看護師の手洗い励行による手荒れ対策

看護師の手荒れ

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手指衛生につきものの
手荒れが看護師を悩ませる

看護師さんは、まずは自分自身を病原体から守るため、さらには手指を介しての院内感染を防ぐために、ケアの前後には必ず手指消毒か手洗いを、標準予防策として励行しています。つまり「1処置1手指消毒or手洗い」が鉄則となっているのです。

免疫力が低下しがちな高齢者を対象にすることの多い訪問看護師さんも、感染症対策として、手指の衛生に務めておられることと思います。

頻回の手指消毒や手洗いにつきものが手荒れです。特に石鹸と流水による手洗いで「手を濡らす→乾かす」を繰り返していると、皮膚を保護している皮脂膜のバリア機能が弱まり、やがて角質層にダメージを与え、乾燥、ひび割れ、あかぎれと、手荒れを引き起こします。アルコールを含む手指消毒薬の刺激も、手荒れの原因となります。

そこで今回は、多くの看護師さんを悩ませている、この「手洗い・手指消毒の励行に伴う手荒れ」について、予防策を中心にまとめてみたいと思います。

CDCガイドライン奨励の
手荒れ防止スキンケア

医療現場における手指衛生のガイドラインの主なものとしては、2002年に公表されたCDC(米国疾病管理センター)のガイドラインと、2009年に世界保健機関(WHO)から発表されたガイドラインがあります。

どちらも、頻繁な手指衛生による刺激性接触皮膚炎が、看護師等医療スタッフの間でかなりの高率で発生していることを指摘。そのうえで、感染対策の管理者に対し、手指衛生の教育プログラムのなかに刺激性接触皮膚炎などの皮膚トラブルを最小限に抑えるためのスキンケア情報を盛り込むように促しています。

この手指衛生の一環としての手荒れ予防のためのスキンケアとして、上記のガイドラインは、おおむね以下の点をあげています。

  1. 院内で使用している標準的な手指消毒薬や手袋などの手指衛生製品にはっきりしたアレルギーがあれば、躊躇せずに代わりのものを求め、それを使用する
  2. 手指消毒や手洗いによる皮膚トラブルを最小限に抑えるために、自分に合ったハンドクリームやハンドローションを用いる
  3. エタノールやイソプロパノールなどアルコールベースの手指消毒薬を利用できるときは抗菌石けんの使用は極力控えた方がよい非抗菌石けんも頻繁に使用すると皮膚トラブルが起こることがある
  4. 石けんとアルコール手指消毒薬の併用は避け、汚れの有無に応じて使い分ける
    「目に見える汚れがあれば石けんと流水による手洗い」
    「目に見える汚れのないときはアルコール手指消毒薬による擦式手指消毒」
  5. 石けんと流水による手洗いに比べ、ヒアルロン酸など保湿効果のある皮膚保護薬を含んだ速乾性擦式手指消毒薬のほうが手荒れしにくい(低アルコール・ジェルタイプで速乾性のピュレル ゴージョー が人気のようです)
  6. 流水による手洗いには温水を避け、品質の良いペーパータオルで軽くたたくようにして水気をしっかり切るようにする
  7. 湿度の低い環境(冬季に多い)や手袋の材質(ラテックス)に対するアレルギーも手荒れの原因と考えて見直してみる(ラテックスアレルギーについてはこちらを)

ハンドケア製品の
理にかなった選択と使い方

手指衛生励行による手荒れに関して、看護師のあなたが差し迫って知りたい情報は、おそらくハンドクリームやローションといったハンドケア製品のことでしょう。

そこで、取材の折に、荒れのみられない手をしている看護師さんを中心に、好んで使っておられるハンドケア製品をうかがうなどして集めた情報をもとに、お勧めできるものをその使い方と合わせ、以下にまとめてみました。

  • 最近は、頻回に手洗い・手指消毒を行う医療従事者向けのバリアクリーム・ローションが、製薬会社を中心に市販されている。たとえば3M製の キャビロン ハンドモイスチャーローション は、手押しポンプ据え置きタイプで、業務中も使用できるようになっている。病棟単位、施設単位での購入検討を、感染管理者等に提案してみてはどうだろうか
  • 個人レベルでは、保湿効果があり、なおかつベトつきや臭いのないタイプで、尿素やセラミド、ワゼリンを配合したタイプのクリームやローションが効果的とされている。ただし、ひび割れがあるときに尿素配合クリームをつけると、浸みるので注意が必要
  • 容器タイプのものはクリームを取り出す際に手指についた菌で容器内を汚染させるリスクがあるため、チューブ入りかポンプタイプのものがいい
  • ハンドクリームをつけた状態で手洗いや手指消毒を行うと、石けんや消毒薬の透過性を低下させ、むしろ皮膚に付着した菌をクリームが守ることになってしまう。
    ハンドクリームをつけるときは、ケアを終えてから手洗いや手指消毒を行い、十分乾燥させたのち細菌が付着していない状態でつけるようにする
  • 最近は、ハンドクリームをつけた状態でも消毒効果に影響しないハンドプロテクト もゴージョ―から売り出されており、試してみるのもいい
  • ハンドクリームをつけていても効き目が思わしくなく、手荒れが進む場合は、細胞学研究室で開発されたアルコール・保存料・防腐剤・界面活性剤・着色料を一切含まない、文字通り無添加の手荒れ用化粧水Toccoピュアバリアローション に変えてみるのもいい

手荒れ防止に
保湿剤入りハンドクリームを

手が荒れると、仕事上でも私生活においても自然とその手をかばいたい気持ちから、「できるだけ水にさらしたくない」「ものに触れたくない」となりがちではないでしょうか。荒れがひどくなれば「痛み」も出てくるでしょうし、「指先に力が入らない」ようなことにもなってくると思われます。

こうした個人レベルの問題に加え、看護師さんの荒れた手が感染源となり、院内感染を引き起こしかねないという問題もあります。荒れた手を水やアルコール消毒薬にさらしたくないとか、アルコール刺激による痛みを避ける気持ちから、手洗いや手指消毒をする回数が減少するリスクがあるからです。

また、ひび割れができた場合は、その割れた傷が細菌の巣となり、あるいは傷口から滲み出る血液や体液が、ケアを受ける患者の感染リスクを高めるリスクもゼロとは言い切れません。

このようなリスクを避けるためにも、手指衛生を励行することと並行して、手荒れの原因から手を保護するスキンケアもお忘れなく。

たとえば仕事の前にアステリア メデッサスキン クリーム(スキンプロテクトクリ ーム)などを塗っておくと、手荒れの原因をブロックして肌を保護してくれます。一般のクリームのようなベタベタ感も匂いもないため、ケアに支障をきたす心配はありません。

手荒れを防ぐには
自身の免疫力や体質への配慮も

なお、WHOのガイドラインは、「手荒れを増強するような生活習慣がないかどうか」を確認してみることも手荒れ対策としては大切だとしています。

普段から食生活を見直し、手荒れが治りにくいときは、免疫反応に重要な役割を担っているNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性効果が認められている乳酸菌系飲料を常用して免疫力を高めるなど、からだのなかからのケアもお忘れなく。

また、手荒れにはもともとの体質、特にアトピー素因などにより皮膚バリア機能が弱い体質ではないかどうかも影響します。

家族にアレルギー疾患にかかった人がいる」あるいは「自身がアトピー性皮膚炎以外の気管支喘息やアレルギー性鼻炎・結膜炎などの既往がある」のいずれかに該当する方で手荒れが緩和しにくい方は、皮膚科医にアトピー素因について相談するとか、ハンドマッサージなどの予防策を講じることにより予防効果は期待できそうです。

手荒れは職業病みたいなものと諦めている看護師さんもいるようです。でも、取材中に手荒れの全くない何人もの看護師さんに出会って話を聞いてきました。その秘訣は、手荒れ対策を徹底していること。とりわけ、就寝前のハンドマッサージがいいようです。