看護師もマインドフルネスで楽になって




ひらめき

あの小室哲哉氏が
介護ストレスからバーンアウト!?

先日、音楽プロジューサーの小室哲哉さんが記者会見を開き、「音楽界から引退する」ことを発表しました。引退自体が突然のことだっただけに、大変驚きました。

同時に、それ以上にびっくりさせられたのは、小室さんのあまりに憔悴しきった表情と低いトーンでの話しぶりでした。

会見で小室さんは、音楽活動における長年のパートナーであり、実生活では妻でもあるKEIKOさんの病状を、彼女の発病以来はじめてだと思いますが、詳細に語っています。

それによると、2011(平成23)年にくも膜下出血で倒れた彼女は、6年余りが経過した現在、「身体的な後遺症はないものの、高次脳機能障害により、音楽に興味を持つことも、歌うことも日に日になくなってきている」とのこと。

さらにこんなことも明らかにしています。
「僕から見る限り、(KEIKOさんは)女性から女の子(に変わった)みたいな……。会話のやりとりというのが日に日にできなくなってきて、ちょっと僕も疲れ始めてしまったところは3年ほど前からあったと思います」

この語られた内容と、そのときの小室さんの表情や語り口調から、「介護ストレスによるバーンアウトでは?」という懸念が、とっさに私の頭をよぎりました。
いわゆる「燃え尽き症候群」です。

高次脳機能障害者と
かかわることの難しさから

ご承知のように、KEIKOさんが現在抱えているという高次脳機能障害とは、くも膜下出血のような脳卒中や脳腫瘍、頭部外傷などにより、思考や記憶、学習といった人間の脳だけに備わっている認知という次元の高い機能が障害を受けた状態の総称です。

その症状は、ダメージを受けた脳の部分により異なりますが、記憶障害や集中力の低下、意欲の低下、感情コントロールの障害、対人関係障害など多岐にわたり、患者は日常生活や社会生活にさまざまな面で制約を受けることになります。

KEIKOさんの現状について、「会話のやりとりが日に日にできなくなっている」と小室さんも語っているように、認知機能が障害を受けると、コミュニケーションのとり方が病気になる前に比べ、かなり複雑で特異なスタイルに変わってきます。

そのため、コミュニケーション自体がうまく成立しないことが多くなります。
患者は、言葉が意のままにならないことに加え、相手がなかなか自分の意を汲んでくれないことにもどかしさを感じ、突然怒りだしたり、イライラしたりすることも珍しくありません。

一方の、介護や看護する側は、その言動に振り回されて、「どうかかわったらいいのかわからない」と戸惑ったり、行き詰まりを感じることになりがちです。

このような高次脳機能障害者のコミュニケーション特性やその対応については、慢性疾患看護専門看護師の下村晃子さんが、近著『生活の再構築―脳卒中からの復活を支える 』(仲村書林)のなかで多くのページ(p.126-138)を使ってかなり具体的に解説しています。

小室さんが日々経験している高次脳機能障害者と生活を共にすることの難しさと、しかしながら、かかわり方によっては、そこに喜びを見出すことができるということを伝える貴重なヒントがたくさん書かれていますので、一度読んでみることをお勧めします。

看護・介護する人が
幸せな気持ちでいられる社会に

会見を締めくくるにあたり小室さんは、音楽プロジューサーとしてトップランナーであり続けようとする自分と、妻であるKEIKOさんの介護に専念しようとする自分との狭間で葛藤してきたという10年近い日々を振り返り、こんな趣旨の訴えをしています。

自分が体験してきた介護の大変さを発信することにより、同じように介護や看護にかかわっている人のすべてが少しでも幸せな気持ちでいられるような方向に、この国が動いてくれたらいいなと思っている、と――。

いみじくも小室さんのこの訴えは、長年にわたり取材を通じて看護職の方々とお付き合いさせていただいている私自身も常々考えていることです。

看護は確かに大変な仕事ではあるけれど、ストレスに負けないでほしい。
むしろ看護する喜びを見い出していただけるように、たとえば自身や家族がケアを受けたら、ちょっとした感謝の言葉を伝えることから始めて、ケアしている方をケアできるような社会をつくっていきたい――。このブログもそんな思いから書き続けています。

看護・介護する人が楽になる!?
マインドフルネス瞑想

折しも、看護職の間で、このところ『ケアする人も楽になる マインドフルネス&スキーマ療法 BOOK1』(医学書院)という本が注目を集めていると聞きます。

「マインドフルネス」も「スキーマ療法」も、認知行動療法のアプローチ法に属するものです。
認知行動療法を簡単に言えば、とかく悲観的に受け止めがちな考え方の癖を軌道修正することにより、とらわれから解放され、あるがままを受け入れて、ストレスと上手につき合っていく手法だと、私は理解しています。

認知行動療法のアプローチ法についてはいろいろありますが、そのいずれも、理論や理屈を学ぶよりも、まずは実際にやってみることが重要だと言われています。
キャリア3年の看護師Sさんは、まさにその体験者だと話してくれました。

日々のストレスで心身ともにいっぱいいっぱいの状態になり、「このままでは燃え尽きてしまう」と気づいたことで、ストレス対処法としてのマインドフルネスに出合い、2冊ほど解説書を読んでみたそうです。
でも、ピンとこなかったとのこと。

そして三度目の正直ではありませんが、「これが最後」と思って購入したのが、4枚がセットになったCD の実践本『 マインドフルネス瞑想ガイド』(北大路書房)でした。

CDから流れる音声ガイダンスに導かれながら、呼吸を意識して静かに座っていると、集中力が高ままっていくのに伴って雑念が取り払われ、「ただ今だけに集中する」といった、いわゆるマインドフルネスの状態になってくるとのこと。
まり、あれこれ考えすぎずにあるがままを受け入れようという、とても楽な気持ちになってくるのだそうです。

最近は瞑想教室などに通う方もいるようですが、まずは自宅手に居ながらにしてできるこのCDを活用して、ストレスを抱え込んでいるあなたも是非試してみてください。