国内初の新型コロナウイルスの国内感染確認で 厚労省がコールセンターを開設




血液検査

新型コロナウイルスに
日本人男性が国内で感染

中国の武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染拡大は、いっこうにブレーキがかからない状態のまま、1月29日未明の時点で、中国本土以外の感染者は17の国と地域で77人確認されています。

日本国内でも、28日の夕方には7人目の新型コロナウイルスの感染者が確認されたことが厚生労働省より発表されています。
国外はもとより、国内においても感染者が増え続けていることに改めて大きな脅威を感じます。

「国内で新たに感染者を確認」との報を耳にするたび、「ウイルスの拡散はいったいどこまで続くのだろうか」と強い不安に駆られます。

とりわけ深刻に受け止めたのは、6人目の感染者が、新型コロナウイルスによる肺炎の発生地、武漢市への渡航歴がない奈良県在住の60代の日本人男性だったことです。

人から人への二次感染により
新型コロナウイルスに感染?

厚生労働省の発表*¹によれば、この男性はバスの運転手で、今月8日から11日と、12日から16日の2回にわたり、武漢市からのツアー客を乗せて、大坂ー東京間を運転していたとのこと。

日本国内で、武漢市への渡航歴がない人の感染が確認されたのは初めてです。
また、日本人で新型コロナウイルスの感染が確認されたのも初めてのことです。

厚生労働省は、この男性が武漢市からのツアー客と接触があったこと、それもバスという換気状態のよくない空間で多くのツアー客と長時間一緒に過ごしていたことなどから、男性は人から人への二次感染によりウイルス感染を受けた可能性がきわめて高いと判断。

該当するバスツアー客を中心に、この男性との濃厚接触者*の把握を含む疫学調査を急ピッチで進めているそうです。

*濃厚接触者の定義が4月21日変更されている。 COVID-19の確定患者が発症した2日前から接触した者のうち、①その患者と同居、あるいは15分以上の接触(車内、航空機等内を含む)があった者、⓶適切な感染防護なしに患者を診察、看護もしくは介護した者、③患者の気道分泌物もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者、④手で触れる、または対面で会話することが可能な距離(目安として1m以内)で、必要な感染予防策なしで患者と15分以上の接触があった者、のことをいう。

手洗い等の感染予防策を徹底し
二次感染の段階で食い止める

新型コロナウイルスが人から人へ二次感染する可能性があることは、中国の衛生保健局もWHO(世界保健機関)も、早い段階から再三指摘し、注意を促していました。
実際ベトナムでも、人から人への感染が確認されています。

今回、人から人への感染が日本国内でも起きた可能性があることから考えると、この先、国内でも流行が起こる可能性も否定できないと認識する必要がありそうです。

しかし、とり得る感染予防策を徹底することにより二次感染の段階で止めることができれば、武漢市を中心に中国国内で起きているような大流行になることは、おそらく避けられるだろうと、多くの感染症専門家が話しています。

個人レベルでは、こまめな手洗い(同時に顔を洗うことをすすめる専門家もいます)や手指のアルコール消毒(ドアノブなど物の表面の消毒には次亜塩素酸ナトリウムの0.1%液が有効)、室内の換気(1時間に1回、1回10分程度)、人混みを避ける、さらには患者から出るウイルスを含む飛沫(ひまつ)による感染を予防するためのマスク着用を徹底するとともに、栄養バランスを考えた食事と十分な睡眠・休養をとることが肝要でしょう。

新型コロナウイルス感染症の感染対策としてのマスク着用につき、WHOは指針を修正し、咳エチケットの効用を認める見解を新たに明記。これを受け、米国CDCもマスクの着用を推奨。欧州各国も同じ動きを見せている。布製マスクにも言及しているこの指針を紹介する。

濃厚接触者になりうる医療従事者は
標準予防策の徹底を

一方、医療現場における予防策ですが、新型コロナウイルスの正体がわかっていないだけに、簡単ではないのが現実のようです。

新型コロナウイルスには、不顕性感染(ふけんせいかんせん)の問題があります。
つまり、ウイルスの感染を受けているのに発熱や呼吸器症状などが全く認められない、あるいは症状が出ているのにあまりに軽いために本人が感染を受けたことに気づいていない患者、無症候性感染者が少なからずいるということです。

また、正確な潜伏期間は未だ不明ながら、最長で14日程度と考えられており、その潜伏期間中に二次感染を起こしている患者がいることも確認されています。
このことが、新型コロナウイルスの感染が現状のように世界規模で拡散している原因の一つとも考えられています。

さらに、新型コロナウイルスの確定診断には、疑いのある人の喉や鼻の奥の粘膜や分泌物、喀痰、血液、尿などを検体として、核酸増幅法(PCR法など)によりウイルスの遺伝子自体を増やしてウイルスを検出するといった遺伝子レベルでの検査が行われます。
結果は数時間で出ることもあれば、場合によっては数日かかることもあるようです。

このように新コロナウイルスの感染者なのかということがはっきりしない患者が多いなかで、そうした患者と1メートル以内の近距離で15分以上接触するなどして、いわゆる濃厚接触者となる可能性が高い医療従事者には、標準予防策をとることが奨励されています。
その具体的方法は、こちらの記事に詳しく書いてありますので参考にしてください。

中国武漢市で多発している肺炎が新型のコロナウイルスに関連した肺炎であることがWHOで確認された。その数日後、日本で初めての感染者が確認された。死者も出ているだけに、パンデミックを恐れる声もあるが、感染力は低いとのこと。その院内感染対策指針を紹介する。

感染が疑われる人を対象に
厚労省が相談窓口を開設

新型コロナウイルスによる肺炎が感染症法に基づく「指定感染症」、および検疫法に基づく「検疫感染症」に指定されたことは、こちらの記事で紹介しました。

新型肺炎が「指定感染症」に 感染拡大防止に万全を 中国湖北省武漢市で発生し、世界的規模で感染が拡大している新型…

この指定に加え、国内で初めて日本人の感染者が確認されたことを受け、厚生労働省は1月28日、今後の感染拡大防止および国民の不安に応える対策として、感染が疑われる人を対象に電話で相談に応じる「コールセンター」を厚生労働省の中に設置することを決定しました。

コールセンターの番号は(2月7日よりフリーダイヤルに変更)0120-565653
土日も含め、午前9時から午後9時まで受け付けるとのこと。
また、聴覚障害のある方、電話での相談が難しい方の場合は、
FAX03-3595-2756でもOKとなっています。

相談の電話には、医師免許を持つ厚生労働省の職員、医系技官が中心になって対応するそうです。
28日午後6時から受付が開始されたコールセンターには、早速「感染者が自覚していたという発熱と関節痛が自分にもあるのだが……」とか「武漢への渡航経験はないが感染していないか心配だ」といった相談が相次いで寄せられているとのこと。

対応する職員は、相談内容に応じて、最寄りの保健所や医療機関で検査を受けてみること、その際は事前に連絡を入れて先方の指示に従うこと、あるいはこまめな手洗いやマスクの着用といった感染予防策の徹底を指導するなどの対応をとっているそうです。

なお、都道府県や市区町村レベルで、独自に新型コロナウイルス関連の相談を受け付ける電話相談窓口を設けています(https://www.kantei.go.jp/jp/pages/corona_news.html)。

まずは最寄りの窓口に、それでも納得できないときは厚生労働省のコールセンターへと、患者や住民に指導することで、コールセンターに相談が集中して対応が間に合わない、といった事態を防ぐことも大切ではないでしょうか。

参考資料*¹:新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について(6例目)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09153.html