糖質カットの炊飯器って栄養的にはどうなの?

ライス

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糖質カット機能付きの
炊飯器に加え炊飯土鍋も

糖質カットの電気炊飯器が人気を集めています。糖尿病などの食事療法として糖質を制限している方にファンが多いのはもちろんです。

加えて、「ダイエットしたいがやっぱりおいしいご飯も食べたい」という女性や、肥満気味でメタボ予防のためにも体重を少し落としたほうがいいと、医師から忠告されているような中高年男性にも愛用者が多いと聞きます。

そんななか、糖質カットの炊飯機能を備えた土鍋(どなべ)が売り出されたとの報を耳にし、「糖質カットご飯」への人気の高さを、改めて認識させられました。

同時に、その土鍋を紹介するテレビ映像を眺めながら、「主食の糖質をそんなにカットしてしまって、栄養的に問題はないのかしら」と、他人事ながら心配になってきました。

そこで、病院で管理栄養士として働いている友人をお茶に誘い、その辺のことを聞いてみましたので、わかったことをかいつまんで紹介したいと思います。

「糖質カット」をうたった炊飯器について、国民生活センターは2023年3月15日、一部の製品について広告表示よりも糖質カット率が低いことが、大手の通販サイトや量販店で販売されていた5銘柄で行った商品テストの結果確認されたことを公表。消費者庁に対し、事業者に指導を行うよう要請。同時に消費者には、「テスト結果では、いずれも大きな糖質低減効果は認められなかったので、食べるご飯の量には注意してほしい」と呼びかけている
上記の件に関し消費者庁は10月31日、「糖質54%カット」などの表示に合理的な根拠を示せなかったとして、東京都内の炊飯器販売会社4社(「forty-four」「ソウイジャパン」「EPEIOS JAPAN」「HR貿易」)に対し再発防止などを命じる措置命令を出したと発表
さらに2024年2月8日には、「ニトリ」「Areti」「リソウジャパン」「AINX」の4社に対し、糖質カット炊飯器のカット率の表示などに事実誤認があるとして、改善を求める措置命令を出しています。

炊飯時の吹きこぼれを捨て
糖質を約17%カット

その、夜のテレビ番組で紹介されていた糖質カット機能付き炊飯土鍋とは、三重県四日市市にある伝統工芸「萬古(ばんこ)焼」を製造する窯元と名古屋市内のヘルスケアメーカーが共同開発したという「気づかう土鍋」のことです。

炊飯時に糖質をカットするメカニズムは、すでに数社から売り出されている糖質カット機能付き炊飯器と同じで、専用の中蓋をセットしてお米を炊くと、炊飯時の吹きこぼれを中蓋がキャッチして、お米から溶け出した糖質成分を捨てるという仕組みになっています。

この場合に、気になるのは、中蓋がキャッチして捨ててしまうという吹きこぼれです。これは、糖質カット炊飯器に共通することですが……。

「お米を炊き上げるときのあの粘っこい吹きこぼれは、術後など回復期にある方の食事に欠かせない、あの重湯(おもゆ)のことだから、それをあっさり捨ててしまうというのは気になるわね」と、管理栄養士は懸念します。

炊きこぼれの主成分
ブドウ糖は貴重なエネルギー源

お米を炊き上げたときに出る吹きこぼれ、つまり重湯(おもゆ)には、糖質のなかでもすぐに使えるエネルギー源として必須のブドウ糖が多く含まれています。吹きこぼれを捨てるということは、このブドウ糖を捨ててしまうということです。

私たちの身体は、ブドウ糖の補給が制限されて血液中のブドウ糖を使い切ってしまうような事態になると、肝臓などに予備として蓄えられているグリコーゲンが分解されてブドウ糖として働く、といった仕組みになっています。

ただし、肝臓に蓄えられている予備量は限られていますから、糖分の補給が十分でないと、身体全体がエネルギー不足の状態に陥り、だるさを感じたり疲れやすくなったりします。

脳がブドウ糖不足になり判断力が鈍る

個人的に特に気になるのは、ブドウ糖を唯一のエネルギー源にしている脳が、ブドウ糖不足に陥るリスクがあることです。

脳や神経に十分なブドウ糖が行き届かなくなると、「判断力が鈍る」「集中力が落ちる」「注意散漫になる」、あるいは「眠気が襲ってくる」といった状態に陥りやすくなるのです。

「看護師さんの働きぶりをそばで見ていて、体力も知力も気力も使う大変な仕事だと思うから、主食で糖質をカットしてエネルギー摂取量を抑えることはあまりすすめられない」とは、管理栄養士の彼女の見解です。

特に夜勤中の脳の疲れは尋常ではないと聞くだけに、私もこの考えには賛成です。
⇒ 夜勤中の脳の疲れ・集中力の低下にブドウ糖を

糖質カットは
肌のハリやツヤの衰えを招く

かつて糖質制限ダイエットが大変なブームになったことがありました。

ところが、実はそこには深刻な落とし穴があることがメディアを通じて医師らにより指摘されたこともあり、今ではいっときほど話題にのぼらなくなっています。

この糖質制限ダイエットで指摘されたデメリットは、エネルギー不足による体力低下のために体調不良を招きやすいことでした。

加えて、筋力が衰えるうえに、肌のハリや弾力、ツヤも衰えて、実年齢より老けて見えるといった、女性にとっては致命的ともいえる指摘もあったことを思い出します。

「だから、主食で糖質をカットした場合は、その分を主菜や副菜、つまりおかずをしっかり摂ってたんぱく質や脂質を補うようにして、必要なエネルギーを確保することが大事よね」

加えて、「特定の栄養素だけを制限すると、栄養バランスが崩れやすくなりますから、いつも以上に栄養バランスということを考えながら食事をすることをおすすめしたい」と、管理栄養士さんからのアドバイスです。

最近は普通の炊飯器でも手軽に糖質カットできるタイプのものが何種か市販されています。

たとえば[山善] 炊飯器 マイコン式 糖質カット は、白米1合を炊飯したときで、角砂糖2個分に当たる約7.7gの糖質が減らせるようです。

糖質の体内におけるエネルギー量は1gあたり4kcalですから、1合で糖質7.7g減は、なんと30.8kcal減の計算になります。

たとえば体重40kgの方なら、少し速めのウォーキングを10分間したときに消費するエネルギー量に相当します。

なお、「糖質カット」については何点か配慮すべき点があります。詳しくはこちらを。
⇒ 「糖質オフ」「糖質カット」で気をつけたいこと

糖質カットに変え、レジスタント効果で減量を

ところで、同じご飯でも、炊きたての熱々ご飯と、炊いてから少し冷ましたご飯とでは、食べる量は同じでも腸における消化・吸収率の違いにより糖質カット効果を期待できるということをご存知ですか。

第三の食物繊維として注目の「レジスタントスターチ」による効果です。

レジスタントスターチが豊富に含まれている「スーパー大麦」を使った3種の食物繊維が腸の奥に届く。スーパー大麦グラノーラなどは忙しいときの朝食に最適で、ビジネスマンの間で人気と聞きます。詳しくはこちらを。

多くの人を悩ます便秘の改善には「食物繊維」が欠かせない。この食物繊維には水溶性と不溶性に加え、第三の食物繊維、つまりレジスタントスターチがある。糖質の代表格であるでんぷんでありながら食物繊維の働きをして、腸活によりダイエットやメタボ予防に貢献してくれる。

参考資料*¹:国民生活センター「糖質を低減できるとうたった電気炊飯器の実際」

参考資料*²:消費者庁「糖質カット炊飯器の販売事業者4社に対する景品表示法に基づく措置命令について」