増える外国人患者 看護師はどう対応? 




腹痛

病院の8割が外国人患者受け入れるも
気になるのはコミュニケーション

日本に生活の拠点を置いている、いわゆる在留外国人に加え、観光で、あるいはビジネスなどで一時的に日本を訪れる外国人旅行者の数も近年急増しています。
日本政府観光局の統計によると、今年(2017年)7月には、月単位の訪日外国人旅行者の数が過去最高の268万2000人に達したそうです。

加えて、来る2019年にはラクビーワールドカップが、その翌年の2020年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されることになっています。
この先訪日外国人がさらに増えることは容易に想像されるところです。

そんな状況のなか、去る8月1日、厚生労働省がとても興味深い調査結果を公表しています。
2015年度の1年間に在留外国人や外国人旅行者を患者として受け入れた医療機関が全体の79.7%に上り、入院患者として扱った医療機関も58.5%に上ったというのです。
この数字を看護師さんはどのように受けとめられるでしょうか。

看護をはじめとする医療サービスの基本となるのは、患者ー医療スタッフ間の意思の疎通、つまりコミュニケーションです。
医療機関を訪れた日本語が話せない外国人患者への対応において、言葉が通じ合えないために意思疎通が図れないなど、診療やケアに支障をきたすことはなかったか――、気になるところではないでしょうか。

なお、2019年に厚生労働省は「外国人患者受入れのための医療機関向けマニュアル」を公表しています。詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。

訪日外国人は増加傾向にある。併行して医療機関を訪れる外国人旅行者も大幅増となるとの見通しのもとに公表された「外国人患者受入れのための医療機関向けマニュアル」を参考に、社会問題化している医療費トラブルの防止や感染症対策、宗教上の問題を中心にまとめた。

外国人患者の安心・安全を
看護師はどう守っているのか

今回の調査は、外国人患者が安心して医療サービスを受けられる体制をつくるために、まずは実態を知ろうと、厚生労働省が初めて実施したものです。
調査の対象となったのは、救急患者を受け入れている救急告示病院など、全国3,761の医療機関と医療通訳サービス提供事業者、および都道府県と政令指定都市、在留外国人・外国人旅行者の多い自治体などです。

回答した医療機関は1,710施設で、回答率は45.5%でした。その回答内容を見てみると、2015年度に外国人の外来患者を「受け入れた」と答えているのは1,363医療機関(79.7%)で、うち1,001機関(58.8%)は、外来に加えて「入院があった」と回答しています。

外来で外国人患者を受け入れた医療機関にその人数を尋ねたところ、半数以上が「年間20人以下」の受け入れがあったと回答。ただしなかには、500人を超えたところも9.8%あり、さらには1,001人以上を受け入れた医療機関も5.7%ありました。

これだけの数の外国人患者を受け入れている一方で、「医療通訳(電話通訳を含む)を利用した経験がある」と回答した医療機関は、なんと12.7%にとどまっていました。
今回の調査に回答した47の医療通訳サービス提供事業者に限っていえば、登録されている医療通訳者は2,413人にとどまり、人材不足の感は否めません。

本調査は、日本語でのコミュニケーションが難しい外国人患者の対応に使用した言語についても質問しています。最も多かったのはやはり「英語」で56.8%、これに「中国語」(26.6%)が続き、なんと「日本語」も26.0%を占めていました。

この回答から、日本語でのコミュニケーションが難しい外国人患者を前に、多くの看護師さんが、日本語を使いながら、非言語的な方法をあれこれ駆使して、外国人患者に安心・安全を届ける努力をしておられることが推察されます。
なお、この調査結果の詳細をご覧になりたい方はこちらを(PDF)。

「仕事で英語を使える」看護師は
全体の33%という統計値

日本語でのコミュニケーションが難しい患者への対応に備えて英語力を高めようと、日々努力している医師や看護師ら医療スタッフも多いようです。

たとえばわが国で最大級の医療従事者専用医療情報サイト「m3.com」が2016年1月に、会員を対象に外国語スキルについて意識調査を実施しています。回答者総数は3,096人で、内訳を見ると大多数が勤務医と開業医ですが、看護師も18人含まれています。

その回答(詳細はこちら)を見ていてちょっと意外だったのは、医療現場で使うことができる日本語以外の言語として「英語」をあげいる人の割合の高さです。
勤務医は64%、開業医は59%、薬剤師は43%の順に高く、看護師では33%が「英語を仕事で使える」と回答しているのです。

「使える」とはいうものの、必ずしも日常会話のように「流暢(りゅうちょう)に外国人患者とやりとりできる」というわけではないようです。ジェスチャーを交えたり、紙に書いたり、翻訳アプリを利用したりと、皆さんそれぞれに工夫しているようです。

紹介されているその工夫やコツで多いのは、「Google翻訳」など、インターネットや携帯電話・タブレットの翻訳ソフトを活用してコミュニケーションをとる方法です。英語に限定されていないソフトが多いことも魅力のようです。

日本語で話しかけると、かなり長い会話も、設定した国の言葉に訳して発音してくれる語学学習タブレット GT-V8アジア ダブルSIMカードスロット搭載もあります。
最新式のものでは、英語・ドイツ語・フランス語・ロシア語・中国語・韓国語など11言語、40カ国の音声を認識してくれますから、日本語でのコミュニケーションが難しい患者対応には大きな力になってくれます。
もちろん語学学習にもフル活用できます。

ただ、翻訳ソフトや翻訳アプリにもいろいろなタイプがあります。そのなかで、外国人患者が携帯しているソフトやアプリのなかには、間違って翻訳されるものも少なからずあるようです。その点は注意が必要ですが、おおむねうまくいっているようです。

身振り手振りであっても
理解しようとする姿勢さえあれば

翻訳ソフト・アプリ以外の方法としては、おおむね以下の方法が紹介されています。

  • 医療用英会話本を活用する
    (医療現場で必要な英会話は日常英会話とは異なるため)
  • 診療に関する説明の図解本やパンフレット、マニュアルなどを作成して活用する
  • 診察場面では絵を描いたり、筆談を交えたりして説明する
  • ボディランゲージ、つまの身振り手振りのジェスチャーを駆使する

詳しくは、日本語の通じない外国人患者を実際に診療した勤務医や開業医の体験談が紹介されているこちらを、是非読んでみてください。
このなかには、日本語でのコミュニケーションが難しい外国人患者に対応するうえでの基本的心構えともいうべき、こんな記述があります。

  • 自分の会話能力が不十分であることを最初に患者側に伝えたうえで診療を開始する
  • 相手の言うことを理解しようとすれば、相手も必死に理解してもらおうと努めてくれるので、努力を惜しまないことが大事

患者が日本語でのコミュニケーションが難しいか否かに関係なく、こころを通わせて理解し合うためには、こうした努力を続けることに尽きると思うのですが、いかがでしょうか。

もちろん「外国語ができるスタッフがいるのは心強い」との声もありますから、看護師さん自ら英語をはじめ、好きな外国語を身に着ける努力を続けることもおすすめです。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに備えようと、最近は、最先端の人工知能(AI)ロボットAKA Musio X 英語学習AIロボット をパートナーに会話モードで英会話を学ぶ人も急増していると聞きます。コスト的にはやや高くつきますが、実践的な学習法としてはなかなか魅力的ではないでしょうか。
なお、看護師さんの英語力についてはコチラの記事も参考にしていただけたら嬉しいです。

国の方針もあり、観光や仕事で訪日する外国人の数が年々増加し、彼らが医療機関を訪れる機会も多くなっている。健康に問題を抱えている時だけに、対応には配慮したいところだが、その基本となるコミュニケーションに、母国語は無理でもせめて英語で対応を。