看護職のストレス耐性をGABAで高める

イライラする

看護職の労働実態は
この4年で「やや悪化」

公益社団法人の日本看護協会が4年に1度、看護職のみなさんの働き方の実態と仕事に対する意識について、全国規模の調査を行っていることはご存知でしょうか。

調査対象は、病院や診療所、訪問看護ステーション、看護大学など看護系の教育・研究機関、介護関連施設など、さまざまな職場に勤務している看護職、具体的には保健師、助産師、看護師、准看護師、看護教員の方々です。

2017年10月1日からの1か月間に実施された調査結果が、この5月8日(2018年)に日本看護協会の広報部からニュースリリースされています。

その詳細は、「2017年 看護職員実態調査」結果報告」をご覧いただくとして、看護職のみなさんの労働条件、労働環境については、前回(2013年)行われた調査に比べ、「やや悪化している」との結果になっています。

そこで今回は、さらなる深刻化が懸念される看護職の皆さんのストレス、とりわけ精神面のストレスについて、改めて考えてみたいと思います。

看護職の約7割が
「仕事にストレスがある」と回答

前回本調査が行われた2013年は、看護職のみなさんの健康状態に関連して、ちょっとショッキングな調査結果が明らかにされた年でもあります。

これは日本医療労働組合連合会が公表した調査報告書のなかに収められているのですが、看護職の約7割(67.2%)が、今の仕事に「強い不満、悩み、ストレス」が「ある」と答えていたのです。

これを裏づけるように、回答したおよそ3万2000人の看護職の約38.3%が、健康上の自覚症状として「いつも眠い」を、また33.3%が「なんとなくイライラする」「ゆううつな気分がする」をあげていて、メンタル面でかなり弱ってしまっている看護職が多い実態が明らかになっていたのです。

今回の日本看護協会の実態調査では、労働条件・環境が、前回の調査以降の4年間で「やや悪化している可能性がある」との実態が明らかにされています。

この結果を見るかぎり、看護職の皆さんのメンタル面にさらなるマイナスの負荷がかかっていることが推測され、気になるところですが、実際のところはどうなんでしょうか。

体の内側から
ストレス耐性を高める工夫を

ストレスについては、20世紀に活躍したストレス学説の提唱者として名高いハンガリー系カナダ人のハンス・セリエという生理学者が、21世紀のストレス社会に生きる私たち現代人に、たくさんの教訓を残してくれています。

そのなかの「ストレスは生活のスパイスと考えなさい」という言葉はあまりにも有名です。

確かに、適度なストレスは、料理にひとふりすると味にコクが出るスパイスのように、ほどよい緊張と興奮をもたらし、日々の生活にアクセントをつけてくれる効果があります。

ただ、味や香りをよくしてくれるはずのスパイスも使いすぎると素材の味を消してしまい、せっかくの料理そのものを台無しにしてしまうことも珍しくありません。

まったく同様に、ストレスも度を超えると、心身ともに適応できなくなり、さまざまなダメージを自覚するようになってしまいます。

そこで、できればストレスのない状況に身を置きたいと考えるようになりがちです。

しかし、看護を仕事にし、人の生死にかかわるような医療現場を職場としている看護職のみなさんは、なかなかそうはいかないのが現実でしょう。

だとすれば、ある程度のストレスは覚悟して、ストレスに対する抵抗力を身につけ、ストレスに強くなる、つまり「ストレス耐性」を高める努力をしていくことが大切になってくるのではないでしょうか。

ストレス耐性を高める方法はいろいろあります。

カルシウムを補給することは、すでに多くの看護師さんがやっておられるようです。

そこでここでは、身体の内側からストレス耐性を高めることができるとして、このところ注目されている「GABA(ギャバ)」と呼ばれる栄養成分を紹介したいと思います。

アミノ酸GABAは
緊張・イライラの緩和が期待できる

GABA(Gamma Amino Butyric Acid:ギャバ)の正式な名称は、「γ(ガンマ)‐アミノ酪酸」です。この名前が示すように、アミノ酸の一種です。

もともと私たちの体内、主に脳や脊髄などの中枢神経系に多く存在していて、イライラして高まった神経細胞の働きを抑え、自律神経のバランスを調える働きをしています。

つまりGABAには、ストレスを和らげたり、興奮した神経を落ち着かせたり、リラックス状態をもたらす作用が期待できるわけです。

昨今のようなストレス社会に生きる現代人には必須のアミノ酸といっていいでしょう。

ただ、強いストレスを受けると大量のGABAが使われてしまうため、体内のGABA量はどうしても不足しがちです。

そこで、毎日の食事や間食でGABAを意識して補うことができるようにと、GABA入りの食品が各種市販されるようになっています。

手軽なものとしては、チョコレートやココアの原料であるカカオに含まれるGABAを強化したグリコ メンタルバランスチョコレートGABA(ギャバ)はいかがでしょうか。

患者対応などで、あるいはスタッフ間の意見の違いなどによるストレスでイライラしたような時に一粒口に入れると、気持ちを落ち着かせてくれる効果が期待できます。

また、米味噌には赤味噌と白味噌がありますが、このうち白味噌は麹(こうじ)の含有量が多く、麹に含まれるGABAが、イライラして高まった神経細胞の働きを抑え、リラックス状態をもたらすことも分かっています。

夕食には、赤味噌ではなく白味噌を使った味噌汁や和え物をおススメします。

幼少時からほぼ毎朝飲んでいる味噌汁。味噌にはいくつか種類がある。また同じ米味噌にも、白味噌と赤味噌があるが、その栄養面での違いを調べてみた。赤味噌には強い抗酸化作用がありアンチエイジング効果、白味噌には、あのGABA(ギャバ)が含まれていることがわかった。

ストレス対策として
主食をGABAが豊富な発芽玄米に

GABAはトマトやなす、アスパラガス、かぼちゃ、きゅうりなどの夏野菜やミカン、メロンなどの果物、およびキムチのような発酵食品等々、身近な食品に多く含まれています。

なかでも含有量が多いのは発芽玄米で、その量は白米の10倍に相当すると言われています。

発芽玄米については、炊飯に手間がかかるからと敬遠する方が多いようですが、最近は、クック高圧力炊飯調理器 のような発芽玄米用の炊飯器も市販されていて、より簡単に炊けるようになっています。

あるいは、電子レンジでチンするだけで手軽に発芽玄米を食べられる金のいぶき 発芽玄米 ごはん などもあります。

これらも活用して、主食を白米から発芽玄米に変えてみてはいかがでしょうか。

ゲノム編集による「高GABAトマト」も

なお、2021年9月には、「ゲノム編集」と呼ばれる新技術でGABAを通常のトマトより4~5倍多くしたトマト「シシリアンルージュハイギャバ」が市販されています。

また、そのトマトで作った高GABAトマトピューレも売り出されています。
詳しくはこちらをご覧ください。

ゲノム編集により通常トマトの約5倍のGABAを含むトマトの販売が始まった。血圧降下やストレス緩和効果を期待できるGABAを摂れるとなればすぐにも手に入れたいが、ゲノム編集という技術の安全性は担保されているのか、遺伝子組み換え食品とどう違うのかを調べた。