転職に利用する職業紹介事業者に認定制度

キャリアアップ

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転職先の相談は
適正認定マークのある会社で

「キャリアアップのため」の転職もあるでしょうが、「夜勤がきつい」「残業が多い」「職場の人間関係がよくない」などの理由に加え、この2年ほどはコロナ禍が大きく影響してか転職者が多く、医療現場では深刻な人材不足が続いています。

転職する際には、理想とする職場探しに有料の職業紹介事業者(会社)を利用する方が多いものの、一部の悪質な事業者との間では少なからず深刻なトラブルも発生しています。

そこで厚生労働省は、人材不足が特に顕著な医療・介護・保育分野の求職者が、紹介を受けるサービスの内容や品質、紹介料などについて、事前に概要を把握したうえで適正な事業者を選択できるよう、職業紹介事業者の認定制度を2021年11月に創設しています。

トラブルに巻き込まれないために

この認定制度、正確には「医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者認定制度」により、適正基準を満たす職業紹介事業者として認定された事業者には認定分野の「適正認定マーク」*¹を付与して「見える化」を図るとともに、「認定事業者一覧」を作成して広く一般に公表しています。

転職する際には、この適正認定マークのある職業紹介事業者に相談すれば、トラブルに巻き込まれる心配はまずないと考えていいでしょう。

そこで今回は、安心できる職業紹介会社を選ぶ基準として活用していただけるよう、この認定制度における「適正の認定基準」についてポイントを紹介しておきたいと思います。

職業紹介会社に求められる
必須基準と基本基準

この認定制度により「適正な有料職業紹介事業者」として認定を受けるには、「必須」基準と「基本」基準の両方を満たしていることが求められています。

  • 必須基準とは、労働基準法や労働安全衛生法などの「労働に関する法令を遵守しているか」を含め、適正事業者として必ず実施しなくてはならない基準のこと。医療分野の職業紹介事業者に求められる必須基準は14項目あり、そのすべての項目をクリアしている必要がある。
  • 基本基準とは、求職者や求人者に配慮したより良いサービスを提供するために適正事業者として実施することが望ましいとされる基準のこと。医療分野の職業紹介事業者に求められる基本基準は11項目あり、うち7割程度をクリアしている必要がある

なお、医療・介護・保育分野のうち「医療分野」の対象職種は、「医師」「看護職」「リハビリテーション専門職」「医療技術者」「薬剤師」「歯科医師」「歯科衛生士」「看護助手、歯科助手」「栄養士、管理栄養士」です。

このうち「看護職」には、看護師、准看護師、保健師、助産師が該当し、「リハビリテーション専門職」には、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が該当します。

医療分野の紹介事業者
に求められる主な必須基準

医療分野の職業紹介事業者が適正事業者として認定を受けるために満たすべき基準のうち14項目ある必須基準*²としては次のようなものがリストアップされています。

  • 取り扱い職種別に紹介手数料を公表している
  • 早期離職時の、紹介手数料の返戻金(へんれいきん)制度を設けている。およびその具体的な内容(在籍月数と返金率、返い戻しをする際の条件等)を明示している
  • 求職者に金銭等(いわゆる「お祝い金」等)を提供していない
  • 自らの紹介により就職した者(無期雇用契約に限る)に対し、就職した日から2年間、転職の勧誘をしていない
  • 転職活動をみだりに助長するような不適切な広告をしていない
  • 求職者に対し、従事すべき業務の内容、および賃金、労働時間その他の労働条件を、求人者より入手し、可能な限り速やかに明示している
  • 求職者の要配慮個人情報(人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴など)は、本人の同意を得ずに取得するようなことはしていない
  • 求職者が速やかに苦情の申し出ができるよう、具体的な苦情の受付窓口(連絡先)を明示している

医療分野の紹介事業者
に求められる主な基本基準

また、医療分野における11項目ある基本基準*²には、次のようなことがあげられています。

  • 求人者に可能な限りの就業実態等(育休制度の取得実態、月平均所定外労働時間の実績等)の情報開示を求め、その内容を求職者に適正に伝えている
  • 求職者のキャリア、志向、希望の勤務時間や曜日・勤務場所等の制約を把握したうえで、適した就業先の紹介を行っている
  • 求人者に対する営業広告やDM送付内容には、有料職業紹介サービスである旨と職業紹介事業者の許可番号を明示している
  • 求人者からの求人申し込みは、電話だけでなく、書面、FAX、メールでも受け付けている
  • 紹介手数料を含むサービス提供条件は、求人者に十分説明し理解を得たうえで、契約締結により事前合意している
  • 求人情報は、一定期間の後、必要に応じて充足や変更等の確認を行っている
  • 求人者が就職後も長く活躍できるよう、求人者と協力して定着支援(相談があった場合の定着のためのアドバイスなど)を行っている

医療分野における
適正紹介事業者リスト

厚生労働省が、上記のような認定基準を満たし「適正」と認定した有料職業紹介事業者は、2023年12月時点で48社あり、そのうち医療分野では39社となっています。

これらの事業者を検索できる機能を備えた特設ウエブサイト*³が公開されていますので、転職先を探す際には是非活用するようにしてください。

ハローワークの求人情報も活用を

また、全国の主要なハローワークは、医療・介護・保育分野の人材不足対策として、「人材確保対策コーナー」を設置し、それぞれの分野の求職者に対し、個々の状況に応じた職業相談、職業紹介、求人情報の提供などの支援サービスを行っています。

ご承知のようにハローワークは、国が設置している公共職業安定所ですから、手数料や紹介料はいっさい発生しません。

このコーナーを設置しているハローワーク、および受けられる支援メニューはこちら*⁴で紹介しています。一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

参考資料*¹:厚生労働省「適正な有料職業紹介事業者の認定マーク

参考資料*²:医療分野における適正な有料職業紹介事業者の基準

参考資料*³:「医療・介護・保育」分野における適正認定事業者検索サイト

参考資料*⁴:ハローワークにおける「人材確保対策コーナー」