「肌年齢」を肌だけでなく心身の健康指標に




赤ちゃんの肌

肌年齢とフレイルに
どんな因果関係があるのか

このところ街を歩いていると、ドラッグストアなどが掲げている、
「あなたの肌年齢をチェックして、スキンケアを見直してみませんか!!」
などと呼びかけるポスターがやたらと目につきます。

「えっ、肌年齢を測るって?」と疑問に思い、インターネットで調べてみたところ、電子基礎体温計のような、肌年齢を自分で簡単に測定できる「スキンチェッカー」などと呼ばれるキットが各種出回っているんですね。

そのメカニズムは、肌の表面の水分量や皮脂量、肌のキメの細かさ、ハリ具合(弾力性)、しわの状態、メラニン量(色素沈着)などから肌年齢を割り出すというもので、肌の健康状態を評価する指標とされているようです。

でも、それって肌本来の健康状態ではなく、使用している化粧品の水分量などを測定しているだけではないのか、自分に合ったスキンケアを毎日きちんとしていれば、肌は健康な状態に保たれるから肌年齢としては若く出るのは当たり前ではないのか――。

そんなふうに軽く考えていたのですが、先日「フレイの日」制定に関する記事を書いていて、ちょっと考えが変わりました。

記念日の制定を記念するイベント会場で、肌年齢の測定をするというのです。
そうか、肌年齢は美容上の話だけではないのだ、心身の老化とか内部環境の健康状態といったこととも関係があるのかもしれない、と気づくに至ったのです。

そこで今日は、その辺のことを書いてみたいと思います。

加齢に伴い体力や気力が低下し、「フレイル」状態に陥るのを防ごうと、2月1日を「フレイルの日」と制定。国は新年度から75歳以上を対象に「後期高齢者の質問票」によるフレイル健診を始める。要支援・要介護者を増やさないためにフレイル対策の強化は待ったなしだ。

肌は内臓の鏡として
身体内部の健康状態を映し出す

肌年齢とフレイル、つまり加齢により心身が虚弱し、そのまま進むと要支援や要介護の状態に陥りがちな状態との間に、どのような因果関係があるのだろうか――。
そんな興味を持ったのは、あることを思い出したからです。

もう10年ほど前になりますが、漢方薬を中心とした東洋医学がご専門の医師を取材させていただいたときのことです。

たまたまその日一緒だったカメラマンの男性は、もう40過ぎだというのに青春真っただ中の若者のように、顔に赤みがかったニキビのようなものが、ブツブツと目立っていました。
それを目にした医師が、さりげなくこう言ったのです。

「皮膚、特に表層部分の肌は内臓の鏡ですからね。そのニキビのようなものを肌の表面だけのトラブルだと思わない方がいいですよ。原因は身体の内側にあるかもしれませんから」

言われたカメラマン君は心配になり、すぐにその翌日、内科を受診したようです。

案の定と言いましょうか。
内科医から肝機能が少し低下しているとの診断を受け、医師にすすめられて受けた栄養指導では、管理栄養士さんから食生活の乱れ、とりわけ野菜不足を厳しく指摘され、あまり好きではない野菜ジュースを1日1缶飲むようになった、と――。

しばらくして取材で一緒になった際に、彼はそう話してくれました。
改めて見直した彼の肌からは、例のニキビが完全に消えてはいませんでしたが、目立たない程度になっていたことを思い出したのです。

肌細胞の円滑な新陳代謝が
美肌を守り、肌年齢を若く保つ

解剖・生理学の復習になりますが、私たちが普通「皮膚」と呼んでいる部分は、表皮の下にある真皮と、さらにその下の皮下組織の3層からできています。

このうち表皮部分の、表面に最も近い角質層の部分を「肌」と呼んでいるわけですが、ここでは「ターンオーバー」と言って、古い細胞から新しい細胞へと入れ替わる新陳代謝が、休むことなく繰り返されています。

このターンオーバーは、「美肌を保つカギ」と言われるように、肌細胞の新陳代謝が滞ることなくコンスタントに繰り返されることにより、肌の健康が守られ、肌年齢も歳相応に保たれることになります。

使い古した細胞やシミの原因となるメラニン色素、その他さまざまな肌トラブルの基となる不要な老廃物が角質と一緒に剥がれて排出され、新しく作られた細胞と入れ替わるといった新陳代謝のサイクルがスムーズに進むためには、この新陳代謝に使われる水分や栄養分が過不足なく送り込まれる必要があります。

肌の新陳代謝に必要な栄養分は
全身を流れる血液から

私たち女性はもちろん、最近では多くの男性たちも、スキンケアと称して、汚れを洗い流した後の肌に、美容液やクリーム、保湿剤などを毎日せっせとつけています。

しかしながら、肌の表面から水分や栄養分を補給しても、肌の中、つまり新しい肌細胞が作られる真皮の下の、基底層と呼ばれる奥深いところまでは入り込んでいけません。

肌細胞の新陳代謝に必要な水分や栄養素を補給する役割を担っているのは、1日24時間、私たちが就寝している間も休むことなく全身を循環している血液です。

この、皮膚組織に送り込まれる血液の流れ具合や性状は、そのまま肌細胞の新陳代謝に影響を与え、肌の健康の度合い、つまり肌年齢に大きく反映されることになります。

ですから、たとえばフレイルの主な原因とされる低栄養状態にあったり、体内に活性酸素などの有害物質が増えて、血管をはじめ、身体のあちこちで酸化が進んで錆びついたような状態が続くと、肌にはその影響が乾燥やシミ、しわ、クマ、くすみといったトラブルとなって現れてくるというわけです。

逆に言えば、先に紹介した東洋医学の医師が指摘したように、肌にシミやくすみなどが目立つようになり、肌年齢が実年齢より高く出るようなときは、身体の内部でも、フレイルにつながるような健康上好ましくない状況が起きているサインとして受け止め、それなりの対策をとる必要があるということだろうと思います。

身体をよく動かすことと
抗酸化食品の積極的摂取を

その対策としては、肌年齢の観点から言えば、日々の食生活と運動習慣、ストレス状況を見直してみるのが手っ取り早い方法です。

よく感心させられるのですが、女性の一流アスリートの肌は、概して生まれたばかりの赤ちゃんのようにとまでは言わないまでも、とてもきめが細かく、輝いています。

彼女たちは紫外線を浴びることも多いと思うのですが、紫外線の影響に負けないほどよく動き、汗をかいていますから、肌細胞の新陳代謝がよほど活性化しているのだろうと、勝手に思い、私自身もできるかぎり身体を動かして汗をかくようにしています。

それとやはり大事なのは食生活です。
身体の中で増え続ける活性酸素を取り除くには、抗酸化力のある食品を意識して多めに摂るように心がけることです。

抗酸化力のある食品とは、体内で血管などが活性酸素により酸化されて錆びつく前に、自らが酸化されて、身体が酸化されるのを防いでくれる食品のことです。

よく知られているのは、β-カロテンやビタミンCを多く含む人参や緑黄色野菜、ビタミンEが豊富なナッツなどの種実類やオリーブオイルに代表される植物油、小麦胚芽などです。

仲間内で肌の話となると、どうしても化粧品やマッサージの話になりがちですが、「肌は内臓の鏡」であることを思い出して、内部環境にもしっかり目を向けたいものです。