管理栄養士による訪問栄養食事指導が好評です

日本食

本ページはプロモーションが含まれています。

管理栄養士が患者宅を訪問
食事や栄養の相談に

入退院支援担当の看護師さんや訪問看護師さんに、在宅療養中の患者や家族に対する支援の充実を図るうえで是非活用していただきたい公的サービスの一つとして、かかりつけ薬剤師による訪問サービスを先に紹介しました。

高齢者は一度に複数の診療科を受診し、各診療科の担当医から多種類の薬の処方を受けることが珍しくありません。その多々ある処方薬の服用方法や自己管理に不安を抱える在宅療養者にとって、自宅に居ながらにしてなじみのかかりつけ薬剤師から直接指導を受けられるこのサービスは、高齢者だけの世帯や一人暮らしの高齢者には特に好評と聞いています。

そこで今日は、視点を食事などの栄養面に置き換え、やはり在宅に居ながらにして、栄養に関してはプロである管理栄養士から、個別の指導を直接受けることができるとして、これも好評な訪問栄養食事指導サービスについて書いてみたいと思います。

管理栄養士訪問サービスには
医師による訪問指示箋が必要

管理栄養士による訪問栄養指導サービスは、医療保険でも介護保険でも受けられる公的サービスです。正式には、「在宅患者訪問栄養食事指導」サービスとなっています。

2020年度の診療報酬点数表によれば、この訪問栄養食事指導サービスを医療保険で利用できるのは、以下の3条件に該当する患者です。なお、介護保険サービスとしての「(管理栄養士が訪問して行う)居宅療養管理指導」も条件はおおむね同じです。

  1. 在宅で療養を行っていて、疾病あるいは負傷により歩行に支障があるなど、通院による療養指導を受けるのが困難な患者
  2. 診療結果から、医師が特別食*を提供する必要があると判断し、指示箋を交付した患者
    (糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が基礎疾患としてある患者)
  3. 次のいずれかに該当するとして医師が栄養管理の必要性を認めた患者
    ⑴ がん患者
    ⑵ 摂食機能または嚥下機能が低下した患者
    ⑶ 低栄養状態にある患者(体重変動、BMI、血清アルブミン値などが指標となる)
対象となる特別食としては以下があげられる。
腎臓病食、肝臓病食、糖尿病食、胃潰瘍食、貧血食、膵臓食、脂質異常食、痛風食、心臓疾患などに対する減塩食、高血圧に対する食塩6g以下の減塩食、検査食(潜血食、大腸エックス線検査・大腸内視鏡検査のための低残渣食)、十二指腸潰瘍に対する潰瘍食、クローン病および潰瘍性大腸炎による腸管機能低下に対する低残渣食、高度肥満症食、経管栄養のための流動食、嚥下困難者のための流動食、低栄養状態に対する食事

患者宅で栄養アセスメントの上
栄養食事指導箋を作成

在宅患者を上記条件に該当すると医師が認めた場合、医師の指示を受けた管理栄養士が患者宅を訪問し、患者の生活条件や嗜好等を考え合わせて行う、いわゆる栄養アセスメントをもとに食事計画案を立案、または具体的な献立レシピを示した栄養食事指導箋を患者ないしはその家族に交付します。

管理栄養士から栄養食事指導箋を受け取った患者サイドは、その栄養食事指導箋に沿った食材を準備、調理し、摂取する方法について、具体的な指導を受けることができます。

友人の管理栄養士によれば、たとえば、患者に嚥下機能障害があり、家族が嚥下食を作っているのだが、「あまり食べてもらえないので心配だ」との訴えには、次のような栄養食事指導を行うそうです。

  1. 実際に家族が用意した介護食を見せてもらう
  2. その介護食をもとに、調理方法やとろみのつけ方、理想とする摂取量の目安、市販のレトルト食品の紹介などを行う

あるいは、「褥瘡がなかなか治らないが、栄養状態がよくないのか」と心配する家族には、次のようなサポートをしているとのこと。

  1. 体重の変動や血液データ、皮膚状態などから栄養状態をチェックする
  2. 食事内容や摂取量を確認する
  3. 褥瘡改善のために必要な栄養素を手軽に補給できる栄養補助食品を紹介する

管理栄養士訪問サービスに
かかる費用は?

以上の栄養食事指導を1回につき30分以上行った場合、医療保険では「在宅患者訪問栄養食事指導料」が、介護保険では「居宅療養管理指導・介護予防居宅療養管理指導料」が、月2回まで算定されることになっています。

この指導料算定、つまりサービス1回の利用にかかる費用は、「利用している保険は医療保険か介護保険か」、また「個人宅や介護施設など、同じ建物の居住者の内このサービスの利用者が1人なのか、あるいは2人以上なのか」などにより大きく違ってきます。

管理栄養士と栄養士の違いは
栄養指導を行う対象の違い

ところで、このサービスを担うことのできる「管理栄養士」は普通の「栄養士」とどう違うのか、疑問をもたれた方も少なくないと思います。栄養士も管理栄養士も、食と栄養のスペシャリストですが、両者を分ける最大のポイントは、栄養指導を行う対象が違うことです。

まず「栄養士」は、厚生労働大臣指定の栄養士養成施設を卒業後、都道府県知事認証に基づく免許資格で、主に健康な市民を対象に栄養指導や給食の運営を行っています。

一方、「管理栄養士」は国家資格で、その免許資格は管理栄養士国家試験に合格後、厚生労働大臣の認証に基づいて与えられます。

食事摂取に何らかの支障をきたしている病人や高齢者、あるいは病気の診断を受けているわけではないものの栄養面で課題を抱えている、たとえば糖尿病予備群に該当するような人を対象に、専門的な知識と技術を活用して、主に医療機関や福祉施設、学校などで、栄養指導や給食管理、栄養管理を行っています。

なお、管理栄養士による訪問サービスについて詳しく知りたい方は、臨床栄養別冊 新 在宅訪問栄養実践ガイド 知っておきたい在宅高齢者の食事と栄養 が参考になります。