そのだるさや疲れ、「かくれ貧血」が原因では?




疲れた

多忙が原因ではなく
「かくれ貧血かも」との疑いを

もともと女性、特に月経のある世代の女性に貧血が多いことはよく知られています。
厚生労働省はその割合を、日本人女性の10人に1人、月経のある女性に絞ると5人に1人は貧血、あるいは貧血様症状を自覚していると推測しています。

さらに、血液中のヘモグロビン値から診断可能な貧血とは別に、一般的な血液検査ではなかなか気づくことができない「かくれ貧血」も珍しくないことがわかっています。

このところの超高齢化に伴う医療・ケアニーズの高まりは、多くの看護師さんを疲労困憊させています。こんな状況をとらえて、ともすれば、
「毎日こんなに忙しくしているのだから心身ともに疲れるのは当たり前」
と片付けてしまいがちです。

ところが、過労に伴う慢性的なだるさや疲労感、あるいは「集中力が続かない」「朝スッキリ起きられない」といった状態の背景には、かくれ貧血が潜んでいることが少なくありません。
ということで、今日はこの「かくれ貧血」について書いてみたいと思います。

予備の貯蔵鉄不足から
かくれ貧血の状態に

釈迦に説法でしょうが、ミネラルの一つである鉄は、私たちのからだのなかで、血液を介して全身の細胞に酸素を送り届けるという非常に重要な役割を担っています。

体内でこの貴重な鉄が不足すると、細胞自体が酸素不足に陥り、さまざまな臓器や器官、組織が十分に機能しなくなってしまいます。

そこで、酸素不足による機能低下、さらには機能不全に陥らないように、食事としていったん体内に取り入れた鉄は、なるべく無駄に体外へ排出されないよう、肝臓や脾臓、骨髄などにいったん蓄えておく仕組みになっています。

ところが、「貯蔵鉄」と呼ばれるこの予備の鉄が、何らかの原因で足りなくなってくることがあります。

するとからだのすみずみまで酸素を送り届けることができなくなるため、あちこちの組織が酸素不足に陥って不具合が生じ、さまざまな症状が現れるようになってきます。

駅の階段を昇る程度のごく日常的な動作で動悸や息切れに見舞われ、
▪連日わけもなくだるい
▪常に疲労感を覚えて頭が重い
▪とかく気分もふさぎがち
▪よく立ちくらみやめまいがする
▪同僚などからしばしば顔色が悪いと言われる
といった症状が代表的なものです。

特に月経のある看護師さんでこのような症状を自覚したら、貯蔵鉄不足によるかくれ貧血を疑って、一度検査を受けてみることをおすすめします。

かくれ貧血かどうかは
「血清フェリチン値」でわかる

かくれ貧血は、正式には「潜在性鉄欠乏」と呼ばれる貧血予備軍の状態です。

予備軍ですから病気ではないのですが、放っておくと「鉄欠乏性貧血」に進行する可能性がありますから早めに手を打っておく必要があります。

自覚しているだるさや疲れなどの症状が貯蔵鉄不足によるかくれ貧血なのかどうかは、血液中の「フェリチン濃度」をチェックしてみれば、すぐにわかります。

フェリチンとは、看護師さんでもあまり聞き慣れない用語だと思いますが、一口で言ってしまえば、鉄を貯蔵するたんぱく質のことです。

体内で鉄と結合することにより、鉄が野放図に排出されるのを食い止めて体内に貯蔵しておき、必要となったときに結合を解いて鉄を放出し、必要としている組織に送り出す働きをしています。

血液中のフェリチン濃度、つまり「血清フェリチン値」の測定は、一般的な健診などで行う血液検査の項目には含まれていません。

そのためだるさや疲れから「かくれ貧血かしら」と疑ったら、クリニックや内科外来を受診して「血清フェリチン値」を調べてもらうことをおすすめします。

毎日の食事で鉄を補給して
かくれ貧血を改善する

検査結果からかくれ貧血が判明し、「血清フェリチン値」が基準値を大きく下回っているような場合には、鉄剤が処方されることもあるでしょう。

しかし鉄剤処方の有無に関係なく、かくれ貧血の状態を改善するには、以下の4点に注意して、毎日の食事から鉄を効率的に摂る習慣を身につけることをおすすめします。

  1. 鉄分を多く含む食品を毎日摂取する
    鉄分には、レバーなど赤身の肉類やマグロなどの魚類に多く含まれる比較的吸収されやすい「ヘム鉄」とホウレン草や春菊などの緑黄色野菜類やヒジキ、きくらげなどの海藻類に多く含まれるものの、比較的吸収されにくい「非ヘム鉄」とがある。
    できれば吸収率の高いヘム鉄を多く含む食品を積極的に摂るようにする。
  2. 食品中の鉄分の吸収率を高める
    ビタミンCを多く含む野菜類(ブロッコリー、ピーマン、パセリ、キャベツなど)を一緒に摂るようにする。
    また、鉄分の吸収率を高めるうえで必要な胃酸の分泌をよくするためには、低塩分の梅干しや酢、レモンなどの柑橘類を食品と組み合わせて多用すると同時に、よく噛んで、ゆっくり食べることをこころがける。
  3. 鉄分の吸収を阻害する食品・飲料を控える
    ハムやソーセージ、ちくわやはんぺんのような魚肉の練り製品に代表される加工食品、清涼飲料水、スナック菓子類などに添加物として使われているリン酸塩は鉄の吸収を阻害する。
    また緑茶、紅茶、コーヒーなどに含まれるタンニンは鉄と結合して鉄の吸収を悪くするため、これらを食事中や食直後に飲むのは控える。
  4. 栄養的にバランスのとれた食事を
    鉄分の多い食品だけでなく、いくつかの食品を組み合わせて1日3食、規則正しく摂ることをこころがける。
    特に、赤血球を作るうえで欠かせないビタミンB12を多く含むかきやしじみ、はまぐりなどの貝類や葉酸を多く含む緑黄色野菜、ヘモグロビンの生成に必要な銅を多く含むナッツ類や大豆製品をコンスタントに摂り続ける。

鉄分を補給してある食品や
鉄製調理器具の活用も

なお、看護師さんには夜勤などの影響もあり、鉄分の多い食事を毎食きちんと摂ることが難しく、食事からの鉄分補給だけでは不十分なことも少なくないでしょう。

そのようなときは、ビタミン・鉄分強化米カゴメ 野菜一日これ一本超濃縮 鉄分 、あるいは【雪印メグミルク】1日分の鉄分のむヨーグルト のような鉄分を補強してある加工食品を活用して、鉄不足を解消するのも一法でしょう。

また、自炊をしている方は、鉄のフライパンや鉄の鍋など、厚手の鉄製調理器具を使って加熱料理を行うと、料理中にフライパンや鍋の鉄がわずかながら溶け出して食材に染み込み、料理自体の鉄分が増える効果が期待できます。

この場合は手軽な炒め料理より、時間をかけてコトコト煮込むタイプの料理や食卓で煮ながらいただく鍋料理などのほうが、料理にかかる時間が長い分溶け出す鉄の量も増えますから、摂れる鉄分量もアップします。