訪問指導・訪問看護で好印象を与える訪問マナー

訪問

訪問先では看護師である前に
社会人としての訪問マナーを

退院前訪問指導や退院後訪問指導が直近の診療報酬改定で評価の対象、あるいは点数加算となったことも大きく影響しているのでしょう。

このところ、病院勤務だけをずっと続けてきた看護師さんが、地域に出て患者宅を訪問する機会が多くなっているようですが、あなたはいかがでしょうか。

訪問看護ニーズの高まりを受け、訪問看護の道を選ぶ方も増えていると聞きます。

いずれの場合も、患者宅を訪れ、そこで療養指導や在宅ケアを行うことになるわけですが、やることは同じでも、普段病院内で実践している状況とはかなり勝手が違ってきます。

何しろ訪問先の患者や家族は、あなたのことを、看護師という職業人である前に一人の社会人として迎え入れるわけですから、他人宅を訪問する際のそれなりのマナーが求められます。

そのため、訪問すること自体に「つい気後れしてしまう」という声も耳にします。

しかし、どんなお宅に伺うにしても、基本さえ押さえて振る舞えば、印象のよさにつながりますから、気後れすることなく看護師としての裁量を発揮することができるはずです。

そこで今日は、訪問日時の約束から訪問前の身だしなみ、玄関先での振る舞いを中心に、「礼儀正しくて感じのいい看護師さんね」と好印象を与え、その後の患者・家族との関係にプラスとなるような訪問マナーをまとめてみたいと思います。

訪問先が選択した通信手段で
訪問日時を早めに約束する

まずは訪問日時の決め方ですが、業務の一環として訪問するわけですから、訪問する側としては自分のスケジュールを優先したい気持ちにもなるでしょう。

しかし患者のための訪問とはいえ、訪問の意向を申し出て、わざわざそのための時間を割いてもらうわけですから、あくまでも患者サイドの都合を優先させるのが礼儀でしょう。

その場合、これまででしたらまずは電話で、となったでしょう。
しかし最近では電話以外にも、FAXや電子メールなど通信手段はいろいろあります。

ただし電話については、このところ頻発している「オレオレ詐欺」のような電話を介しての詐欺被害を避けようと、常時留守電にしているお宅が増えています。

特にひとり暮らしや高齢者だけの世帯は常時留守電にしている家庭が多いと聞きます。

また、メールなどのインターネット通信については、総務省がまとめた「平成30年版 情報通信白書」によれば、スマートフォンや携帯電話などの普及率は全体としては80%を超えているものの、60歳以上となるとまだ40%に満たないのが実情のようです。

こうしたことも配慮して、患者サイドに訪問目的や方法などについて事前に説明し、了解をとりつける際に、連絡方法についても、あらかじめ先方にとって使い勝手の良い手段を選択し、決めておいてもらえば、訪問する側としても効率的ではないでしょうか。

訪問する目的、かかる時間、
同席者などを伝える

一社会人としてそれなりに自立した生活をしていると、否応なく種々さまざまな方の訪問を受けます。

その際には、良い印象を受けることもあれば、不信感を抱いたり、不快に感じたりすることも少なからずあるだろうと思います。

そうした経験を自分の訪問に是非ともプラスのかたちで生かしたいものです。

そして、訪問の約束をする際には、以下の5点を明確に伝えておきたいものです。
①訪問する目的を具体的に
②時間はどのくらい必要か
③何人で訪問するか
④その場に同席してほしい人
⑤どんなものを準備しておいてほしいか

私事でずが、ガス漏れの定期点検で、約束の時間から大きくずれて夕食の支度にとりかかっている最中にやってきて、調理を中断させられたことがあります。

夕食の時間が大幅に遅れたうえに、その後の生活リズムも乱され随分と不愉快な思いをしたものです。

約束した日時を守ること、その時間に着けないときは早めに連絡するなどは基本中の基本です。

1日に何軒かの訪問予定を組んでいると、訪問先で想定外のことが起きて手間取ってしまい、次の訪問先の指定時間に間に合わなくなるといったことも起こり得るでしょう。
そんなときも、食事どきや夜分の訪問は極力避けるのが常識です。

訪問先玄関前の身づくろいでは
ニオイと花粉などのチェックを

訪問宅の玄関前に到着したら、ユニフォームでも私服でもまずは素早く身づくろいをします。

患者宅にアレルギーのある方がいることを想定して、花粉のシーズンであれば花粉を、自宅でペットを飼っている方はペットの毛をしっかり取り除きます。

それと、患者の中にはニオイに敏感になっている方もいますから、口臭や体臭チェックも忘れずに。気になる方は、ニオイ見える化チェッカー などでチェックしておけば安心です。

ニオイ対策として、たとえば香りの強い制汗剤などを使っていると、その香りが患者の吐き気や喘息様発作を誘発するリスクがあることもお忘れなく。

初回訪問で季節が冬なら、手袋やマフラーは取って片手にまとめて持つようにします。

コート類もマナーとしては脱いだ方がいいようです。
しかし、そのときの気象条件に応じて臨機応変に対応し、着たまま挨拶するときは、「風が強いのでコートを着たままで失礼します」などの断りを入れるのがいいでしょう。

インターホンで来訪を伝える際は
病院・施設名を言わないのがマナー

身づくろいがすんだら、患者サイドが準備している途中にインターホンを鳴らして慌てさせることがないよう、早すぎないことを確認してから、インターホンを押して来訪を伝えます。

このときのインターホンを介しての挨拶は、近隣の人びとに病院や訪問看護ステーションのスタッフが訪問したことを知られたくないという方もいることを念頭に、
「こんにちは〇〇です」と名前を伝える程度にしておくのがマナーでしょう。

最近のインターホンはテレビホンが多く、しかも広角レンズを使っていてかなり広範囲を映し出すものが多くなっています。

インターホンを押してから応答があるまでの間、あわてて口紅を塗り直したり、同行者とおしゃべりをしていると全部見られてしまいます。

来訪を知らせてからは、ひとまず静かに待つこと――。
ドアが開き、部屋に通されてからのマナーについては、回を改めて書きたいと思います。