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マスクの長時間着用により
肌荒れに悩む人が増加
新型コロナウイルスが登場して以来、職場を離れてもマスクは生活必需品と言っていいでしょう。マスクを着用すること自体、従来の生活ではあまり経験なかった人たちも、マスクの長時間着用が習慣になってきています。
その結果として、マスクによるニキビや吹き出物、肌のカサつきなどの肌荒れに悩む人が多くなり、その対策が日々各種メディアで取り上げられていますが、そこでよく紹介されているのが、「薬用バーム」です。
バームと聞いてとっさに頭に浮かぶのは、「ワセリン」でしょうか。ワセリンは、肌荒れのそもそもの原因となっている皮膚のバリア機能(防護機能)の低下を改善する効果が期待できることで知られています。
このワセリンに、肌荒れをケアする成分を配合したのが「薬用バーム」です。マスクと肌が頻繁に触れ合う部分にあらかじめ塗っておけば、肌のバリアとなって働き、摩擦によるダメージを防いでくれるというのですが……。その真偽の程を詳しく調べてみました。
白色ワセリンが基剤の
軟膏剤と薬用バーム
「バーム」とは、スキンケア、とりわけ保湿ケアに必須の、いわば「アブラ」として美容界ではよく使われる表現のようです。一般的に言えば、「軟膏(なんこう)」または「塗り薬」と理解していいでしょう。
皮膚科などでよく処方される「軟膏剤」には、白色ワセリン*を基剤(きざい)とし、そこに治療目的の有効成分を添加して作られているものが多いと聞きます。
有効成分だけを皮膚に塗っても、薬を効かせたい部分にうまく届かなかったり、皮膚表面に留まりきれないために効果を発揮できなかったりします。そこで、ワセリンなどの基剤が使われるわけです。
基剤は、有効成分を長く皮膚に留めて、薬効を上手に引き出してくれる働きをします。なかでも白色ワセリンは、皮膚に対する刺激性がなく、有効成分にマイナスの影響を与える心配もないことから、基剤としてよく使われるようです。
精製による純度の違いから4種類に分類される。医療機関で使用される頻度が高いのは、純度が最も低い黄色ワセリンをさらに精製して不純物を取り除いた「白色ワセリン」。
薬用バームは
ベタベタしてこそ意味がある
さて「薬用軟膏」、つまりスキンケアで言うところの「薬用バーム」ですが、常温ではやや硬めの剤形をしています。これを肌に薄く塗布すると、塗った瞬間から皮膚温により徐々に溶けていき、オイル成分が皮膚表面に滑らかにのびるようになります。
塗ったあとベタベタして、服などにもつきやすいことを嫌う方もいるようですが、実はそのベタベタして水で洗っても簡単には落ちないところがいいのです。
化粧水や美容液のようなローションタイプは、塗ったあとがさっぱりしていますから、使いやすさという点では、こちらのタイプを好みがちでしょう。
しかし、薬用バームは、ローションのように角質層まで浸透することなく、また、汗で流れることもなく肌の表面に留まり、「マスクによってすれる」といった外的刺激から皮膚を保護してくれるというわけです。
薬用バームは数ある化粧品各社からさまざまな商品が売り出されていますから、使い慣れている会社の製品をお使いになるのがいいと思います。ちなみに、私の周りで、ベタつきが気にならず、みずみずしい美容クリームのような使い心地と好評なのは、資生堂の【医薬部外品】イハダ 薬用とろけるべたつかないバーム 高精製ワセリン配合 です。
また、皮膚科の専門医が監修したエクスバリア プロテクトリペアバーム カラータイプ 20g マルチ保護バーム も、外部刺激から肌を守り、肌荒れをケアしてくれる効果があるとして人気を集めているようです。
マスク着用による
肌トラブルの悪化防止策
マスクの着脱による摩擦以外にも、マスクでおおわれた部分の「むれ」も、吹き出物や肌のベタつきなど、肌荒れの原因となります。
このような肌トラブルをそのまま放置していると、炎症が悪化して後々まで赤みが残ったり、黒ずんだりするリスクがありますから、注意が必要です。具体的な対策としては、以下があげられます。
- 外出前にマスクが当たる頬を中心に薬用バームを塗り、擦れによるトラブルを防ぐ
- 屋外では、フィジカルディスタンス(身体的距離)を確保したうえでマスクを外す
- マスクを外したときは、口の周りを十分換気する
- マスク周りには化粧を控える
- 炎症の原因となる汗は、ハンカチで押えるようにしてすぐに吸いとる
- マスクは1日で使い捨て、または洗えるタイプのものを使用する
- 汗が付いたままのマスクの再利用は避け、常に清潔なマスクを着用する
なお、「肌は内臓の鏡」と言われるように、肌には腸の状態がそのまま現れます。全粒穀物を毎日の食事に取り入れるなどして、腸内環境を整えることもお忘れなく。
N95マスク着用による圧迫創傷を防ぐ
新型コロナウイルスはいうまでもなく、院内感染対策としてエアロゾルが発生するような医療処置が施される患者のケアには、N95マスクの装着が必要となります。
この装着が長時間に及んだり、着脱を頻回に繰り返していると、鼻のつけ根などに褥瘡を思わせる兆候が出始めることがあります。
医療関連機器圧迫創傷の1つとされるこの創傷を防ぐ対策については、日本褥瘡学会が推奨する予防策をこちらで紹介しています。是非参考に!!