祝 国家試験合格!!
いよいよ新たに2020年度がスタートします。
厚生労働省は3月19日14時、2020(令和2)年2月に実施された第109回看護師国家試験の合格発表を行っています。
合格率は89.2%(新卒者は94.7%)と、90%を僅かに下回ったものの、新たに5万8514人の看護師さんが誕生されました。
前年より1747人多く、9年連続で5万人を超えています。
ちなみに、第106回保健師国家試験の合格者は7537人で合格率91.5%、第103回助産師国家試験合格者は2093人で合格率99.4%となっています。
合格者のなかにはそのまま大学院に進まれる方もいるようですが、大多数の方が新人の看護師、保健師、助産師さんとして新たな一歩を踏み出されることと思います。
まずはお祝いを申し上げます。
新人看護師のスタートに贈る
新人看護師のあなたは、学生時代に臨床実習を経験されていて、医療現場のことはおおむね理解しておられることでしょう。それでも、学生と社会人では、立場も負うべき責任も、そして何より周囲から寄せられる期待が大きく異なります。
一人の看護師として、また医療人として、どのような心構えのもとに患者やその家族にかかわっていけばいいのか、期待と不安が交錯していることでしょう。
そこで今回は、新人看護師のあなたが、この先臨床で何かしら疑問を感じたり、迷ったり、壁にぶつかったりしたときに少しでもお役に立ちたいとの思いから、これまでの記事を大まかなテーマ別にまとめて紹介させていだくことにしました。
看護師さんとしてのワークの部分だけでなく、一社会人としてのライフの部分に関してもさまざまな切り口から関連する情報を漏れなく網羅しています。
折りに触れて、関心をもたれたテーマを選び、「ああ、こんな考え方もあるのだ……」「こんなふうにかかわればいいのだ」と軽い気持ちで目を通していただき、何かしらのヒントをつかみ、さらにその先への一歩を踏み出していただけたらとてもうれしいです。
なお、折しも国内はもとより世界的な「新型コロナウイルス」感染拡大により、医療現場は感染症指定医療機関を中心に気を許せない状況に陥っています。
本ブログでは、院内感染対策や職業曝露リスクの評価などにつき、随時最新情報をお届けしていますので、ご活用ください。
患者の「持てる力」への視点強化を
釈迦に説法で恐縮ですが、看護職の皆さんには「療養上の世話」と「診療の補助」の二大業務があります。しかしながら最近の医療事情により、新人看護師のあなたはこの先、おそらく「診療の補助」の部分に多くの時間をとられることになるんだろうと思います。
そのような環境にあっても新人看護師さんには、以下の記事を参考にしていただき、患者理解を深め、ナイチンゲールの時代から看護本来の機能として大切にされてきた、
「その患者の持てる力に働きかける」姿勢を持ち続けていただけたらと思います。
- 看護師が考える「その人らしさ」とは?
- 看護としての「傾聴」は聞くだけで終わらせない
- 慢性期看護はもはや「問題解決志向」ではない
- 生活の再構築を必要としない患者はいるだろうか
- 看護コンサルテーションで「やりがい」に気づく
- 看護師も注目を!「笑いの効用」実証研究へ
- 看護師の「対人力」でチーム医療を円滑に
- 看護師の「やさしさ」と「おせっかい」
- 看護師は今こそナイチンゲール看護の実践を
双方が合意に達せられる
コミュニケーションを
最近は以前ほどではないように思いますが、看護師さんは「傾聴」という言葉をしばしば口にされます。そこには、患者やチームの仲間の話を「よく聴く」ことが相手とのコミュニケーションを円滑にして理解を深めることにつながるとの理解があるようです。
しかし精神看護専門看護師の平井元子さんは、近著『リエゾン―身体(からだ)とこころをつなぐかかわり (SERIES.看護のエスプリ)』のなかで、「ただ聴く」だけではなく、相手が言いたがっていることを理解するコミュニケーションの大切さを説いておられます。
一方的ではなく双方向でということですが、私もこの考えには賛成で、そうした観点からいくつか記事を書いていますので読んでみてください。
- 看護としての「傾聴」は聞くだけで終わらせない
- 看護師の「対人力」でチーム医療を円滑に
- 看護に活用を「患者の怒りを鎮める言葉」
- 話し下手で悩む看護師は聞き上手に徹して
- 看護師は自らの声のトーンにも気をつけて
- 看護師のマスクはコミュニケーションの妨げに
- 看護師の英語力で外国人にも良質な医療を!
患者をケアするように
あなた自身もケアして
医療現場で取材を始めてすぐの、まさに私が新社会人だったときのことです。
そのころ聖路加看護大学で教鞭をとっておられた南裕子先生が、オレムのセルフケア理論の流れで、こんなことをおっしゃっていたことがとても印象深く残っています。
「看護はきつい仕事で、みんな心身ともにとても疲れています。だから看護師には心身ともにケアが必要なのよね。これもセルフケアということではとても大事なことで、それを怠っていると燃え尽きてしまう。だから、機会があったらそのことをわかりやすい記事にして、看護師に伝えてくださいね」
というわけで、折りに触れて南先生のご要望にお応えすべく、看護師さんのセルフケアに役立てていただけるようにさまざまな角度から記事を書いています。読んでみてください。
- リエゾン精神看護専門看護師の手を借りては?
- 看護師のうつ病予防は食生活の見直しから
- デスカンファレンスと看護師のグリーフケア
- 看護師のつらい腰痛に3つの提案
- 看護師の夜勤は乳がんリスクを高める?
- 看護師の緊張を呼吸法で和らげる「ツーブリーズ」
- その他、ストレス対策としての「落語」「ぬり絵」など。
看護師自らの安全対策と
感染防止対策の確認と徹底を
感染防止策の重要性は改めて強調するまでもないでしょう。加えて、2人に1人が生涯に一度はがんを経験する時代にあって、がん治療の要として高頻度で使用される抗がん剤については、「ばく露防止策」の徹底も、看護師さんには大きな課題でしょう。
以下を参考に、対策を徹底して新人看護師さん自らが身の安全を守って、日々の看護に取り組んでいただきたいと思います。
- 看護師の手洗い励行による手荒れ対策
- 梅毒感染拡大で看護師の針刺し事故が心配
- 麻疹の感染広がる。看護師の備えは?
- 看護師の「抗がん剤ばく露」が心配
- ドレーン管理と看護師の抗がん剤ばく露防止策
- 訪問看護師の50%が訪問先での暴力に悩まされている
看護や医療だけでなく
社会の関心事にも目を向けて
病院は社会の縮図とも人生の縮図ともいわれます。
一般社会で起きていること、また人びとが関心を持ってみていることは、病院を訪れる患者、そしてその患者にかかわる看護師さんにも大なり小なり関係があり、一概に「外で起きていること」として切り離してしまうことはできません。
そんな視点からまとめた記事をリストアップしてみました。
日々の看護に引き付けて考えてみていただけましたらうれしいです。
- がんサバイバー支援施設を訪問看護師らが開設
- 認知症看護に患者の意思を反映していますか
- 看護としてのアドバンス・ケア・プランニング
- 「死亡診断の看護師代行」条件つきで解禁へ
- 看護師が人手不足を理由に患者虐待?
- 「がんゲノム医療」が本格的に始まる