看護師が同乗する「ナースカー」で通院支援!!




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看護師が同乗する「ナースカー」で
自力で通院できない患者を送迎

2019年12月15日の北國(ほっこく)新聞が、こんなタイトルの記事を配信しています。
「ナースカーで快適通院 能美市立病院 自力困難な住民送迎」

能美(のみ)市立病院とは、石川県南部の加賀地方に位置する能美市(総人口49,200人、65歳以上の高齢化率26.6%)にある病床数135床の地域中核病院です。

記事は、同病院が12月24日より、自力で同病院に出向くのが困難な市民を無料で送迎する「ナースカー」の運用を開始したことを伝えています*¹。

看護師等の病院スタッフが同乗する「ナースカー」は、救急車を呼ぶほどの緊急性はないものの、発熱や持病の悪化などで病院に行くための介助が必要な患者を対象に、土日祝日を除く午前8時半から午後4時まで対応しているとのこと。

このところ、高齢者が運転する車による悲惨な交通事故が相次ぎ、高齢ドライバーに運転免許の返納を求める声が高まっています。
一方で、公共交通機関の少ない地域を中心に「病院にも行けなくなってしまう」といった高齢者の嘆きの声が多く聞かれます。

そんななかにあって「ナースカー」の導入は、地域住民のニーズに応えるサービスとして、また病院の機能強化につながる取組みとしても注目されています。

1分1秒を争う状態ではないが
自分で動けないときの「ナースカー」

同院のウエブサイト*²によれば、「ナースカー」の利用対象者は、
⑴ 発熱がある、食欲不振が続いている、転んで強い痛みがある、持病が悪化したなどにより、医師の診察を希望するが、自分で動けない患者
⑵ かかりつけ医からの指示やケアマネジャー、訪問看護師からの紹介がある患者
となっていて、1分1秒を争うような状態のときは、救急車の利用をすすめています。

地域医療連携室に設置されている「ナースカー」専用窓口に出動を要請する電話が入ると、担当の看護師が症状を詳しく尋ね、常用薬などについても確認します。

その結果によっては救急車の出動が妥当と判断することもあるようです。
また、推測される自立度から必要と判断すれば、介護士などを同伴することもあるそうです。

その際に利用する車両は、同市内にある介護老人保健施設と供用の、車いす利用者やストレッチャーによる搬送が必要な患者にも対応できるタイプの車両とのこと。

この取組みを伝える記事には、同院看護部長である山下順子さんの「住民に寄り添ったサービスを展開するのが地域の病院の使命と考えている。これからも幅広く対応していきたい」とのコメントが紹介されています。

要請に応えて24時間365日
「ナースカー」が駆けつける

インターネットで調べてみると、「ナースカー」のような地域住民向けの送迎サービスは、地方を中心に、すでにいくつかの病院で始まっているようです。

たとえば福岡県の南部にある八女(やめ)郡広川町(総人口19,642人、65歳以上高齢化率27.1%)にある姫野病院(病床数140床)では、2016年という早い時期から、大型ワゴン車による「ナースカー」のサービスを行っています*³。

サービスの対象は、同院に受診歴のある16歳以上の患者ですが、初診の患者でも、かかりつけ医やケアマネジャー等の紹介があれば利用することができるようになっています。

病状の変化や怪我などにより自力では病院に行けないものの、1分1秒を争うような危機的状態ではない患者が対象という点では、能美市立病院と同じです。

違うのは「ナースカー」の運用時間です。
姫野病院では年中無休で、24時間365日対応しています。
こうした利便性もあって、利用患者は年々増加し、2018年の出動件数は約800件を数えるとのこと。
1か月に換算すると約67件となり、ニーズの高さがうかがえます。

看護師同乗の「ナースカー」に加え
「ヘルパーカー」による通院支援も

姫野病院では、今年(2019年)8月からは、介護士とドライバーの二人体制で同院への送迎を行う「ヘルパーカー」のサービスも開始しているそうです。

「ナースカー」の対象者のように医療的なかかわりは必要ないものの、リハビリテーションの途上にあるなど、自力での通院には身体的に支障のある患者向けのサービスです。

こちらは予約制で、自宅や介護施設まで迎えに行き、受診やリハビリテーションに付き添い、終わったら家や施設まで送り届けるという、一人当たり都合4~5時間つき合うことになるサービスを無料で行っているそうです。

折しも厚生労働省では、公立・公的医療機関等については地域の民間医療機関では担うことのできない医療機能に重点化する方向で、再編・統合に向けた議論が進行中で、既に「再編・統合を促す必要のある病院」リストも公表されています。

検討課題は文字どおり山積状態で、すぐに実行に移せる話ばかりではないようですが、医療機関を利用している患者にとっては、たとえば転院を余儀なくされ、そのために通院に支障をきたすといった事態に陥るケースもないとはいえないのではないでしょうか。
そんなとき考えられる通院支援の一例として、「ナースカー」の取組みを紹介してみました。

参考資料*¹:北國新聞2019年12月25日
参考資料*²:能見市立病院ウエブサイト
参考資料*³:姫野病院ウエブサイト