足のむくみと下肢静脈瘤は看護師の職業病!?

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長引く足のむくみは
下肢静脈瘤を疑って!!

長時間の立ち仕事が避けられない看護師さんには、足のむくみが悩みの種という方が多いのではないでしょうか。その場合、とりあえずの策として、弾性ストッキングの着用、あるいはむくみ解消サプリメントの服用などのセルフケアに取り組んでおられることと思います。

ただ、長引く足のむくみは下肢静脈瘤のサインということもあります。弾性ストッキングを1~2週間着用してみたものの、いっこうにむくみが改善するきざしが見えないということはないでしょうか。

そればかりか、「足が疲れやすくだるさが増してきた」「重苦しい感じが続いて、ときに痛むこともある」「寝ている間に足がつって目が覚める」といった症状を自覚するようであれば、下肢静脈瘤を疑ってみるべきでしょう*。

というわけで、今回はこの下肢静脈瘤について、懇意にしていただいている40代後半のM看護師が語ってくれた体験談を交えながら、症状の改善や悪化を防ぐうえで効果が期待できるセルフケアの方法を中心にまとめてみたいと思います。

*下肢静脈瘤の症状チェックリストとして、心臓血管外科専門医の長崎和仁医師は著書*¹の中で、以下の項目のうち半分以上が該当したら下肢静脈瘤の可能性が高いと判断し、下肢静脈瘤専門クリニックや血管外科など(皮膚科ではなく)を受診するようすすめている。
・親や親族に下肢静脈瘤の人がいる
・妊娠または出産したことがある
・仕事が基本的に立ち仕事である
・仕事はデスクワークで坐っていることが多い
・日常的に運動不足を感じている
・毎日の歩数が4000歩以下
・足がむくみやすい
・よく足が痛くなる
・足がすぐだるくなる
・足の血管が浮いて見える
・足の表面が凹凸している
・寝ていて足がつることがよくある
・足に湿疹やかゆみがある

下肢静脈瘤に進むと
血管がコブ状に浮き出る

下肢静脈瘤とは、下肢、特に太ももの内側やふくらはぎの皮膚のすぐ下を走っている静脈の血流が滞って血管が膨らんだような状態になり、やがて文字どおりコブ(瘤)のように浮き出てくる状態のことを言います。

「静脈瘤」という言葉から、とっさに「食道静脈瘤」をイメージして、放置しているとコブが破裂して出血といった深刻な事態になるのではないかと心配する方もいるのでは……。

あるいは、血流が滞ってできた血栓が、脳に飛んで脳梗塞を、あるいは心臓に流れていき心筋梗塞を引き起こすのでは、などと考えてしまう方もいるでしょう。M看護師もその一人だったと言います。

かねてから足のむくみはあったものの、ただのむくみにすぎないだろうと軽視して、足を高くして寝る程度の対応で済ませていたそうです

ところが、むくみに加えてだるさを感じるようになり、膝の内側に違和感を覚えて触ってみたところ、血管が腫れているような気がしたため、急いで院内の血管外科外来を受診――。

「どれ診てみましょうか」と問題の箇所を触診した医師から、「ああ、確かに下肢静脈瘤の始まりですね」と言われたときは、とっさに「えっ、じゃあ破裂するかもしれないの?」と思ったとのこと。

何しろ彼女は勤務先がずっと内科領域だったこともあり、「下肢静脈瘤については全くの素人だったから」と言います。

下肢静脈瘤で
専門的治療が必要になるのは

彼女の表情の変化から察したのか、医師が、「下肢静脈瘤は良性の病気ですから、いのちに危険が及ぶようなことはありませんよ。それにあなたのはまだまだ初期段階ですから安心してください」と話すのを聞き、ホッとしたそうです。

下肢静脈瘤で硬化療法(刺激性の薬剤を静脈瘤内に注入して静脈を塞ぐ)やレーザー治療(体外からレーザーを照射して静脈を焼く)のような専門的な的治療が必要になるのは、表在静脈(皮膚のすぐ下を走る静脈)のなかでも比較的深いところを走っている太めの伏在静脈(ふくざいじょうみゃく)にできる大きな静脈瘤の場合とのことです。

大きな静脈瘤がボコボコとして目立ったり、太った血管が蛇行しているのがはっきり見えるような場合は、この伏在型静脈瘤が考えられ、治療を検討することになるようです。

しかし幸いなことに、彼女のようなくもの巣状や網目状の静脈瘤は、痛みがあって我慢できない場合や美容上どうしても気になるから治療してほしいという場合以外、格別の治療は必要ない、との説明を受けて安心したそうです。

下肢静脈瘤の進行防止に
日常生活で心掛けたいこと

では、これ以上進行させないためにはどうしたらいいかです。医師から説明を受け、M看護師が日々の生活で心掛けているのは以下の5点とのこと。スタートして1カ月経った時点での感想では、「だるさや重い感じは徐々にながら確かに緩和してきている」と言います。

  1. 立ちっぱなし、あるいは座りっぱなしの状態が長時間に及ぶときは、意識してつま先立ちや足首を回すなどして足を動かし、下肢の血流促進を図る(電子カルテに看護記録などを入力しているとつい座っている時間が長くなるが、その間に意識して行っている貧乏ゆすり*は、下肢の血行促進にかなり効いている感じがするとのこと)
  2. 休憩や食事の時間には、ちょっとお行儀が悪くなるが、使われていない椅子を見つけて足を乗せて少し挙上し、下肢の静脈が心臓に還流しやすいようにする
  3. 休憩室に横になれるソファが置いてあるのを活用して、休憩時間に仰向けの姿勢で両脚と両手を上にあげ、1~2分ブルブルと小刻みに震わせる
  4. 就寝前には必ず入浴する。その際、炭酸ガスの血管拡張作用が期待できるホットタブ 薬用  [医薬部外品]を溶かし入れたたっぷりの湯につかりながら、足先から心臓に向けて足のマッサージを行う
  5. 就寝中は足をやや高くして寝る
*貧乏ゆすりは、腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)が動くことにより、下肢から全身の血行促進効果が期待できることが明らかにされている。医学的には「貧乏ゆすり」ではなく「健康ゆすり運動」とか「ジグリング」と呼ばれ、ジグリングマシン のような管理医療機器も広く普及している。
女性に多い加齢現象の一つ、変形性股関節症は、歩行中や階段を上り下りする際に股関節に痛みが走ることで気づくことが多い。深刻化すると手術が必要となるが、そうなる前の保存療法として「貧乏ゆすり」改め「健康ゆすり(ジグリング)」が痛みの緩和に役立つ。

日々の食事を見直し
下肢静脈瘤の改善を図る

食生活の面でも、M看護師はいくつか見直しを行っていますが、残念ながら下肢静脈瘤の改善に直接つながるような栄養素や食品は特にはありません。

とは言え、日本で初めて下肢静脈瘤の日帰り根治手術をしたことで知られる北青山Dクリニック院長の阿保義久(あぼ・よしひさ)医師は、著書*²の中で、静脈を若々しく保ち、なおかつ血流がドロドロになるのを防ぐことにより下肢静脈瘤の予防、改善効果を期待できるとして、いくつか栄養素を紹介しています。

彼女はこれを参考に、毎日の食生活で以下の4点を心がけているそうです。

  1. 弾力を失った血管を修復して血液の流れをスムーズにする作用が期待できるとされるポリフェノールの一種、「ルチン」を多く含む蕎麦(特におすすめは「だったん蕎麦」)や蕎麦茶を常用する。アルコールを飲むときはポリフェノールのなかでもルチンの多い赤ワインを選ぶ(ルチンは玉ねぎや柑橘系果物にも多く含まれる)
  2. 血液をサラサラに保つ効果が期待できるとされるDHAやEPAを手軽に摂ることができるサバ缶やイワシ缶、および玉ねぎなどネギ科の野菜類を多用する
    玉ねぎに血液をサラサラにして血栓形成や動脈硬化を防ぐ効果が期待できることはよく知られている。その正体である「硫化アリル」が、実は玉ねぎ以外の野菜にも含まれていて、「血液サラサラ」以外にもビタミンB1の吸収率を高めるなどの効能が期待できることをまとめた。
  3. 静脈瘤発生要因の1つとされる「血管新生」を防ぐ効果が期待できるとされる「アントシアニン」が多く含まれている黒豆や黒ゴマ、ブルーベリーを意識してとる
  4. ティータイムには、利尿作用の高いカリウムが多く、むくみの解消に効果が期待できるとされるハト麦茶やハイビスカス、レモングラスなどのハーブティー、あるいはルイボスティー(コチラ)を選ぶ

なお、弾性ストッキング着用については、下記で紹介している弾性ストッキング・圧迫療法コンダクターの指導を受け、圧迫しすぎないように注意していると話してくれました。

長時間の立ち仕事が多い看護師の健康課題の一つに、「足のむくみ」がある。最近は手軽に入手できる弾性ストッキングが市販されている。市販のものでは改善しない場合は、心疾患などの影響も疑い、医師の診断、または弾性ストッキング・コンダクターに相談を。

参考資料*¹:長崎和仁著『足の先生!足のむくみ、だるさ、冷え、下肢静脈瘤どうすればラクになるか教えてください。』(アスコム)

参考資料*²:阿保義久著『下肢静脈瘤が消えていく食事 (足の血管のコブを防ぎ治す特効レシピ)』(マキノ出版)