「小児がんのこと知って」と12歳の少年が絵本




小児がんを経験したぼくが
伝えたいことを全部書いた絵本です

「えいしましろう(栄島四郎)」という名前に聞き覚えはないでしょうか。
3歳のころに見つかった脳腫瘍の晩期後遺症と闘う12歳、小学6年生の男の子です。
四郎君は先月30日(2019年8月)、待望の一冊の絵本を出版しました。
タイトルは『ぼくはレモネードやさん』――。

四郎君は昨年、「ぼくの病気のこと、小児がんのことをもっと知ってほしい」と、小児がんを詳しく伝える紙芝居を完成させています。
今回出版した絵本は、この紙芝居に書き下ろしの絵や入院中に経験したり、考えたりしたたくさんのエピソードを書き加えて完成させたものです。

絵本のタイトルに「レモネードやさん」とあるのは、四郎君が3年前から、ご両親や友人、知人たちの協力を得ながら「レモネードスタンド」といって、レモネードを販売して、小児がんの治療研究に支援を募る活動に取り組んでいるからです。

全40ページのこの絵本には、四郎君のありのままの闘病の日々に加え、このレモネードスタンドに取り組む心意気なども綴られています。
「みなさんに広く伝えてもらったらうれしいです」という四郎君の言葉に応え、今日はこの絵本のことを書いてみようと思います。

小児がんという病気があることを
日本中の人に知ってもらいたい

四郎君が、小児がんの中でも白血病に次いで多いとされる脳腫瘍を発症したのは、3歳の夏でした。
4歳で受けた腫瘍摘出手術は、15時間にも及んだそうです。
術後も続いた抗がん剤による化学療法と放射線治療を乗り越えて、5歳で退院。
脳腫瘍は完治したものの、現在も半年に一度の通院を続けています。

「疲れやすくて、よくボーッとなってしまったり、転ぶこともある」
といった後遺症に悩まされることもあるようですが、元気に学校に通っています。

実は四郎君は、今回の絵本出版の2年前、小学4年生のとき、『しろさんのレモネードやさん』(吉備人出版)という絵本の出版に際し、発案者つまり絵本の骨子となるアイデア提供者として参加しています。

「小児がんという病気があること、その治療を頑張っている子どもたちがいることを、日本中の人に知ってもらいたい」
そんな四郎君の願いに共感した闘病仲間やその家族、通っている作文教室の先生や友だちなど、多くの人と協力し合って取り組んだ絵本作りでした。

小児がんの子どもたちのために
レモネードの売り上げを病院に

そもそものきっかけは、母親からもらった『ちっちゃなアレックスと夢のレモネード屋さん』(戎光祥出版)という本を読んでレモネードスタンドのことを知ったこと。
自分もいつかレモネードスタンドをやってみたいと思うようになったようです。

レモネードスタンドは、1歳で小児がんを患ったアレキトンドラ・スコット(愛称「アレックス」)というアメリカ人の女の子が、4歳になったとき
「自分と同じように小児がんと闘っている子どもたちのために、売り上げを病院に寄付したい」
と自宅の庭先で始めたものです。

アレックスちゃんの「病気なんかに絶対負けない」という前向きの気持ちは、周りの子どもたちに感動をもって受け入れられ、1杯50セントのレモネードが初日だけで40杯も売れ、2000ドルの売り上げを達成しました。

終始前向きであり続けたアレックスちゃんでしたが、わずか8歳で天に召されてしまいました。
しかし、彼女亡きあともレモネードスタンドの活動は全米の子どもたちに広がり、最近では日本でも、四郎君の呼びかけに呼応して、少しずつながら広がりを見せています。

目標は300歳まで生き
レモネードの販売を続けること

さて、絵はもちろん文章も、全部を四郎君が自分で(描き)書き上げた絵本『ぼくはレモネードやさん』(生活の医療)の話に戻りましょう。
そこには、注射の痛さや手術を受けた後にベッドから動けなかったこと、治療で髪が全部抜けたことなど、悲しかったりつらかったことが包み隠さず書き(描き)込まれています。

加えて、「点滴コロコロ広場」といって、病棟の廊下で点滴台を押して走ったり、エレベーター早押しゲームをやったりと、入院中の子どもたちとあれこれ考えて遊んで楽しかった思い出も、色鮮やかなペン画で表現されています。

亡くなった友だちのことも紹介

加えて、亡くなった友だちのことも紹介して小児がんという病気の厳しい実態を伝え、
「ぼくのように病気で苦しむ子どもたちがいなくなるように、治療法や薬を研究開発するためのお金を集めて寄付したい」
と、レモネードスタンドの活動のさらなる普及を願う四郎君。

自らも、地元の神奈川県横浜市と母親の出身地である岡山県井原市などでスタンドを開き、1杯100円程度でレモネードの販売を続けています。
スタンドに集まってレモネードを飲んでくれている人たちに、レモネードを売る理由や小児がんのことを知ってもらいたくて紙芝居を作り、それが発展して絵本になったようです。

小児がんの子どもたちのためにできることはまだまだあると考える四郎君は、
「ぼくの目標は300歳まで生き、レモネードの販売を続けること――」
そんなふうに夢をふくらませて綴っています。
絵本の売り上げの一部も、小児がん研究のための支援に当てようと考えているそうです。
よかったらあなたも是非一冊を!!