退院支援における福祉用具専門相談員との連携




福祉用具の車いす

退院支援における生活の再構築に
福祉用具専門相談員との連携を

「福祉用具専門相談員」という国家資格があるのをご存知でしょうか。
例えば、脳卒中(脳血管障害)発症後の患者は、脳卒中の原因となった基礎疾患に加え、何らかの身体的な機能障害を抱えることが多くなります。

そのため、退院後に向けた支援では、病前の生活スタイルや、場合によっては職業など、生活全般にわたる立て直し、つまり「生活の再構築」が必要となります。
その際には、患者のQOLをより高める手段として、福祉用具の利用が欠かせなくなります。

このようなときに活躍するのが福祉用具専門相談員です。
最近は、退院支援の一環として行われる退院カンファレンスに、福祉用具専門相談員が参加するケースが増えているようです。
彼らの各種福祉用具の選択や使用方法に関するアドバイスは非常に的確で、かかわりをもつ患者家族からは「心強い」との声が多数聞かれるようになっています。

そこで今回は、この福祉用具専門相談員の立場や役割、連携の在り方などについて、退院支援における連携の観点からまとめてみたいと思います。

自立促進と介護負担の軽減に
的確な福祉用具の選択を

福祉用具専門相談員は、介護が必要な高齢者(居宅要介護者・居宅要支援者)が在宅において福祉用具を利用するにあたり、本人の希望や心身の状態、介護状況、生活環境などを踏まえつつ、本人の自立促進と介護者の負担軽減の観点から、福祉用具の選び方や使い方について専門的なアドバイスを行う専門職です。

彼らの活動はすべて、ケアマネージャーが作成するケアプランに基づき、介護保険サービスの一環として行われます。
そのため、入院中の患者について福祉用具専門相談員と連携する際には、サービスを利用する患者が介護保険の要介護認定を受けていることが条件となります。

また、福祉用具専門相談員の勤務場所は、介護保険の指定を受けている「福祉用具貸与・販売事業所」となります。各事業所には常勤換算で2名以上の福祉用具専門相談員を配置することが義務づけられていて、2017年10月1日現在の調査では、1事業所当たりの福祉用具専門相談員従事者は3.7人となっています。

保健師・看護師・准看護師も
福祉用具専門相談員の有資格者

福祉用具専門相談員として活動するには、2通りの道があります。
1つは、国が定めたカリキュラムのもとに都道府県知事が指定する研修事業者が実施する「福祉用具専門相談員指定講習」を受講し、受講後に行われる修了試験(学習内容の習熟度をチェックする筆記試験)に合格して資格を取得する方法です。

この講習はトータル50時間で、①介護保険制度に関する基礎知識、②高齢者のこころと身体の特徴や日常生活の特徴、③高齢者介護・医療・リハビリテーションに関する基礎知識、④高齢者の住環境と住宅改修、⑤個別の福祉用具の特徴、活用に関する知識・技術、⑥福祉用具貸与や保険給付のしくみ、などが主な講義内容となっています。

福祉用具専門相談員スキルアップ講座の活用を

もう1つの道として、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、義肢装具士、社会福祉士の有資格者は、その資格だけで福祉用具専門相談員としての業務を行うことができます(2015年の制度改正によりホームヘルパーは対象から外れています)。

ただし、上記の有資格者であっても、福祉用具の利用に関する知識不足を自認する方もいるでしょう。その場合は、たとえば福祉保健財団などが福祉用具専門相談員のスキルアップのための講習(コチラ)を随時行っていますので、受講を検討してはいかがでしょうか。

貸与の対象となる福祉用具と
保険給付の対象となる福祉用具

介護保険で貸与の対象となる福祉用具は、要介護者あるいは要支援者の日常生活の便宜を図るための用具、および要介護者、要支援者の機能訓練のための用具で、在宅で利用者本人が使用することが条件となります。

具体的には、①車いす(クッションなどの付属品を含む)、②床ずれ防止用具、③体位変換器、④手すり、⑤スロープ、⑥歩行器・歩行補助杖、⑦認知症老人徘徊感知器、⑧移動用リフト(つり具の部分は保険給付)が該当します。

貸与になじまない福祉用具は購入(保険給付)の対象に

一方、利用者が居宅において自立した日常生活を営むことができるよう助ける福祉用具で、利用者の肌が直接触れる、あるいは使用により形状・品質が変化するなどして貸与になじまないタイプの用具類については、購入費に対する保険給付(年間10万円を限度に購入費の9割までが支給される)の対象となっています。

保険給付の対象となる福祉用具としては、①腰掛便座(ポータブルトイレなど)、②入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台、入浴用介助ベルト、浴室内すのこ、浴槽内すのこ)、③自動排泄処理装置の交換可能部分、④移動用リフトの釣り具の部分(リフトの本体は貸与)などがあります。

ただし、介護保険給付の対象となるのは、介護保険指定事業者から購入した福祉用具に限られ、指定を受けていない事業所などから購入した場合は給付対象から外れることから、購入の際には注意するようにアドバイスが必要です。