「熱中症警戒アラート」関東甲信で7月1日開始




夏

国民の熱中症予防行動喚起に
効果的な情報発信ツール

環境省と気象庁は7月1日から10月28日まで、関東甲信地方の1都8県(東京都、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、山梨県、長野県)において、「熱中症警戒アラート」を先行実施(試行)すると発表しています。

熱中症に関する情報発信としては、気象庁がこれまで、全国の都道府県で、翌日または当日の最高気温が概ね35℃以上になることが予想される場合に「高温注意情報」を発令して、熱中症への注意を呼び掛けてきました。

併行して環境省も、「暑さ指数」により、国民に注意を呼び掛けてきました。
しかし、地球温暖化の進行とも相まって、熱中症による死亡者や救急搬送者は、このところ目立って増加する傾向にあります*。

*総務省消防庁の集計によると、2019年5月~9月に全国で熱中症により救急搬送された人員の累計は7万1317人で、前年同時期の9万5137人に続いて過去2番目の多さとなっている。

来年の夏からは全国一律のアラートに

そこで環境省と気象庁は連携して、国民の熱中症予防行動につながるような、より効果的な情報発信のあり方について検討を重ねてきました。

その結果編み出されたのが、今回試行される「熱中症警戒アラート」です。

このアラートについては、7月からの試行結果を秋以降に開催される有識者検討会において検証し、その結果を踏まえて必要な修正等を加えたうえで、2021年の夏からは全国で、新たな熱中症の情報発信ツールとして、本格運用される予定となっています。

なお、先行実施の1都8県以外の地域における今年夏の熱中症情報は、従来どおり気象庁では高温注意報、環境省だは暑さ指数で、それぞれ発信されます。

「暑さ指数」が33℃を超えたら
熱中症警戒アラートを発令

環境省と気象庁が新たに発信する「熱中症警戒アラート」は、暑さへの「気づき」を促し、熱中症への注意を促そうという、文字どおり「アラート」、つまり警報です。

アラートは、熱中症の危険性が極めて高い暑熱環境が予想される前日の17時頃および当日の朝5時頃、対象地域(単位は都県)に、ニュース報道の時間に併せて発表し、日頃から実施している熱中症予防対策の普段以上の徹底を呼びかけることになります。

今回の試行では、対象地域となっている都県内に設定されているいくつかの観測地点のうち、どこか1地点でも、熱中症との相関が高い「暑さ指数(Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度;略称WBGT)」が33℃を超えた場合、その都県内全域に「熱中症警戒アラート」が発令されることになっています。

このアラートは、熱中症の危険性が高いことへの「気づき」を促すことを目的としているものです。そのため、その後の予報で「暑さ指数が33℃を超える」とした基準を下回るようなことがあっても、アラートが取り下げられることはないようです。

熱中症の指標「暑さ指数」は
体感温度をより的確に表す

「熱中症警戒アラート」発令の指標として採用される「暑さ指数(WBGT)」とは、人体の熱収支バランスに大きく影響する「湿度(湿球温度)」「日射等からの輻射熱(黒球温度)」「気温(乾球温度)」の3要素を取り入れた暑さの厳しさを示す指標です。

人体が感じる熱、つまり体感温度をより的確に表すことから、熱中症の予防に役立つとして使われるようになっています。

3要素のうち馴染みの薄い黒球温度とは、直射日光にさらされている薄い黒色の銅板製の球の中心に置かれた温度計で観測するものです。

黒球の表面には、ほとんど反射しない塗料が塗られていますから、日射により地表が温められた、いわゆる輻射熱(ふくしゃねつ)を含む体感温度、つまり日向における体感温度とほどよい相関があると考えられています。

暑さ指数は、以下の数式で算出されます(単位は℃)。
屋外では、0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
屋内では、0.7×湿球温度+0.3×黒球温度

暑さ指数の目安
31℃以上  : 危険
28℃~31℃  : 厳重警戒
25℃~28℃  : 警戒
25℃未満  : 注意

自分で計算するのはかなり厄介ですが、幸い最近は、「暑さ指数」の温度計として、屋内はもちろん炎天下の屋外でも、そのときその場の暑さ指数を計測し、リスクが高いときはアラーム音と数値で知らせる黒球式熱中症指数計(熱中症アラーム)などが各種市販されています。

熱中症警戒アラートが発令されたら
熱中症予防行動を積極的にとる

「熱中症警戒アラート」が発令されたときにとるべき熱中症予防行動として、環境省と気象庁は、今夏は新型コロナウイルスの感染拡大防止のために提唱されている「新しい生活様式」を守りつつ、以下の行動を積極的にとるよう奨励しています。

  1. 身の回りの気温・湿度・暑さ指数を測定する
    (身近に専用の温度計がないときは、環境省や気象庁のホームページで確認する)
  2. 熱中症リスクの高い高齢者や子ども、障害者*が近くにいたら、3密(密集、密接、密閉)を避けつつ、アラートが出ていることを伝え、注意するよう積極的に声をかける
  3. 不要不急の外出はできるだけ避ける。
    エアコン等が設置されていない場所以外での運動や活動等は、原則中止するか延期とする(医師、看護師、一時救命処置資格保持者のいずれかを常駐させ、救護所の設置、および救急搬送体制の対策を講じた場合は例外とする)
  4. 先に環境省と厚生労働省が推奨している以下の「新しい生活様式」における熱中症予防行動を、普段以上に意識して実践する
    ⑴ 換気扇や窓開放により換気を確保しつつ、エアコンの温度設定をこまめに調整するとともに、涼しい服装にするなどして暑さを避ける
    ⑵ 屋外で人とフィジカルディスタンス(2m以上の身体的距離)を確保できている場合は適宜マスクを外す
    ⑶ のどの渇きを自覚する前に、こまめに水分を補給する。大量に汗をかいた場合は、適量の塩分を補給する(減塩中の高血圧患者は注意を
    ⑷ 日頃から体温測定など健康チェックを行い、体調に異変を感じた際は、無理をせずに自宅で静養する
    ⑸ 暑さが厳しくなる前から、適度な運動をして汗をかくなど、暑さに備えたからだづくりをしておく
*高齢者は温度や湿度に対する感覚が鈍くなるため、室内でも、また夜間でも熱中症になることがある。
小児は、体温調節機能が未発達なため、特に注意が必要。
地面が近いほど体幹温度は高くなるため、車いす利用者や身長の低い幼児などは体感温度がより高くなるため、特に注意が必要。