看護師の腰痛対策、睡眠中の姿勢と寝具総点検

枕を変えて腰痛緩和

睡眠中の姿勢と寝具が、
腰痛対策のポイントに

厚生労働省が「国民健康・栄養調査」を毎年実施して、日本人の健康状態や栄養状態、生活習慣の把握に努めていることはご存知でしょうか。

その直近の報告によると、日本人の平均睡眠時間は男女ともに「6時間以上7時間未満」が最も多くなっているようです。

「6時間以上7時間未満」という睡眠時間は、世界的にみると短い方だそうです。

病棟勤務などの看護師さんは夜勤を含む交代制勤務をとっておられるでしょうから、日によって睡眠時間に多少の違いがあると思います。

とはいえ、多くの方が概ね1日の4分の1以上の時間を睡眠に充てているはずです。
この睡眠中の姿勢と寝具が、腰痛対策を考えるうえで重要なポイントになるのです。

両脚を軽く曲げた
横向きの姿勢が腰痛緩和

まず睡眠中の姿勢ですが、腰に過分な負担をかけないためには、両脚を軽く曲げた横向きの姿勢、つまり側臥位がいいようです。

母親のお腹のなかにいるときの、あの胎児の姿勢のイメージです。

この姿勢を安定させるには、看護師さんならよくご存じで、患者さんにもやっておられるかと思いますが、妊婦さんにも愛用者が多いと聞くサイズが少し大きめで安定感のある抱きまくら を使用するという手があります。

さらに、これは私自身の体験から自信をもっておすすめできるのですが、抱き枕を使わない場合は、その曲げた脚の両膝の間に二つ折にした座布団(厚すぎないように)を挟んで寝るようにすると、朝起きた時の腰の状態がずいぶん楽です。

膝に挟んだ座布団が腰部を固定させ、骨盤のゆがみを防いでくれる効果があるようです。

膝だけでなく両足首の間にもたたんだタオルなどを挟むとさらにいいという説もあります。

これも試しましたが、寝返りによりタオルが行方不明になり、それが気になって熟睡できなかった経験から、足首のほうは、私はあまりおすすめできません。

敷き寝具は寝返りをうちやすく
腰が沈み込まないものを

睡眠中のからだを支えてくれる寝具選びも大切です。

長時間同じ姿勢で寝ていると、からだの一部だけが圧迫されて血液やリンパの流れが滞ってしまいます。

その結果、腰部周辺の椎体や筋肉に十分な栄養がいきわたらず、前日からの疲労物質が溜まったままの状態で朝を迎えることになりがちです。

褥瘡発生のメカニズムを思い出していただけるとおわかりでしょう。

睡眠時間にもよるでしょうが、人は一晩に、少ない人でも20回は寝返りを打っているといわれています。

寝返りにより睡眠中のからだにかかる重力(体圧)を分散させて、血液やリンパの循環をよくし、痛みのもととなる疲労物質が溜まるのを防いでいるわけです。

敷き寝具としての布団やマットレスは、この自然な寝返りを妨げないものを選ぶことです。

敷き寝具が軟らかすぎると、安定感に欠けるうえに腰が沈み込んでしまいますから、寝返りをうちにくくなります。

逆に硬すぎると、背中や腰が痛くて安眠できないという問題もあります。

つまるところ、人間のからだの軟らかさにできるだけ近いものが、からだに負担をかけずに寝返りを助けると考えられています。

体圧を分散して
腰痛を和らげるタイプも

敷布団やマットレスには、「低反発」のものと「高反発」のものが市販されています。

低反発の布団やマットレスは、反発力が低いぶん腰が沈み込みやすく、寝返りをうちにくくなるため、腰への負担がかかりやすくなります。

一方の高反発布団やマットレスには、腰が沈みにくく寝返りをうちやすいというメリットがあります。

たとえばトゥーベスト マットレス 高反発 特殊立体凹凸構造 体圧分散 は、高反発による「体圧分散」効果により長時間寝てもからだに無理な負担がかからないマットレスです。

寝返りを打ちやすい硬さにつくられているうえに、表面が波型の凹凸構造になっているものです。点でからだを支えることで、体圧が分散されるようになっています。

この構造により、からだの一定部分だけに負担がかかることを防ぎ、凹凸キューブの点の刺激が血行を促進して腰痛の緩和効果が期待できるとされています。

最終的にどのタイプの敷布団・マットレスを選ぶかは、あなた次第です。

ただし、マットレスそのものを取り替えるとなると出費がかさみますからおいそれとは取り替えられるものではありません。

でも、沈み込みがちな腰椎部分をサポートしてくれる低反発腰枕 のような腰枕だったら、比較的簡単に手に入れられるのではないでしょうか。

枕も腰痛に響く
寝返りしやすいものを

人のからだのしくみに明るい看護師さんといえども、自らの腰痛に関心が向きすぎると、腰(腰椎)と首(頸椎)がつながっていることを忘れがちではないでしょうか。

しかし、睡眠中の頭から首を支えている枕もまた、腰痛に深く関係しているのです。

私たちのからだの支柱である脊椎を横から見ると、頸椎と腰椎が前方にカーブし、胸椎がやや後方にカーブして、全体としてS字状にカーブしていることがわかります。

使用する枕の高さによっては、この自然なカーブに乱れを生じさせてしまい、腰椎に不要な負担がかかり、腰痛を悪化させることになってしまいます。

ですから、睡眠時に脊椎の自然なカーブを保てるような高さの枕を選ぶ必要があります。

同時に、腰痛緩和には横向きの姿勢で寝るのがいいわけですが、その枕に頭をのせて横向きの姿勢になったときに、首がまっすぐになる高さが、理想的な枕の高さだといわれています。

とはいえ、枕の高さには好みも慣れもあるでしょうから、高めの枕が好みだという方は、首に過度の負担をかけないように、従来使用してきたものより2ほど低くしてみることをおすすめします。

また、横向きではなかなか寝つきにくいという方は、寝返りしやすいように工夫され、しかも水平の高さを柔軟に維持できることから人気の、新世代 低反発枕がおすすめです。

うつぶせ寝による腰痛軽減も

なお、2017年7月に105歳で亡くなられた日野原重明医師が腹臥位での睡眠(うつぶせ寝)を習慣にしておられたことをご存知の方は多いでしょう。

同時に、『看護に生かす腹臥位療法―うつぶせ寝で「身体と心」を取り戻す』(日本看護協会出版会)を監修されて看護現場にもその普及を奨励されていましたが、このうつぶせ寝は、腰痛の軽減効果も期待できると、日野原医師は話しておられました。

うつぶせ寝用に開発された枕Dr.Smith(ドクタースミス) フセロ もありますので、試してみられたらいかがでしょうか。

健康長寿を全うして105歳で逝去された日野原重明医師が、健康法の1つとしてうつぶせ寝を続けていたことはご存知だろうか。睡眠中に横隔膜を動かすことによりさまざまな健康効果が得られ、熟睡もできることを体験され、患者にも看護師にも奨励している。

最後に、腰痛によっては原因がはっきりしているものもありますから、一度は整形外科を受診することをおススメします。

成人の5人に1人は腰痛もちだと聞く。その数を3000万人と推計する統計もあり、巷にはさまざまに情報が飛び交っている。が、なかには背景に深刻な疾患がある場合も少なくない。素人判断で痛みを緩和するだけでなく、整形外科医の診察が必要な危険信号を紹介する。