医療関係者のインフルエンザ予防接種は10月26日以降の早い時期に




ワクチン接種

コロナとの同時流行に備え
インフルエンザ予防接種を

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、収束に向かうどころか、新規感染者数がここ数日、増加傾向にあり、このままいけば今年の冬は、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行が懸念されます。

こうした事態に備えようと、日本感染症学会(理事長:舘田一博・東邦大学医学部微生物・感染症学講座 教授)は8月3日、
「両感染症の流行が重なれば重大な事態になる」と警告。

同時に発表した提言、「今冬のインフルエンザとCOVID-19に備えて」*¹のなかで、
高齢者や基礎疾患のある人等、感染を受けると重症化するリスクの高い人*や医療関係者には、インフルエンザワクチンの接種を強く推奨する方針を明示しています。

*新型コロナウイルス感染症の重症化リスク因子として、「新型コロナウイルス感染症診療の手引き・第2.2版」(2020年7月17日発行)は、
①65歳以上の高齢者、②慢性呼吸器疾患、③慢性腎臓病、④心血管疾患、⑤肥満(BMI 30以上)をあげている。
加えて、「重症化のリスク因子か否かは知見が揃っていないが要注意な基礎疾患等」として、①生物学的製剤の使用、②臓器移植後やその他の免疫不全、③HIV感染症、④喫煙歴、⑤妊婦、⑥悪性腫瘍、をあげている。

今冬のインフルエンザ予防接種は
10月1日から高齢者優先で開始

この提言を受けるかたちで厚生労働省は、9月11日、Webサイトにて、
「季節性インフルエンザワクチン接種時期ご協力のお願い」*²
とのメッセージを広く一般に公表しています。

そのなかで、今年のインフルエンザワクチンの供給量(確保量)は、成人の用量に換算して、およそ6300万人分と、過去5年間中最大量で、過去最大だった昨年(2019年)の使用量に比べても12%増であるとしています。

そのうえで、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行が懸念される今冬は、インフルエンザワクチンの接種希望者が例年以上に大幅に増える可能性があることに言及。

必要どの高い人がより確実にワクチン接種を受けられるよう、まずは予防接種法に基づく定期接種の対象となっている65歳以上の高齢者で、ワクチン接種を希望する人については、
10月1日(木曜日)から優先して接種を開始するとしています。

なお、自治体によっては、ワクチン接種の開始時期がずれ込むところもあるようです。

インフルエンザハイリスク者は
10月26日以降の早い時期に

一方で、65歳以上の高齢者以外で感染リスクの高い「ハイリスク」該当者については、10月26日(月曜日)まで接種を待ち、その後のできるだけ早い時期にワクチン接種を受けるようにしてほしいと、要請しています。

職業感染リスクがある看護師さん等医療関係者は、この「ハイリスク者」に該当し、院内感染対策の一環としてワクチンによる予防接種が奨励されています*。

ちなみに、その他のインフルエンザハイリスク者としては、以下が該当します。
①60歳以上65歳未満で糖尿病、心不全、腎疾患などの基礎疾患がある人
②妊娠中の人
③生後6カ月以上の乳幼児から小学2年生までの子ども

なお、例年どおり10月前半からのインフルエンザワクチン接種を予定し、予約を受け付けていたクリニック等の医療機関のなかには、すでに10月に入る前に予定定員に達し、予約を完了している施設も少なからずあるようです。

こうした状況に鑑み、厚生労働省は今冬のワクチン接種時期について広く国民に理解と協力を呼びかけるポスター*²を作成しているのですが、そこには、
「お示しした日程はあくまで目安であり、多少前後にずれても接種を妨げるものではありません」
と明記されています。

*日本環境感染学会の「医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版」では、予防接種実施規則6条による接種不適当者に該当しない全医療関係者(妊婦または妊娠している可能性のある女性、65歳以上の高齢者を含む)を対象に、インフルエンザHAワクチン0.5mlを、毎年1回接種することを奨励している。

インフルエンザ接種に加え
感染対策の徹底も

インフルエンザの流行状況を毎年分析している国立感染症研究所の報告によれば、先月(9月)27日までの1週間に報告があったインフルエンザ患者数は、全国で合わせて7人にとどまっていて、インフルエンザについては、今年はまだ流行の兆しが見えていません

例年この時期には数百人程度の報告があることを考えると、新型コロナウイルス対策を徹底していることが、インフルエンザの流行にも歯止めをかけるかたちになっているようです。

ただし、インフルエンザが全国的に流行するのは、多少の地域差はあるものの、毎年、早くて11月以降であり、新型コロナウイルスと同時流行するリスクは依然として残っていることから、インフルエンザワクチンを接種しておくことをおすすめします。

ご承知のように、インフルエンザワクチンには、
「ウイルスに感染しても発症を防ぐ、もしくは発症しても重症化を防ぐ」
効果が期待できる一方で、必ず感染を必ず防ぐというわけではありません。

そのため厚生労働省は、
①フィジカルディスタンス(身体的距離)の確保など、3密(密閉、密集、密接)を避ける
②こまめな手洗いや咳エチケット(マスクの着用)を実施する
③定期的な清掃、十分な換気を行う、
といった感染対策の徹底も、引き続き励行するよう促しています。

ワクチン接種の費用負担は
医療機関により異なる

インフルエンザワクチンは、接種時の体調によっては、副反応が生じることもあります。
一般的にその副反応は軽微で、10~20%の割合で接種局所の発赤、腫脹、疼痛をきたすことがありますが、2~3日もすれば自然に消失するようです。

全身性の反応としては、5~10%で発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などが見られることがあるものの、通常は軽微で、こちらも2~3日で自然に消失するようです。

ただ、ワクチンに対するアレルギー反応として、まれに湿疹、蕁麻疹、発赤、掻痒感が現れ、数日様子を見ても治まらない場合はかかりつけ医に相談することがすすめられます。

なお、ワクチン接種の費用負担は、職業感染リスクの観点から考え、所属する医療機関が全額負担するところもあるようですが、基本的には医療機関の判断に任されているようですので、改めて確認してみてください。