食事摂取基準改定でより厳しくなる減塩目標




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新しい食事摂取基準では
健康な成人も減塩努力を!!

5年ごとに改定されている「日本人の食事摂取基準」は、今年が改定年度に当たります。
この先5年間使用する2020年版の策定に向け、厚生労働省において議論が重ねられてきましたが、12月24日(2019年)、策定検討委員会(座長・伊藤貞嘉東北大学名誉教授)がまとめた報告書*¹が公表されています。

日本人の食事摂取基準〈2020年版〉』は、この報告書を踏まえ今年度中(2020年3月末)に告示され、4月からの使用が予定されています。

報告書を見てみると、今回の改定は「活力ある健康長寿社会の実現に向けて」を策定方針に、おおむね以下の5点を改定ポイントとしてまとめられています。

  1. 高齢者について、より細かな年齢区分(65~74歳、75歳以上)による摂取基準を設定する
  2. 高齢者のフレイル予防の観点から、65歳以上のたんぱく質摂取目標量を引き上げる
  3. 生活習慣病予防の観点からナトリウム(食塩相当)の摂取目標量を引き下げる
  4. 高血圧や慢性腎臓病の重症化予防を目的にナトリウム摂取目標量を引き下げる
  5. 脂質異常症の重症化予防を目的にコレステロールの摂取目標量を新たに記載する

内容の詳細については、年度末の公示後に改めてお知らせするつもりです。
それに先立ち今回は、改訂ポイントの「3」と「4」にある1日当たりの食塩摂取目標量が、現在より引き下げられる点について書いてみたいと思います。

健康な男女ともに
今より1日0.5gの減塩を

ご承知のように「日本人の食事摂取基準」は、健康増進法第30条2の規定に基づき、国民の健康の保持・増進や生活習慣病等を予防(一次予防)するうえで望ましいとされる、1日当たりのエネルギーおよび各栄養素の摂取量について基準を定めたものです。

食事摂取基準の適用対象は、健康な個人および健康人を中心に構成されている集団です。
新基準では「生活習慣病の重症化予防」の観点から、高血圧や慢性腎不全の患者も対象に、目標とすべき1日当たりの食塩摂取量について、おおむね次の2点が記載される予定です。

  1. 成人における習慣病予防を目的とした男女共通の摂取目標量は、食塩相当量で1日6g未満が望ましいと考えられることから、男女ともに現行基準より1日0.5g引き下げることを目標とする
  2. 高血圧および慢性腎臓病(CKD)の重症化予防を目的とした摂取目標量は、食塩相当量で1日6g未満とする

成人では男女の別なく、現在健康で生活していてもこの先の生活習慣病予防のために、1日当たり食塩摂取量を今より0.5グラム減らすことが推奨されるわけです。

しかし、子どものころから塩味に慣れ親しんでいる日本人にとってこの減塩を実行するのは、「決して簡単なことではない」と思いがちでしょう。

ところが、WHO(世界保健機関)のガイドラインはさらに厳しく、1日2~5グラムの範囲内に抑えることを推奨。また、日本高血圧学会も男女とも1日6グラム未満にすることを、2012年という早い時期から推奨しています。

このことを思えば、今のところ血圧などに問題もなく健康に暮らしている人でも、他人事と思わずに塩分を摂りすぎないように、あらゆる場面で働きかけることが、人びとの健康の保持・増進に貢献することを旨とする看護師さんの重要な役割の1つと言えるのではないでしょうか。

減塩を心がけると
むくみの緩和も期待できる

そこで、心がけ次第で誰もが無理なく取り組むことのできる減塩対策を、いくつかピックアップしてみたいと思います。

血圧に異常はないものの、「朝起きたら顔がむくんでいた」「夕方になると足がパンパンにむくんでつらい」「生理の前になると身体全体がむくみっぽくてだるい」など、女性を悩ますことの多いむくみの緩和策としても役立てていただけるはずです。

■定期的に塩分チェックをしてみる
減塩への取り組みは、やみくもに始めても長続きしません。
まずは普段の食事で自分がどのくらいの塩分を摂っているのか、慣れ親しんでいる塩味はどの程度なのかを知ることから始めることをおすすめします。

みそ汁やスープ類などの汁物に限られますが、塩分濃度を簡単にチェックできる「塩分計 しおみくん 」などを使い「塩分を測ってから食べる」習慣をつけると、自分の塩味に対する味覚センサーの感度がわかるようになり、減塩効果を上げることができます。

■減塩食を続けるコツは「だし」にあり
毎日の三度三度の食事で減塩を心がけている人は相当の数にのぼるものと思われます。
そのなかには減塩による薄味に飽きてしまい、衝動的に濃い味のものを食べて減塩に挫折してしまうといった人が少なくないはずです。

一方で、長年にわたり挫折することなく減塩食を続けているという方にそのコツを聞くと、誰もが口を揃えてこう言います。
「だし」がしっかりとれていて風味が効いていれば、薄味でも飽きがくるようなことはないと。

幸い最近は、沸騰しているお湯に入れるだけで風味とうま味の効いた「だし」をとることができる、いわゆる「だしの素」が各種売り出されています。

そのなかには減塩タイプのものも多く、なかでも減塩食品の普及に力を入れている国立循環器病センター認定のシマヤ 塩分55% カットだし粉末 はおすすめです。

■市販の減塩調味料や香辛料をフル活用する
高血圧や慢性腎臓病などで減塩食に取り組む人が増えるのに合わせ、減塩料理の要である調味料の充実を図ろうと、減塩しょうゆ、減塩味噌、減塩ポン酢など、減塩タイプの調味料が各種市販されるようになっています。

これらの減塩調味料と酸味や辛味などの各種香辛料(スパイス)や香りの高いセロリ、ネギ、紫蘇、生姜、にんにくなどの香味野菜、さらにはレモンやゆずなどの果汁もフル活用して味に変化をつけるようにすれば、かなりの塩分を減らすことができます。

と言っても、減塩タイプだからと油断は禁物です。

調味料は食卓で自由に「かける」のではなく、小皿に決まった量を出しておき、その都度適量を「つけて」食べるようにすると、減塩にはより効果的です。
また、食卓テーブルに調味料を出しっぱなしにしておかないことも、減塩出対策の一つです。

参考資料*¹:「日本人の食事摂取基準2020版」策定検討会報告書案(コチラ