新型コロナウイルス対策に伴うテイクアウト増で食中毒に注意を




テイクアウト

緊急事態宣言で増える
飲食店における持ち帰り

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国内における感染拡大防止に向け、期限を5月6日までとしてきた緊急事態宣言が5月31日まで延長されることになりました。

緊急事態宣言が発令されて以降、多くの飲食店が、外出自粛や営業時間の短縮等により客足が減り、大幅に減少した売り上げを少しでも埋め合わせようと、テイクアウト(持ち帰り)に力を入れるようになっています。

店頭に自家製の弁当や総菜を並べて販売するところもあれば、新たにデリバリー(宅配)サービスを始めた店もあります。
キッチンカーで住宅街に進出、あるいは通販で自家製品を販売する飲食店も増えています。

これまで専門店でしか味わうことができなかった料理を、テイクアウトやデリバリーにより自宅で楽しめると歓迎する声が多いのですが……。

直射日光が当たる店頭にテイクアウト商品が並べられている映像を目にするにつけ、気温や湿度の上昇により食中毒りリスクが高まっていくこの時期だけに、
「コロナの上に食中毒が出たら……」と心配になります。

食中毒の大量発生は
なんとしても避けたい

今や医療現場は、COVID-19患者の対応で手いっぱいの状況です。
そんななか、万が一にも食中毒が大量発生して患者が医療機関に押し寄せるようなことにでもなったら、医療従事者にさらなる負担を強いることになり、懸念されている医療崩壊といった深刻な事態につながりかねません。

また、食中毒に罹患してその病原菌(食中毒菌)が腸管に侵入し、腸管の免疫システムを狂わせ、ひいては免疫力の低下が引き起こされたりすると、新型コロナウイルスの感染リスクが高くなってしまいます。
結果として、COVID-19の患者が増加するといった事態が起こることが懸念されます。

それだけに、テイクアウトやデリバリーの調理済み食品が原因で食中毒が大量発生するような事態だけは、なんとしても避けなければなりません。

テイクアウト等の食品による
食中毒を防ぐポイント

ご存知のように、食中毒を防ぐポイントは、食中毒予防の3原則、つまり食中毒菌を
「つけない、増やさない、やっつける」を厳守することです。

この原則を、テイクアウトで自宅に持ち帰った、もしくはデリバリーで自宅に届けられた調理済み食品に当てはめると、食中毒を防ぐポイントは以下のように整理することができます*¹。

  • 持ち帰りや宅配等に適したメニューを選ぶ
    (鮮魚介類などの生ものは避ける)
  • 購入時に消費期限を必ず確認し、その期限を厳守する
    (賞味期限と間違わないように)
  • 食中毒菌の発育至適温度帯(約20℃~50℃)に調理済み食品を温時間を極力短くする
  • 食中毒菌は時間の経過とともに増殖することを念頭に、テイクアウトする際は食品を受け取ったら寄り道をしないで、まっすぐ帰宅する
    (その日の気象条件や帰宅時間が長くなる場合、また生鮮食品の鮮度保持に備え、保冷トートバッグ を携帯していればなお安心)
  • 冷蔵が必要な食品は、持ち帰ったら(届いたら)すぐに冷蔵庫(10℃以下)に保管する
  • 冷凍が必要な食品は、持ち帰ったら(届いたら)すぐに冷凍庫(-15℃以下)に保管する
  • 冷凍された調理済み食品の解凍は、腐敗しやすい自然解凍を避け、冷蔵庫によるゆっくり解凍や電子レンジによる急速解凍を選択する
  • 食べる前に石けんと流水で手洗いを行う
  • 一度開封した弁当や総菜パックなどは、開封したままの状態で室温に長時間放置しない
  • 温め直す必要があるときは指示通りに十分加熱する
  • 食品の状態や臭気、味などに少しでも異変を感じた際には食べずに破棄する
  • 食後に吐き気や嘔吐、下痢などの症状があれば、食中毒の兆候と判断して、直ちにかかりつけ医に電話もしくはオンラインで相談し、指示を受ける
    (このとき市販の下痢止めなどをむやみに服用しない)

「飲食店営業許可」を
取得していることが条件

食中毒を予防するには、食材を購入し、保存し、洗う、カットするなどの下準備を行い、調理するといったそれぞれの段階で、食中毒菌を「つけない、増やさない、やっつける」の食中毒予防の3原則を厳守することが重要です。

しかし、テイクアウトやデリバリーで手にする調理済みの食品は、この一連の作業における食中毒予防策を、購入先の飲食店に託していることになります。

私たちが通常利用するレストランや食堂といった飲食店の多くは、管轄する保健所の「飲食店営業許可」を取得して営業しているはずです。

この営業許可がない状態で飲食店を営業していて、保健所の衛生監視員の立ち入り検査などで許可を取得していないことが発覚すると、食品衛生法に基づく行政処分を受けることになります。

また、営業許可書は無期限に有効ではありません。
都道府県により多少の違いはありますが、食品衛生法には「5年を下らない有効期間」と定められており、5~8年が一般的なようです。

店舗の店頭で積み上げて
販売するのは衛生上NG

飲食店営業許可を取得するためには、各都道府県が制定している食品衛生条例で定められた要件を満たしていることが必要です。
そのなかには、「食品衛生管理者(調理師や栄養士の有資格者)を1名以上配置すること」といった要件があります。

この許可を得ていれば、通常店内で提供しているものを、いつもどおり店内で調理して、それを店頭で客に渡す、いわゆるテイクアウトのかたちで販売したり、デリバリーしたりすることは容認されています。

ただし、街中でよく見かける店頭の台に弁当類を積み上げて販売するスタイルは、「食品衛生法」上は、NGとのこと。テイクアウトする際は、衛生環境の整った店内で保管している弁当類を選ぶことをおすすめします。

また、テイクアウトしたものを食べる前に、購入して持ち帰った客自らが簡単に調理する必要があるものや、調理済みのものを店頭以外の場所で販売する場合には、新たな許可(食品製造営業許可など)が必要になるようです。

「飲食店営業許可証」は「食品衛生責任者の名札」とともに、2013年4月1日から、店舗内の誰もが一見できる場所に掲示することが義務づけられています。

テイクアウトやデリバリーで利用する際はもちろんですが、行きつけの店についても、衛生上安心して利用するために、この許可証と名札を一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

参考資料*¹:厚生労働省「家庭での食中毒予防」