医療従事者ら310万人に新型コロナ慰労金




休憩

第2、第3波が想定される
新型コロナウイルス感染

新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言は7週間ぶりに全面解除となりました。
しかし、感染が完全に収束したわけではありません。

感染の第2、第3波が想定され、気を緩められない状況が続くなか、政府は5月27日、新型コロナウイルス感染症対策を大幅に拡充する第2次補正予算案を閣議決定しました。

総額31兆9114億円という、ちょっと想像を絶する額です。
このなかには、新型コロナウイルス感染症の患者対応にあたる医療従事者ら310万人に慰労金として支払われる予定の2921億円が含まれています。

また、医療現場から要望の声があがり続けている「サージカルマスク」「N95マスク」「ガウン」「フェイスシールド」「手袋」といった個人防護具(PPE)やウイルス検査に必要な検体採取キットなどの医療用物資を国が買い上げ、必要な医療機関等に優先配布、あるいは備蓄を行うための費用、4379億円が計上されています。

さらにはPCR検査や抗原検査の実施、抗体検査による感染の実態把握のための費用、ワクチンや治療薬開発費用、および消毒や発熱者の動線確保などの対策が求められる訪問看護ステーションや助産所、薬局等にも対策費用の実費を補助するための予算が組み込まれています。

日本看護協会等の
危険手当増額要請に応えて

先に日本看護協会(福井トシ子会長)は政府に対し、新型コロナウイルス感染症の患者対応に当たっている看護師等に、危険手当の大幅な増額、および自宅に帰れない場合のホテル等宿泊費の補助を求める、要望書を提出していました*¹。

新型コロナウイルスの感染者には、無症候性感染者(無症状の感染者)や、感染経路が明らかでない感染者が多く、現場で働く看護職は、自らが感染する、もしくは感染の媒介者になるかもしれない不安や恐怖を感じながら職務に当たっているのが現状です。

看護職に対する現行の危険手当については、地域や医療機関、および所属部署などにより異なるものの、「1日数百円しか出ない」など、不満の声が上がっていました。

また、医療機関で新型コロナウイルス感染症患者の対応に当たっている看護師のなかには、同居する家族への感染を避けるため、あるいは感染リスクを理由に「子どもの保育を拒否されるため自宅に帰れない」「タクシーから乗車拒否される」などの理由から、ホテル等に宿泊して通勤しているケースも少なくありません。

今回の「慰労金」は、このような苛酷な状況のなか、感染リスクと隣り合わせで職務を続けている看護師ら医療従事者の労をねぎらうとともに、予測される感染の第2波、第3波への万全な備えへの期待も込めて支給されるものと考えていいでしょう。

医師ら医療機関の職員に
1人当たり上限20万円の慰労金

厚生労働省のWEBサイトによれば、この慰労金給付は、新型コロナウイルス感染症の事態長期化、および次なる流行の波に対応すべく、都道府県が医療提供体制のさらなる整備などを推進するために取り組む新たな事業のなかの1つに位置づけられています*²。

この「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業」と呼ばれる事業の目的は、
「感染リスクと厳しい環境下で、相当程度心身に負担がかかるなか、強い使命感を持って、業務に従事している医療機関の医療従事者や職員に対し、慰労金を給付する」
と説明されています。

想定されている「慰労金」給付対象と給付額

給付の対象と給付額は、以下のパターンが想定されています。

【A 】重点医療機関*、帰国者・接触者外来設置医療機関、PCR検査センターなど、都道府県から役割を設定された医療機関の医療従事者や職員で、
⑴ 実際に新型コロナウイルス感染症の入院患者を受け入れた医療機関に勤務する医師らには、職種を問わず1人当たり20万円
⑵ 病床を確保し、受け入れ態勢を整えていたものの実際には新型コロナウイルス感染症の入院患者を受け入れなかった医療機関の医師らには、職種を問わず1人当たり10万円

*重点医療機関とは、新型コロナウイルス感染症で入院が必要な中等症以上の患者を重点的に受け入れる病院や専用病棟を設定する医療機関のこと。専門性の高い医療スタッフを集中的に確保していること、人工呼吸器などの医療設備が整備されていることなどが条件となる。

【B】A以外の病院、診療所、訪問看護ステーション、助産所に努める医療従事者や職員で、
⑶ 実際に新型コロナウイルス感染症の入院患者を受け入れた施設に勤務する医師らには、職種を問わず1人当たり20万円
⑷ 上記施設で入院患者は受け入れていないものの、外来や訪問で新型コロナウイルス感染症の患者に対応した施設に勤務する医師らには、職種を問わず1人当たり5万円

【C】介護・障害者福祉事務所の職員には、1人当たり5万~20万円

給付方法、給付の時期は予算成立後に

慰労金給付の対象となる医療従事者や職員には、対象期間(2020年4月以降)に一定期間以上勤務していることが条件となります。

この場合の具体的な期間や慰労金給付の方法、給付の時期については、予算成立後に厚生労働省が詳細を決めることになっており、早晩公表される見込みで、厚生労働省は、
「速やかに支給できるように努めたい」としています。

慰労金の給付については、国民一人当たり一律10万円が給付された「特別定額給付金」のように、対象者一人ひとりに給付されるものと考え、期待して待っている方が多いようです。

しかし、この慰労金は、都道府県に交付する緊急包括支援交付金の事業として支給されます。
そのため、現時点では、給付に必要な申請を都道府県が行い、給付を受けた都道府県が各医療機関に対して支給額を全額補助するというかたちで支給される可能性が高いようです。

これに対し日本看護協会の福井会長は、「職務として行っていることなので報酬のかたちで該当者1人ひとりに支給していただけるとありがたい」と要請しており、厚生労働省の遅滞なき、柔軟な回答が待たれるところです。

新型コロナウイルス感染症対策拡充のための第2次補正予算の成立を受け、厚生労働省は6月16日、当感染症の患者対応にあたる医療従事者や職員に1人最大20万円(非課税)を支給する慰労金給付の実施要項(概要)を発表しました。
それによると、対象は、勤務先の都道府県内で新型コロナウイルス感染症の患者が判明するか、緊急事態宣言の対象区域となってから、6月末までに10日以上勤務した職員。
支給方法は、医療機関ごとに対象者数を都道府県に届け出たうえで、7月17日までに厚労省が申請を取りまとめるという、医療機関による代理申請・受給方法とのこと。
詳細はこちらの記事を参照してください。
→ コロナ慰労金「10日以上勤務」が条件 申請・受給は医療機関が代行

待ちに待ったの感がありますが、厚生労働省は7月15日、慰労金の申請方法のマニュアルを発表しています。
→ 「新型コロナ慰労金」支給は最速で8月下旬に

なお、新型コロナウイルスに職業感染した場合の労災については、こちらの記事で!!
→ 新型コロナに職業感染した医療従事者に労災認定

参考資料*¹:日本看護協会「新型コロナウイルス感染症対応している看護職に対する危険手当の支給等について」
参考資料*²:令和2年度厚生労働省第二次補正予算案(参考資料)