摂食障害専用の「相談ほっとライン」開設

電話相談

摂食障害に初めての
全国対象の電話相談窓口

「拒食症」や「過食症」として知られる「摂食障害」の患者は10代から20代の若い女性に多く、国内で医療機関を受診している患者だけで22万人にのぼるとされています。

摂食障害の患者には、精神面と身体面に加え、社会面からも治療的アプローチが必要ですが、すべての側面から専門性の高い治療ができる医療機関は限られているのが現状です。

しかも、摂食障害の患者には、治療により体重が増加することや体型が変わってしまうことへの不安などから、家族や知人などから受診をすすめられても頑なに拒むケースが多いという問題もあります。

そのため、治療を一度も受けたことがない患者や治療を中断している患者が多く、潜在している摂食障害患者はかなりの数にのぼるものと推定されています。

こうした現状を改善したいと、国立国際医療研究センター国立国府台病院(千葉県)の心療内科は、2022年1月11日、摂食障害専用の「相談ほっとライン」を開設しています。

全国を対象とした摂食障害専用の電話相談窓口は全く初めてとのこと。

電話での相談をきっかけに受診行動を起こし、摂食障害の早期発見・早期治療につながることが期待されています。

拒食症や過食症として知られる
摂食障害は精神疾患

先刻ご承知のように、摂食障害は、何らかの心理的問題が、摂食行動、つまり「食べること」に深刻な障害となって現れる精神疾患で、大きく「神経性食欲不振症(神経性無食欲症)」と「神経性過食症(神経性大食症)」とに分けられます。

一般に「拒食症」として知られる神経性食欲不振症は、強烈なやせ願望と肥満への恐怖等により、食事の量や回数を極端に減らすカロリー制限を続け、低体重を維持しようとする行動が目立つ病気です。

結果として極度の「やせ」をきたすことから、「神経性やせ症」とも呼ばれています。

一方の「過食症」として知られる神経性過食症は、むちゃ食いして一度にたくさん食べてしまい、そのことを後悔して憂うつになったりイライラしたり、あるいは体重の増加を恐れて自ら吐いたり、下剤や利尿剤、やせ薬を使うなど、食べたものを外に出してしまおうとする行動が目立つ病気です。

いずれも自己評価が体形や体重に対する不満の影響を過剰に受けていて、「食事の自己コントロール」が難しくなっている病気ですが、早期からの適切な治療*によって改善が期待できる病気でもあります。

そこで、摂食障害の早期発見と受診につなぐことを目的に、摂食障害全国支援センター「相談ほっとライン」が開設されたというわけです。

*摂食障害の治療は、従来、専門家でないと難しいとされてきた。幸い、厚生労働省の調査研究班により専門家以外でも利用しやすいように留意された「神経性食欲不振症のプライマリケアのためのガイドライン」*¹が2007年に発表されてからは、患者を受け入れる医療機関が徐々に増えている。

医療関係者も相談できる
摂食障害「相談ほっとライン」

摂食障害全国支援センター「相談ほっとライン」は、患者だけでなく家族や学校保健の関係者、医療・福祉領域の関係者からの相談にも対応している電話相談窓口です。

  • 相談・問い合わせ先:047-710-8869
  • 毎週火曜日と木曜日の午前9時~午後3時(祝日・年末年始、お盆休みは除く)
  • 相談の際には、「相談ほっとライン」のホームページに掲載されている「よくある質問集(FAQ)」にある質問とその回答に一通り目を通し、それでも解決しない問題がある場合に限り電話相談するよう求めています

よくある質問集には、「電話相談前に準備していただきたいこと」として、相談に対応する摂食障害治療支援コーディネーター(職種は保健師、心理士、看護師、精神保健福祉士)が質問する8項目がリストアップされています。

そのなかで、「特にお困りの症状」については、事前にメモしておけば、相談がスムーズに進むはずです。

ホームページの「よくある質問集」に加え、以下のTwitter、Facebook、Instagramなどでも摂食障害に関する最新情報が随時発信されています。

問い合わせの電話をする前に、そちらもチェックしおけば、より的確な支援を受けることができるはずです。

全国4県に設置されている
摂食障害支援拠点病院

今回、全国を対象にした摂食障害専門の「相談ほっとライン」を開設した国立国際医療研究センター 国府台病院は、千葉県と国の予算で活動する「摂食障害支援拠点病院(旧:摂食障害治療支援センター)」です。

現時点で摂食障害支援拠点病院は、国府台病院のほかには、宮城県、静岡県、福岡県の3カ所、併せて4カ所しか設置されていません。

そのため、摂食障害で悩んでいる一人でも多くの方が、相談と支援をよりスムーズに受けることができるよう、宮城県、千葉県、静岡県、福岡県に居住している方は、まずは県内にある摂食障害支援拠点病院のホームページにアクセスし、相談窓口に問い合わせてみるよう要請しています。

支援拠点病院では研修や医療連携も

摂食障害支援拠点病院では、摂食障害の相談・治療・支援活動以外にも、地域住民に向けた摂食障害に関する正しい知識の啓発普及のための活動に加え、地域の医療・福祉・学校保健の専門家に向けた研修、講習、医療連携*も行っています。

摂食障害に関する医療連携をより円滑に促進するための指針として、「精神科領域における摂食障害の連携指針」と「身体科領域の摂食障害の連携指針」が用意されている*²

また、各支援拠点病院には活動内容などを紹介するリーフレット*³も用意されています。

摂食障害の患者や家族らへの支援に活用してみてはいかがでしょうか。

参考資料*¹:神経性食欲不振症のプライマリケアのためのガイドライン

参考資料*²:摂食障害の診療連携のための指針、初期診療の手引き、受診案内

参考資料*³:各支援拠点病院のリーフレット