「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」がオンラインで再開されます




日常

小澤竹俊医師が
休止していた講座再開の報

改めて振り返ってみると、新型コロナウイルス感染症の集団発生で世界中の注目を集めたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」が横浜港に到着したのは、2月3日のことでした。

以来これまでの4か月余り、わが国だけでなく世界中が新型コロナウイルスに翻弄される日々が続いています。

日本に限って言えば、現時点ではなんとか小康状態を保っているといっていいでしょう。
しかしながら、東京都では連日のように、小規模とはいえ患者集団「クラスター」が発生している状況で、まだまだ油断はできません。

そろそろ新しい日常を踏み出したい

感染の第2波、第3波のリスクを念頭に置きつつも、そろそろ以前のような日常を取り戻したい気分になっているのはひとり私だけではないと思います。

もちろんそれは、感染リスクを踏まえた上での新しい日常ということですが――。

プロ野球も、無観客ながら本格的にスタートしたことだから、医療界もそろそろなどと考えていた矢先、なんとも嬉しい情報が届きました。

ホスピスマインドを広めようと情報発信を続けておられる在宅医の小澤竹俊医師(めぐみ在宅クリニック院長・神奈川県横浜市)が、「エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座」のオンラインでの再開を決定されたというのです。

WEB会議システムを導入し
動画とオンラインで講座を開講

小澤医師は、ホスピスに勤務された後、開院された在宅クリニックを拠点に、すでに四半世紀余りにわたり緩和ケアに取り組んでおられます。

この間には、2015(平成27)年4月に、志を同じくするお仲間と、
▪誰もが「生きてきてよかった」と思えるように
▪自分の人生に誇りをもてる最期を迎えられるように
をモットーに、「エンドオブライフ・ケア協会」を設立されています。

このケア協会の活動の柱として、病院や在宅で終末期医療に携わっている方々を対象に定期的に開催してきたのが、エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座です。

講座開設から5年目に入った今年、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2月中旬以降、対面での座学や演習のある本講座の開催を自粛してきました。

しかし、7月25日(土)26(日)より、WEB会議システムの「Zoom」*を導入し、動画とオンラインで学べる新しいプログラムにより再開することになった、との知らせ。

看護職の皆さんにはひときわ人気の高い講座と伺っています。
全国のあちらこちらで、「待ってました!!」の声が上がっているのではないでしょうか。

Zoomとは、パソコンやスマートフォン、あるいはモバイルを使い、セミナーやミーティングをオンラインで開催するために開発されたアプリのこと。
どんな端末の参加者も利用できるのがメリットとされている。

4時間のe-ラーニングと
2日間のオンライン講座

もともと本養成講座は、2日間のスケジュールで組まれていました。
今回のプログラムでは、オンラインの講座開始日までに、従来1日目に行われていた座学部分をe-ラーニング(4時間)で視聴し、基礎的な知識を学びます。

そのうえで、WEB会議システム「Zoom」を利用したオンライン講座にて、従来2日目に行われていた演習部分を、他の参加者とともに、土曜日と日曜日の2日間に分け、学習課題についてロールプレイや事例検討を行うことになります。

受講後は、それぞれの現場に戻り、そこでの実践を踏まえて、与えられた課題をレポートにまとめ、1年以内に提出します。

このレポートが要件を満たしていれば、本協会の「エンドオブライフ・ケア認定援助士」として認定を受けることができます。

人生の最終段階にある人にかかわる覚悟を

受講条件としては、医療や介護の知識は必要ないとのこと。
しかし、ロールプレイや事例検討では、受講者自身が人生の最終段階にある患者の役を演じることもあれば、その患者を援助する側に立つこともあります。

そのため、まずは「人生の最終段階を迎えた人とその家族の支援にあたる覚悟を必要とする」とのこと。
また、受講内容にグリーフケアが含まれるため、自身の深い悲しみが癒えていないような場合には、十分考えたうえで受講を決めるよう注意を促しています。

講座の申し込みや費用など詳しいことはエンドオブライフ・ケア協会のWEBサイトまで*¹。

死を前にした人に
私たちができることがある

本講座ではテキストとして、小澤医師による『死を前にした人に あなたは何ができますか?』(医学書院)を使用しています。

この本の「はじめに」のなかで小澤医師は、エンドオブライフ・ケアのエスプリ、つまり人生の最終段階を迎えた人とその家族の支援にあたるうえでの秘訣、あるいは覚悟とでも言うべきことを、次のように書き記しておられます。

死を前にした人に、私たちができることがあります!
それは、その人の顔の表情を大切にすることです。たとえ人は死を前にしても、穏やかな表情で過ごせる可能性があります。
穏やかだと思える理由は人によって異なるでしょう。
こちらの世界観で一方的に決めつけずに、1人の人間として、その人の生き方を尊重しながら、穏やかになれる条件を探してみましょう。
痛みが少ないこと、希望の場所で過ごせること、なるべく家族に迷惑をかけないこと、お風呂に入れること、故郷の話をすること……これらの条件を援助できるのは、一部の医療職だけではありません。
関わるすべての人ができることです。

引用元:小澤竹俊著『死を前にした人にあなたは何ができますか』

この本については、人生の終わりを迎えようとしている夫を在宅で介護して、そろそろ3年になろうかという時期にSOSを発信してき友人とのとてもいい思い出があります。

「長い沈黙が続くことが多くなり、どんな言葉をかけたらいいものか途方に暮れることがよくあるの。どうしたらいいかしら」

そんな相談を持ちかけられ、迷わずこの本を紹介したのです。
彼女は、この「はじめに」の部分を読んで、二人で初めてドライブをしたときの話をしてみようと思いついたそうです。

結果オーライ、でした。
二人で思い出話をしているうち、ご主人の表情が日に日に柔和になっていくのがわかったということです。
詳しくはこちらの記事で紹介していますので、よかったら読んでみてください。
→ 死を前にした人に看護師ができること

参考資料*¹:エンドオブライフ・ケア協会「エンドオブライフ・ケア援助者基礎講座」