保険最新情報」p.17-24「介護保険の給付対象となる排泄予測支援機器の留意事項について」