医師や看護師の宿日直許可基準が明確化される




夜の病院

夜間に働く点では同じだが
夜勤と宿直では大違い

厚生労働省の労働基準局は2019年7月1日、医師の働き方改革に関連し、「医師、看護師等の宿日直許可基準について」という通知を都道府県の労働局長宛てに発出しました。
今回のように、病院において医師や看護師などが行う宿直や日直業務について許可基準が具体的に明示されるのは、1949年以来のことです。

つまり70年ぶりの通知ということになります。
このこと自体に「えっ、許可条件が厳しくなったりするのかしら」と考えてしまいます。
と同時に、「宿日直」という、常日頃あまり使い慣れていない用語を目にして疑問を持たれた方も少なくないのではないでしょうか。
「宿直や日直って、夜勤や日勤とはどう違うのかしら」と――。

病院に勤務している看護師さんの多くは、勤務時間帯を早番、日勤、遅番、夜勤などに区切った二交代あるいは三交代のシフト制で働いているでしょうから、いきなり宿直や日直と聞いて疑問に思うのも当然でしょう。
特にわかりにくいのは、宿直と夜勤です。どちらも夜の時間帯に働くという点では同じなのですが、法的には両者は全くの別ものなのです。

宿日直許可の3条件と
宿直の場合は「十分な睡眠」も

働く人の労働時間は労働基準法第32条で、原則として1日8時間、1週間40時間以内と定められています。この時間をオーバーした場合は残業となります。
この法定労働時間の枠内で夜間に勤務して業務を行うのが「夜勤」です。

これに対し、労働基準法の例外的な取り扱いとして、法定労働時間外に、勤務先に宿泊して業務を行うことが認められているのが「宿直」です。

MEMO
宿直・日直について労働基準法施行規則第23条では、「実態としてほとんど労働する必要のない勤務」としており、「待機」「定期巡回」「電話・文書の収受」「火災・盗難予防」「緊急時の管理者・責任者への連絡」といった業務しか行えないことになっている。
これら以外の業務を含む夜間の勤務は、原則夜勤となる。

この宿直や日直業務を病院において医師や看護師などの医療スタッフが行う場合については、その業務内容の特殊性から、1949年3月以降、会社や学校、官庁で行われるような一般的な宿日直に対する許可基準に追加するかたちで、以下の細目が定められています。

  1. 通常の勤務時間の拘束から完全に開放された後の宿日直であること
  2. 宿日直中に従事する業務は、一般の宿日直業務以外に特殊な措置を必要としない軽度または短時間の業務に限ること
  3. 一般の宿日直の許可条件を満たしていること

この3条件に加え、「宿直の場合は、夜間に十分な睡眠をとることができる」といった条件をすべて満たした場合に、宿日直の許可を医師や看護師らに与える、というのが労働基準法第41条で定められた内容です。

通常の勤務時間と同様の業務が
常態化していたら宿日直ではない

今回労働基準局から出された通知では、上記の許可条件の細目部分が、医療現場の現状により即したかたちで、より具体的に説明されています。

まず、条件の「1」については、通常の勤務時間終了後であっても、通常勤務の状態が続いている間は、通常の勤務時間の拘束から解放されたとは言えないことから、「宿日直の許可の対象とはならない」としています。
また、条件「2」にある「特殊な措置を必要としない軽度・短時間の業務」としては、具体的に以下の4点を挙げています。

  1. 医師が、少数の要注意患者の状態の変動に対応するため、問診などによる診察など(軽度の処置を含む)や看護師などに対する指示・確認を行うこと
  2. 医師が、外来患者の来院が通常想定されない休日や夜間(非輪番日であるなど)において、少数の軽症の外来患者やかかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診などによる診察など(軽度の処置を含む)や看護師などに対する指示・確認を行うこと
  3. 看護職員が、外来患者の来院が通常は想定されない休日や夜間(非輪番日であるなど)に、少数の軽症外来患者やかかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診などを行うことや医師に対する報告を行うこと
  4. 看護職員が、病室の定時巡回、患者の状態の変動の医師への報告、少数の要注意患者の定時検脈、検温を行うこと

一方、同通知は、宿日直中に通常の勤務時間と同じような業務に従事することが「稀な」ことではなく、「常態」つまり当たり前のような状態になっていると判断された場合は、「宿日直の許可を与えることはできない」と明記しています。

病院で二交代制や三交代制で働いている看護師さんの多くはおそらく、宿日直については「私、関係ないわ」とお考えでしょう。
しかし、このところの地震や豪雨、台風といった災害が全国規模で頻発する現状にあっては、緊急事態に備えて宿日直の要請を受ける可能性もゼロとは言えないのではないでしょうか。
ちょっとそんなことも考えて、メモ代わりに書き留めてみました。