地域包括ケアシステムにおける多職種連携のコツ

チームプレー

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地域包括ケアシステムで見えてきた
多職種連携(IPW)の難しさ

この先の超高齢社会を見据え、厚生労働省(以下、厚労省)が「高齢になり健康を損ねて要介護状態になっても、住み慣れた地域で、自分らしい生活を最後までできるように」をモットーに、地域内で協力し合う体制として「地域包括ケアシステム構想」を打ち出してすでに10年余りになります。

現在、全国の市区町村では、自分たちの地域にふさわしい地域包括ケアシステムを構築する取り組みが進められています。おおむねうまく動き出しているようですが、なかにはクリアすべき課題で足踏みしている地域も少なからずあるようです。

多職種間コミュニケーションの難しさ

これまで明らかになった課題のなかに、看護が日々の実践において最も重視し、力を入れている「コミュニケーション」にかかわる問題があると聞きます。

何しろ地域包括ケアシステムには、実にさまざまな職種がかかわります。関係する人びとがケアチームとしてうまく連携し、機能していくためには、職種を超えたメンバー間の円滑なコミュニケーションが欠かせないのですが、それがなかなか難しい……。

そこで今回は、職種間のコミュニケーションを難しくしている要因と、この問題をクリアするうえで看護ができることを探ってみたいと思います。なお、地域包括ケアシステム構築の要となる職場を超えた看護職のつながり、いわゆる「看看連携」については、こちらを。

地域包括ケアシステム構築の要は、医療・介護・福祉領域のあらゆる現場で活躍する看護職同士の連携であろう。この看看連携体制づくりに厚労省が病院看護管理者向けに策定した手引きを紹介。今直面している課題が院内だけの問題でないと認識することが出発点となる。

多職種が連携して30分以内に
包括的ケアサービスを提供

地域包括ケアシステムの構成要素として厚労省は、「住まい」「医療」「介護」「予防(介護予防や健康づくり)」「生活支援(福祉サービス)」の5つを挙げています。

これらのサービスをバラバラに提供するのではなく、多職種連携により一体的、つまりフルセットで提供できる体制を構築し、地域内でサポートを必要としている高齢者を安全かつ効率よく支えていこう、というのが地域包括ケアシステムの目指すところです。

24時間毎日見守り、30分以内に駆けつける

ちなみに地域包括ケアシステムで言うところの「地域」とは、「コミュニティ」といったニュアンスの漠然としたものではありません。

厚労省は、おおむね30分以内に駆けつけて必要とされているサービスを提供できる生活圏を「地域」として捉えています。具体的には中学校区を単位と考えたらいいでしょう。中学校区とは「通学距離がおおむね6㎞以内」が目安とされています。

この場合、高齢者の「住まい」が自宅であるか施設であるかを問わず、この生活圏内で、日々の生活を支えるサービスや健康面での安心・安全にかかわるサービスを24時間、毎日切れ間なく利用できるようにしていこうというわけです。

したがって地域包括ケアシステムには、地域の実情や特性が大きく反映されることになり、全国一律のケアシステムモデルなるものがあるわけではありません。各市区町村に3年ごとの策定が義務づけられている「介護保険事業計画」を通じて、各地域が目指す独自の包括ケアシステムを計画し、構築していくことになります。

多職種連携の拠点となる
地域ケア会議の積み重ねが重要

各地域が独自の包括ケアシステムの計画、構築を進めていくうえで重要な役割を担っているのが、地域包括支援センターなどが主催する「地域ケア会議」です。

この会議には、地域で活動しているさまざまな団体関係者、あるいは個人が顔を揃えます。自治体職員もいればケアマネジャー(介護支援専門員)のような介護関係機関のスタッフ、社会福祉協議会、ボランティア団体、民生委員*、もちろん医師、歯科医師、理学療法士、栄養士、薬剤師、看護師、訪問看護師らも必要に応じて集まります。

会議では、地域にあるケアニーズの把握から始まり、個別事例についてケアの提供方法やサービスの担い手となる人材の発掘、チーム体制づくりなどを検討します。この個別事例を積み重ねるプロセスを経て、地域の独自性を盛り込んだ柔軟な包括ケアシステムを構築していくことになります。

民生委員はケアチームのメンバーから外れがちですが、実は重要な役割を担っている、という話をこちらで紹介しています。是非一読を。
⇒ 退院支援看護師は民生委員とも連携を!!

医療関係者と他職種との
コミュニケーションに課題が

地域包括ケアシステムでは、ケアサービスを必要とする個別事例に求められるケア内容に応じて、いくつかの職種が連携、協働してニーズに見合ったケアチームを組み、サービスを一体的に提供できるようにしていくのが理想とされています。

地域包括ケアシステムが機能するには。この多職種連携が必須だということです。ちなみに最近はこの多職種連携は、IPW(inter-professional work)という略語で呼ばれることが多くなっているようです。

医療スタッフ間で使い慣れている専門用語

複数の職種が連携してひとつの事に当たっていくためには、参加者が顔見知りの関係になり、お互いの特性や専門性を理解し合えるように話し合いを重ねることが不可欠です。

ところがこの話し合いにおける医療関係者とのコミュニケーションが、あまりスムーズにいかないという声が、医療職以外の職種からチラホラ出ているようです。と言っても、医療関係者にコミュニケーション力が不足しているということではありません。

ケア対象者に関する情報を共有しようとする際に、医療現場において医療者間で使っている専門用語や略語をあまりに頻繁に使いすぎる点に、問題があるようなのです。この点は、医療関係者としては心しておく必要がありそうです。

看護職に期待される医師とのパイプ役

もう一点、これは医師に関してよく聞く話ですが、連携チームの仲間に病状や治療など医療に関係した説明をする際に、こちらが納得できるまできちんと説明してくれない。一通り説明した後に「何か質問はありませんか」と尋ねてくれる医師はごくまれだ、と――。

このようなときには、常に医師のそばにいて、医療に関しては素人である患者や家族とのコミュニケーションに長けてもいる看護職に、医師とのコミュニケーションのパイプ役として、あるいは医師による情報提供の通訳としての役割を担ってもらえるといいのだか、との声も少なからずあることを書き添えておきます。

なお、地域ケア会議の進め方、参加の仕方などについては『30のテーマでわかる! 地域ケア会議コーディネートブック』(第一法規)を参考にしている方が多いようです。