PCR検査 鼻の入り口からの検体採取が可能に




コロナ検査

新型コロナPCR検査の
新しい検体採取法採用へ

9月25日、菅(すが)内閣誕生後としては初めての新型コロナウイルス感染症に関する専門家会議が開催されています。

この会議で厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の確定診断に必要なPCR検査の検体採取法として、鼻の奥深くから採取する鼻咽頭ぬぐい液ではなく、検査を受ける人(以下、「被験者」)が自分で鼻の入り口付近の粘膜から採取する新しい検体採取法を提案しました。

これを受けて専門家会議は、
⑴ 必ず医師の監修のもとに行うこと、
⑵ 微熱を含む発熱や咳など新型コロナウイルス感染症を疑う症状*があること
の2点を主な条件に、被験者が自分で鼻の入り口から検体を採取することを了承しました。

厚生労働省は、「医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称「薬機法」)」で定められている薬事承認の手続きが整い次第、これらの方針を全国に通知することにしています。

*新型コロナウイルス感染症の初期症状は、風邪やインフルエンザと類似していて見分けにくいが、咳、咽頭痛、息切れ、だるさといった風邪症状が1週間以上長引くときは、新型コロナウイルス感染症が疑われる、とされている。

PCR検査用検体採取時の
感染拡大リスクを低減

現在公費で行われている新型コロナウイルス感染症の確定診断に有用な検査としては、医師が被験者の鼻の奥の粘膜を長めの綿棒で拭って採取する、いわゆる鼻咽頭ぬぐい液を検体として、遺伝子などを調べるPCR検査を中心に認められています*。

しかしこの方法では、検体採取時に、被験者がくしゃみをしたり、咳き込んだりしたときに飛び出す飛沫の飛散により感染を広げるおそれがあることが指摘されています。

このため厚生労働省は、この飛沫飛散による感染拡大防止、とりわけ検体採取を行う医師等、医療従事者の感染リスクを低減する方法として、鼻の入り口付近から被験者自らが粘膜を拭って検体を採取する方法を提案したというわけです。

厚生労働省によれば、鼻の入り口付近での検体採取法については、鼻の奥深くから採取した鼻咽頭ぬぐい液を用いた場合とで検査結果を比べたところ、PCR検査では83%の割合で結果が一致しており、有用性が実証済みとのことです。

*新型コロナウイルス感染症の診断におけるPCR検査の検体については、
2020年6月2日より「有症状者で、発症から9日以内であれば」、また7月17日からは「無症状者についても」、唾液を検体として用いる方法について有用性が確認されていることから、医療保険適用のPCR検査法として認められている。

鼻の入り口での検体採取法は
症状がある人に限定

ただし、鼻の奥深くから採取した鼻咽頭ぬぐい液を検体とした場合に比べ、鼻の入り口付近の粘膜から採取した検体はウイルス量が少なく、
「検査の感度が若干下がる可能性が高い」ことがわかっています。

この点を重視した専門家会議は、新しい検体採取法の対象を、微熱を含む発熱や喉の痛み、咳など、新型コロナウイルス感染症を疑う症状がある人に限るとしています。
つまり、無症状者は対象外ということになります。

新型コロナウイルスについては、感染しても無症状のまま経過する人、いわゆる「無症候性感染者」が一定の割合でいることがわかっています。

その確かな割合はまだ正確にはわかっていませんが、国内でのこれまでの報告から換算して、およそ3~4割になるのではないかと推定されています。

このことから考えると、自らが鼻の入り口付近から採取した粘膜をPCR検査の検体として使える被験者は、そう多くはないものと思われます。

抗原検査陰性時に行われる
PCR検査は鼻咽頭ぬぐい液で

新型コロナウイルス感染症の確定診断に使用可能な検査法としては、PCR検査とは別に、15~30分ほどのごく短時間で結果が出ることで一般に人気の高い簡易検査キット(薬事承認済み)を使った抗原検査があります。

この抗原検査キットで陽性と出た場合は、直ちに確定診断となります。
患者となった被験者には入院措置、または無症状か症状があっても軽症であれば所定の宿泊施設あるいは自宅での療養を求めることになります。

一方で、検査キットによる抗原検査で陰性の被験者のうち、微熱を含む発熱や咳などの症状発症当日、およびウイルス量が低下する症状発症から10日目以降の場合は、確定診断のために追加検査としてPCR検査を行う必要があります。

この場合のPCR検査は、新たに承認された鼻の入り口付近から採取した検体ではなく、鼻の奥深くから採取した鼻咽頭ぬぐい液を検体として使う必要があるとされています。

この、鼻咽頭ぬぐい液によるPCR検査の結果が陽性となれば、新型コロナウイルスの確定診断となり、その重症度に応じて入院等の措置がとられることになります。