オンライン会議の導入で気をつけたいこと




情報通信機器

情報通信機器を活用して
医療スタッフの負担軽減

新型コロナウイルスの感染拡大により、ビジネス界や教育界をはじめとするさまざまな領域で、感染予防の観点から業務のオンライン化が一気に加速しています。

医療の世界でも、オンライン診療等の普及が急ピッチで進んでいますが、実は、新型コロナウイルスがパンデミックを起こす前から、この動きは始まっていました。

2020年度の診療報酬改定では、医療機関における日常業務の効率化に役立つ情報通信機器(Information communication technology :ICT)をカンファレンスや会議、共同指導といった場面で積極的に活用することにより、医療スタッフの負担を少しでも軽減しようと、算定実施要件の大幅な見直しが行われていたのです。

かいつまんで言えば、「対面方式中心」から「オンライン方式中心」への切り替えです。

ただ、たとえば共同指導やカンファレンスをWeb会議のようなオンライン方式で行う際には、患者に関するさまざまな情報の共有をインターネット上で行うことになりますから、ほぼ丸裸の状態で情報のやりとりしていいのか、といった問題が当然発生してきます。

その辺のことも踏まえつつ、情報通信機器の活用に関する今回の診療報酬改定に伴う算定要件見直しにスポットを当てて整理してみたいと思います。

2020年度診療報酬改定により
情報通信機器活用要件が緩和

まずは確認ですが、2020年度診療報酬改定において、「情報通信機器を用いた会議やカンファレンスの推進に係る要件の見直し」の対象となったのは、以下の11項目です。

  1. 感染防止対策加算
  2. 入退院支援加算1
  3. 退院時共同指導料1・2 注1
  4. 退院時共同指導料2 注3
  5. 介護支援等連携指導料
  6. 在宅患者訪問看護・指導料 注9
  7. 同一建物居住者訪問看護・指導料 注4
  8. 在宅患者緊急時等カンファレンス
  9. 在宅患者訪問褥瘡管理指導料
  10. 訪問看護療養費における在宅患者緊急時等カンファレンス
  11. 訪問看護における退院時共同指導加算

以上の項目について、従来までは概ね、
「原則として対面で実施し、やむを得ない事情により対面でカンファレンスや会議に参加できない、あるいは直接指導できない場合に限り、情報通信機器の活用も可能」
とされていました。

これを、要件見直しに伴い、改定後は情報通信機器を活用することにより、以下のように業務内容が改善されています。
⑴ やむを得ない事情により対面で参加できない場合でなくてもカンファレンスに参加できる
⑵ 医療資源の少ない地域でなくても退院時共同指導を実施できる

「やむを得ない事情」要件から
「責任者の判断」要件へ

具体的に見てみると、たとえば「1」の感染防止対策加算ですが、月1回程度の開催が求められている院内の安全管理委員会については、改定により、
「安全管理の責任者が必ずしも対面でなくてよいと判断した場合においては、情報通信機器を活用する等の、対面によらない方法でも開催可能とする」
となっています。

「8」と「10」における情報通信機器については、前回(2018年度)の改定で、カンファレンス等については活用が認められていましたが、今回の改定によりその活用範囲が拡大されています。
また、「やむを得ない事情」という要件がなくなっています。

「3」と「11」の情報通信機器を活用した退院時共同指導についても、
「対面で行うことが原則であるが、リアルタイムでの画像を介したコミュニケーション(以下、「ビデオ通話」)が可能な機器を用いて共同指導した場合でも算定可能」
となっています。

加えて、オンライン診療や遠隔モニタリング等については、これまでの「医療資源の少ない地域」という限定条件がなくなっています。

このように会議やカンファレンス等に情報通信機器を活用することにより、当該カンファレンス等に参加するための移動にかかるコストや時間が大幅に削減され、業務の効率化を図ると同時に、医療スタッフの負担軽減にもつなげようというわけです。

なお、今回の新型コロナウイルス感染拡大を受け、オンライン診療の活用条件は大幅に緩和されています。詳しくはこちらの記事を!!
→ オンライン診療について知っておきたいこと

オンラインでの情報共有は
患者情報のセキュリティ確保を

ところで、オンライン会議とは、Webカメラやマイクといった情報通信機器を使い、インターネットを介して、遠隔地にいる人とビデオ通話、あるいは映像共有ができない場合は音声のみによってでもコミュニケーションをとるということです。

このオンライン会議には呼び方がいろいろあるのですが、一般に、各自が所有しているパソコンやスマートフォン、タブレットを使って会議を行う「Web会議」と、院内の会議室など特定の場所に専用のカメラやマイク等を設置したうえで、多数対多数で話し合う「テレビ会議」とに分けられるようです。

テレビ会議を行うには当然、専用の機器を設置する必要があります。
その点で設備上の課題はありますが、音声や映像の品質が安定しやすいことから、たとえば院内と地域の拠点をつなぎ、多数が参加して行うカンファレンスなどはテレビ会議方式が向いているのではないでしょうか。

逆に、インターネット環境がありタブレットやスマートフォンさえ用意できれば、1対1でも、1対多数でも話し合いや情報交換、指導が可能になる点が、Web会議のメリットです。

ただし、いずれにしても、そこでやり取りされるのは患者情報です。
友人とおしゃべりするのとは違い、ただ情報交換や話し合いができればいいということにはなりませんから、当然患者という個人の情報を守ることが求められます。
つまり、セキュリティです。

オンライン会議のセキュリティについては、
⑴ 会議やカンファレンス参加者を一定のドメインやメールアドレスを持つ人だけに限定する
⑵ SSO*という統一認証を通らないと会議やカンファレンスに参加できないようにする
⑶ セキュリティソフトを忘れずに導入する
等々の機能設定をすることにより患者情報が関係者以外に漏れないようにすることができます。

日常業務に情報通信機器を活用する際には、こうしたセキュリティ上の問題をまずクリアしておくことを忘れないようにしたいものです。

*SSOとは、Single Sign On(シングルサインオン)のこと。
1つのIDとパスワードを入力して、Webサービスなどにログインするしくみ。
一度の認証により、その都度IDやパスワードを入力したり、管理しておく手間を省くことができるうえに、セキュリティの強化につながる。