シンバイオティクスを排便コントロールに活用

トイレ

シンバイオティクスを取り入れたら
残便感が改善された

懇意にしていただいている訪問看護師のKさんから、こんなメールが届きました。

「シンバイオティクスを利用者さんの排便ケアに取り入れたところ、改善がみられました。初めての試みでしたが、思い切ってやってよかった!!」

ここに書かれている「シンバイオティクス」とは、あまりなじみのない言葉です。

Kさん自身も、シンバイオティクスという言葉自体は知っていたものの、今回実際に利用するまでは、詳しいことは理解していなかったそうです。

訪問先で、強い残便感が続いている利用者の家族(元管理栄養士)から、「シンバイオティクス効果が期待できるというヤクルト400W(ダブル)を飲ませてみたいのですが……」と相談されたのがきっかけだったそうです。

かかりつけ医に相談し、「一度やってみてはどうだろうか」との了解のもと、利用者が飲み始めて1週間もしないうちに、つらかった残便感が改善し、排便後のスッキリ感を話してもらえるようになったのだそうです。

そこで今回は、このシンバイオティクスについて、調べたことを書いておきたいと思います。

シンバイオティクス療法には
術後感染防御や炎症抑制効果も

シンバイオティクスについては、一部の医療現場において、手術後の感染防御や炎症の抑制などを目的に「シンバイオティクス療法」が1990年代後半から行われているそうです。

ですから、ご存知の看護師さんも少なからずいらっしゃるだろうと思います。

一応確認の意味で、腸内細菌学会の用語集で確認すると、次のように説明されています。

シンバイオティクス(synbiotics)は、プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたものである。(ー中略ー)プロバイオティクスが生菌として、腸内細菌叢バランスの改善などの作用により宿主動物に有益に働き、プレバイオティクスは腸内有用菌の増殖を促進したり、有害菌の増殖を抑制することにより宿主に有益に作用を有するが、この2つを組み合わせることにより、双方の機能がより効果的に宿主の健康に有利に働くことを目指している。

(引用元:腸内細菌学会「用語集」*¹)

うーん、ちょっとわかりにくくてピンとこない――。

シンバイオティクスで
腸内環境を改善する

ご承知のように、便通を整えるポイントは、「腸内フローラ」とも呼ばれる腸内細菌叢(そう)のバランスの改善、いわゆる腸内環境の改善にあります。

腸内には、約1,000種類、数にして100兆個にも及ぶ細菌が常在していると言われます。

この常在菌の集まりである腸内フローラのなかには、大腸の働きを活性化させる「善玉菌」と大腸内の腐敗を進め、健康にマイナスに働いてしまう「悪玉菌」、どちらか強い方の味方をする「日和見菌(ひよりみきん)」の3種類の細菌が生息しています。

これらの細菌が、腸内でバランスよく存在する状態に持っていけば、便通は改善され、免疫力も強化されることが期待できるわけです。

その最も手軽な方法として「ビフィズス菌」や「乳酸菌」などを多く含むヨーグルトなどの食品がいいことは先刻ご承知のことと思います。

これらビフィズス菌や乳酸菌のように私たちの腸内で身体にプラスの働きをする、いわゆる善玉菌が、プロバイオティクスです。

プロバイオティクスと
プレバイオティクスを一緒に

一方、乳酸菌などのプロバイオティクスが腸内で増殖して本来の力を存分に発揮するには、増殖するための栄養源としてオリゴ糖のような「エサ」が必要です。

このエサは、「プレバイオティクス」と呼ばれます。

先のプロバイオティクスとプレバイオティクスを一緒に摂ると、腸内環境が健康的により好ましい状態に整えられ、便通の改善はもとより、腸内の免疫細胞が活性化することにより、免疫機能が強化されることも確認されています。

このように、プロバイオティクスとプレバイオティクスの2つを組み合わせて同時に摂取することをシンバイオティクスというわけです。

ヤクルト400W1本がシンバイオティクス成分に

ヤクルトのホームページをチェックしてみると、K訪問看護師の利用者が飲み始めたという「ヤクルト400W」は機能性表示食品で、消費者庁届出番号は「F151」とあります。

なお、機能性表示食品についてはこちらを参照してください。

そこで早速、消費者庁の「機能性表示食品の届出情報検索」で「届出番号F151」を検索してみました。

するとそこには、「本品には生きたまま腸内に到達する乳酸菌シロタ株とガラクトオリゴ糖が含まれています」*²とあるのに続き、次のような説明が付記されています。

「乳酸菌シロタ株とガラクトオリゴ糖には、よい菌(乳酸菌やビフィズス菌)を増やして腸内環境を改善し、お通じを改善する機能(効能)があることが報告されています」*²

ということは、ヤクルト400Wにはプロバイオティクスとプレバイオティクスが含まれていて、1本でシンバイオティクスの成分を充たしているということになります。

参考までに、ヤクルト400Wは宅配専用商品です。

宅配の注文は、ヤクルトお客さま相談センター(0120-11-8960)で受け付けています。
受付時間:10:00-16:00(土・日・祝日・夏季休業・年末年始を除く)

食事によるシンバイオティクスで
腸内環境を改善する

改めて言うまでもないでしょうが、毎日の食事にシンバイオティクスを取り入れることにより、腸内環境を改善して便通を整えることもできます。

プロバイオティクス食材としては、乳酸菌やビフィズス菌を多く含むヨーグルトやチーズ、納豆菌の納豆、麹菌の味噌やぬか漬けなどがあります。

また、プレバイオティクス食材としては、食物繊維の多いブロッコリー・きのこ類などやオリゴ糖を多く含む大豆や玉ねぎ、バナナなどがあります。

これらのプロバイオティクス食材とプレバイオティクス食材を一緒に摂れば、その相乗効果によりシンバイオティクスの効果が期待できるのです。

とかく私たちは、便通改善のためにとヨーグルトなどのプロバイオティクス食材は積極的に摂るようにしがちです。

あるいは、便秘がちだったりすると、食物繊維の多いプレバイオティクス食材を摂るのですが、プロとプレの両方の食材を組み合わせて摂るということはあまりしていないように思いますが、いかがでしょうか。

便秘がちな方は、是非一度、プロバイオティクス食材とプレバイオティクス食材を一緒に摂ってシンバイオティクス効果を試してみてください。

なお、高齢者に多い慢性便秘症の診療ガイドラインをこちらで紹介していますので、一度読んでみてください。

引用・参考資料*¹:腸内細菌学会「用語集」シンバイオティクス

参考資料*²:消費者庁「機能性表示食品の届出情報検索」