3食摂っても疲れが残るなら
現代型栄養失調を疑って
高齢者に低栄養のリスクがあることはご存知でしょう。
年齢を重ねるにつれて食が細くなり、特にたんぱく質が不足しがちになることが原因のようです。
ところが最近になり、食事は3食きちんと食べているつもりなのに体調がすぐれないという人が、年齢に関係なく、特に女性の間で増えているようです。
これが、「現代型栄養失調」と呼ばれている状態です。
「新型栄養失調」とも言います。
ダイエットのために食事を制限しているわけではない。栄養バランスと食品の品質にも十分気を配ってきちんと食べているつもりなのに、
「なかなか疲れがとれない」「元気が出ない」「なかなか仕事に集中できない」――。
このような状態は、エネルギーは十分とれているものの、体調を維持していくうえで欠かせないたんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維といった栄養素が不足している、あるいはバランスが乱れていることをうかがわせます。
あなたにもし思い当たるふしがあるようなら、現代型栄養失調を疑って、食生活を見直してみてはいかがでしょうか。
現代型栄養失調と
慢性腰痛&抑うつ気分の関係
看護師さんに多いとされる慢性腰痛やストレスによるうつや抑うつ気分の予防や改善に、毎日の食生活を栄養バランスの観点から見直してみることを、先に提案させていただきました。
長引く腰痛はもちろんですが、特に抑うつ気分には、現代型栄養失調の関与が大いに考えられます。ちなみにその記事はこちらです。
「野菜類を1日350g以上」
の摂取目標を満たす努力を
自分としては食事に気をつかっているつもりでも、必要な栄養素をまんべんなく摂り続けることは意外と難しく、栄養的な偏りによる現代型栄養失調に陥りがちです。
特に不足しがちなのが、ビタミンやミネラル、食物繊維を摂るのに最適な野菜や果物類です。
厚生労働省は、生活習慣病を予防し、健康な生活を維持するための目標値の1つとして「野菜類を1日350g以上食べましょう」を掲げています。
これを受けて、多くの人が意識して野菜を食べるようになりました。
ところが「2014年国民健康・栄養調査」をみると、1日の野菜類摂取量の平均値は、男性300.8g、女性285.0gで、目標値の350gにはとても足りていないことがわかります。
この不足はどの世代にも共通しているのですが、とりわけ20代は男性237.9g、女性238.9gと、男女ともに平均より50gほど少ない最低値になっています。
あなたはどうでしょう。毎日野菜類を、目標値の350g以上を摂っているでしょうか?
旬のものを中心に
野菜類をたっぷり食べる
野菜類には26種類にもなるビタミンやミネラルが豊富に含まれています。そのいずれもが糖質や脂質、たんぱく質の消化や吸収に重要な働きをして、からだの調整役を担っていますから、今以上にたっぷり摂ることを心がけたいものです。
野菜類はどうも苦手で食べる量を増やす自信がないという方もいるでしょう。そんな方には、季節ごとに旬の野菜を中心に摂ることをお勧めします。旬の食材のほうが一年中あるものよりも栄養価が高く、そのうえその時季に見合った体調を整える力をもっていますから、食べる量は少量であっても、栄養価としては十分摂ることができます。
最近はハウス栽培の普及や栽培技術の進歩により、旬に関係なく一年中いろいろな野菜が手に入るようになっています。旬の野菜か否かの区別がつきにくくなっていますが、野菜屋さんに聞けば、「今の旬」を教えてもらえるはずです。
あるいは有機・無農薬栽培野菜と安心果物セットのように、産地直送の野菜や果物を自分のスケジュールに合わせてネットで購入することもできますので、どんどん活用されたらいいと思います。
栄養成分を無駄にしない
調理方法を心がける
野菜類に含まれている栄養成分のなかには、調理方法を間違えると、その段階で無駄になってしまうものがあります。また逆に、栄養成分の特性に見合った調理法をすることで、その栄養素の吸収率を上げて、栄養価を高めることができるものもあります。
その辺のことは看護師のあなたならよく承知しておられることと思いますが、代表的なものを3点だけあげておきましょう。
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- ビタミンCやビタミンBなどの水溶性ビタミンは、水や空気、さらには熱にも弱い。購入後は鮮度の高いうちに調理するか、保存する場合は空気にできるだけ触れないようにする。水溶性ビタミンはゆでたり水にさらしたりすると流れ出てしまうので、野菜は手早く洗い、ジャガイモなどをゆでるときの水は極力少量にして、過熱はできるだけ短時間ですます
- 緑黄色野菜に多いビタミンAやビタミンEなどの脂溶性ビタミンは、「脂溶性」という言葉どおり油に溶けて吸収される。そのため炒め物にするか、サラダとして食べる場合はノンオイルではなくオリーブオイルのドレッシングをかけて食べるとよい
- 野菜類が備えている栄養価を最大限利用するには、「鮮度」と並んで「熟度」も大切。とりわけトマトやアボカドなどを購入するときは、色づき具合をよく見て熟度の高いものを選ぶようにする
市販の調理済み食品や
加工食品に頼りすぎない
私たちを取り巻く食環境は、時代とともに大きく変化しています。
その変化が私たちの食生活に、手軽さ、便利さといったかたちでプラスに働いていることは否定できません。ただし、残念ながらマイナスの側面も意外と多く、これが現代型栄養失調の発生に大きく関係しているといえそうです。
最近の共働き世帯には、コンビニのお弁当やお惣菜を食卓に並べるだけで夕食にしているケースが少なくないというニュースをよく目にします。保存技術の発達により、長期保存が可能になったのはいいとしても、保存期間が長くなればその分栄養価は減少します。保存性をよくするために味付けは濃くなり、糖質や脂質、塩分の多い食事になってしまう傾向があります。
特に塩分には気をつけたいものです。
普段の食事でどのくらいの塩分を摂っているかを自宅において尿で調べる検査キットもありますので、一度チェックしておくと安心です。⇒食塩摂取量検査「シオチェック」
レトルトのような加工食品も、忙しいときには強力な助っ人です。
私も時々利用しますが、高温・高圧処理などの加工段階で、栄養価がかなり減少していることを意識しつつ使うようにしています。
白米や白砂糖のような精製された食品も、精製過程でビタミンやミネラルなどが破壊され、そぎ落とされていることを忘れないようにしたいものです。
機能性表示食品などは
頼りすぎずに上手に活用する
いろいろ努力してもバランスよく栄養を摂るのは難しいという方も少なくないでしょう。そんなときは、最近出回っている特定保健用食品(特保)や機能性表示食品、栄養機能食品のようなサプリメントの力を借りるのも一法かと思います。
最近では、野菜不足の食生活をカバーできるとして青汁が各種で回っていますので、それを活用するのもいいでしょう。
また、「朝食抜き」や「コンビニランチ」、さらに時には「時間がなくて一食抜きになってしまった」といったことになりがちな食生活を補おうと、ビタミン剤をすでに常用、あるいは常用を検討している方も少なくないでしょう。
そんな方には、数あるなかから【指定第2類医薬品】パンビタンハイ をお勧めします。
パンビタンハイは、健康維持に必要な10種のビタミンに加え、ミネラルとして、カルシウムとマグネシウムを補給できることが高く評価されている保健薬です。
実は私も、取材先で「足がつる」と相談した医師からパンビタンハイを勧められて飲み始めて以来、すでに10年余りになります。もちろん以来、取材でどんなに歩き回って疲れた日でも、その夜に足がつるようなことはなくなっています。
あくまでも個人的な体験ですが、参考までに紹介させていただきました。