この記事は2023年7月28日に更新しています。
エアコン時代の現在、
乾燥はオールシーズンの課題です
日本気象協会は毎日ホームページ上でさまざまな指数を発表していますが、そのなかに全国各地の「うるおい指数」*¹があるのをご存知でしょうか。
指数値が小さいほど肌がかさついて肌荒れしやすく、保湿対策が必要と呼び掛けています。
この指数が日々更新されるのは、残念ながら、秋から冬、そして春先の空気が乾燥するシーズンに限定されています。しかし、今や乾燥が健康上も美容上も問題になるのはは秋・冬だけの問題ではありません。
最近は、夏は冷房、冬は暖房により、特に室内の空気は常に乾燥していて、快適湿度とされる40~60%を保つのは容易ではありません。
乾いた空気による喉や肌のダメージは、オールシーズンの課題ではないでしょうか。
そこで今回は、看護師さんのセルフケア上見過ごすことのできない、この乾燥対策をまとめてみたいと思います。
乾燥しがちな睡眠中の「喉」に
保湿性の高いマスクで潤いを
何よりも深刻な問題は、乾燥した空気によって喉が乾燥することです。
年がら年中インフルエンザのシーズンというわけではありませんが、乾燥した喉の粘膜は、体温の適度な加温も手伝い、風邪やインフルエンザのウイルスには絶好の住みかとなり、容易に気管支トラブルへと進んでしまいます。
看護師のあなたが風邪やインフルエンザで咳き込んでいるようでは、ケアを受ける患者はもちろん、一緒にいる同僚も、うつされはしないかと気が気ではありません。
院内感染対策上からも乾燥から喉を守ることを忘れないようにしたいものです。
特に睡眠中は喉が乾燥しやすいもの。
「朝起きてみたら喉の奥がイガイガする」「咳き込んで目が覚めてしまった」「喉がカラカラで思うように声が出ない」といった症状に悩まされる原因も、空気の乾燥です。
呼吸により水分がスチームとなり喉の粘膜に潤いを
手軽な対策の一つとして、睡眠中にマスクを着用することを提案したいと思います。
最近は、感染予防ではなく睡眠中の喉を乾燥から守ることを目的に、さまざまな工夫を凝らしたマスクが各種市販されています。
いくつか種類がありますが、そのなかで紹介させていただきたいのは、私が気に入って毎晩使用している、潤いシルクの おやすみ 濡れマスク です。
マイクの内側にあるポケットに、付属のガーゼを濡らして入れるタイプです。
睡眠中にガーゼに含ませた水分が呼吸によりスチームとなり、そのスチームを受けて、肌に優しく保湿性のあるシルクが、唇から喉に必要な湿度を保ってくれます。
このマスクのひもは長さを調整できるアジャスター付きですから、翌朝頬にマスクのひもの跡が残る心配はありません。
とは言われても、ひもの跡がやはり気になるという方には、喉元から頬全体をすっぽり覆ってくれて、シルク製マスクにもなるネックウォーマー がおススメです。
乾燥対策に電気不要で
携帯可能なペーパー加湿器を
女性としてとりわけ気になるのは、顔や手の乾燥による肌荒れでしょう。
乾燥から顔の肌を守る対策としては、美容の観点から、保湿効果を期待できるヒアルロン酸やセラミド入りのクリーム・美容液など実にさまざまなものが売り出されています。
「からだの中から潤いを」とうたう飲むタイプの機能性表示食品「キユーピー ヒアロモイスチャー240」もあり、ご自分に合ったものを選ぶといいでしょう。
加湿器感染症に注意
ここで考えたいのは、部屋の乾燥した空気に潤いを与える加湿器です。
加湿器も多種、出回っていますが、その多くは部屋に据え置くタイプです。
最近では一人用の小型のものもありますが、加湿器の手入れって、経験している方はおわかりだと思いますが結構大変です。
手入れを怠れば、こちらで紹介しているような、レジオネラ菌などによる加湿器感染症の問題も発生します。
加湿器は、やはり「常に手元に置いて……」となれば、最近出回っているペーパー式の積水樹脂 自然気化式ECO加湿器は、水道水さえあれば電気は不要で、しかも携帯が可能です。
看護師さんなら、たとえばチームカンファレンスや会議、研修の場にも持参して、そっと自分のそばに置くだけで肌を潤おすことができます。
電子カルテに入力するなどデスクワークの際は、パソコンの隣に置けばドライアイの予防効果も期待できます。
看護の知識を生かして
身体の内側からも保湿対策を
乾燥による肌荒れを防ぐには、食事の面からも対策が必要です。
ご承知のように、皮膚のバリア機能を守る良質なたんぱく質、血行をよくするビタミンE、皮膚の潤いを保つビタミンAとβカロチン、そして何よりも美白効果を期待できるビタミンCを意識して多めにとりたいものです。
食品でいえば、卵、納豆、アボカド、はちみつとなるでしょうか。
DHA・EPAをたっぷり摂る
潤いを保つには適量の脂質も必要で、イワシやアジ、サバといった青魚に含まれる油(脂肪酸)のなかの不飽和脂肪酸、とりわけDHAやEPAをたっぷりとることがすすめられています。
最近は、魚は生で食べる以上に缶詰にした場合のほうが、DHA・EPAを多く摂取できることがわかっています。
ただし、どこの缶詰でもいいというわけではなく、獲ってすぐの魚を真空加熱して缶詰にしたものに限ります。
この辺の見分けは、缶詰にDHA・EPAの含有量がきちんと表記されているか否かが目印で、マルハニチロ さば水煮月花のように、きちんと表記があるものを選ぶようにすれば安心です。
なお、ビタミン類にしてもDHAやEPAなどにしても、サプリメントで補うことを考えがちですが、サプリメントはあくまでも食事で補いきれない場合に活用すべきであるとして、日本医師会がサプリメントを常用することに警告を発しています。
詳しくはこちらをご覧ください。
なお、手荒れ防止策としては、看護師さんとして仕事上欠かせない手洗いの観点からまとめた下記の記事が参考になると思います。一度目を通してみてください。
参考資料*¹:日本気象協会 うるおい指数