子宮頸がんのワクチン接種、どうしていますか?




ママパス

普及しない子宮頸がんワクチン接種
健康被害への不安が原因

最近20代から30代の若い女性の間で急増している子宮頸がん――。
原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチン、通称「HPVワクチン」の定期接種は、現在70カ国で実施されています。

日本でも2010年から、12~16歳(小学6年~高校1年相当)の女子を主な対象に、国や市区町村からの公費助成(無料)により、半年に計3回の定期接種を受けられるようになっており、実際多くの女性が接種を受けています。

一方で、HPVワクチンを接種後に体調不良を訴える報告が相次いだことから、国は2013年6月、公費助成による定期接種という位置づけはそのままに、HPVワクチン接種の積極的な勧奨を差し控えるよう自治体に通知しています。

これにより、当初はおよそ70%あったワクチンの接種率が3%未満にまで落ち込んでいます。
しかし国は依然として、HPVワクチンの接種をすすめたいのかすすめたくないのか、煮え切らない態度をとり続けています。

そんななか厚生労働省は8月30日(2019年)、定期接種の対象年齢にある女子の保護者の約4割が、健康被害への不安をぬぐい切れないまま「ワクチンを接種させるかどうか決めかねている」とする調査結果を発表しています。

決めかねているうちに定期接種の時期を過ぎ、今に至っているという20代、30代の女性、あるいは「娘が対象年齢なんだけど……」と思い悩んでいる方も少なくないと思われます。

そこで、改めて子宮頸がんワクチン接種について調べてみました。

10代前半以降の未婚女性は
子宮頸がんワクチン接種を

厚生労働省によれば、国内では年間約1万人が子宮頸がんに罹患し、うち約3000人が亡くなっており、女性特有のがんとしては乳がんに次いで多くなっています。

近年は20代から40代前半、特に20、30代の女性の間で急増しており、HPVワクチン接種に対する国の方針に見直しを求める動きが出ています。

子宮頸がんは性交渉による感染が原因で罹患します。
そのため、HPVワクチンは性交渉を経験する前の段階、つまりHPVウイルスに感染していない10代前半に接種すると、より予防効果が期待できるとされています。

国が公費助成によるワクチン定期接種の対象を12~16歳としているのはこのためです。

もちろん定期接種の対象年齢に限らず、未婚で性交渉の経験がない成人女性の場合もHPV接種により子宮頸がんの予防効果は大きく期待できます。

ただ、今のところ公費助成の対象から外れますから自費(1回16,500円前後×3回)扱いとはなりますが、これまで一度もワクチン接種を受けたことがないという女性には、とりわけ接種の検討がすすめられます。

HPVワクチン未接種で性交渉経験のある成人女性も

一方で未婚、既婚に関係なく、HPVワクチンを接種したことがなく、すでに性交渉の経験があるという成人女性では、今さらワクチンを接種しても意味がないなどと考えがちでしょう。
しかし、必ずしもそうではないようです。

いわゆる「キャッチアップ接種」です。

効果が最も期待できるとされる10代前半の接種時期を逃したまま性交渉を経験し、そのため仮にHPVに感染していたとしても、改めてワクチンを接種すれば、現在感染中のHPVが自然治癒した後の、次の感染を予防することができるそうです。

厚労省がリーフレットで
HPVワクチン接種について説明

厚生労働省は、HPVワクチン接種に理解を求めようと、昨年(2018年)1月、HPVワクチンの「有効性」や副反応が疑われるワクチン接種後の「健康被害の症状」などを記したリーフレットの改訂版をホームページで公開しています。

そのなかで、「有効性」については、HPVワクチン接種により、日本では10万人当たり595~859人が子宮頸がんになるのを回避でき、144~209人が子宮頸がんによる死亡を回避できるとする推計値を紹介しています。

副反応として報告された健康被害の症状

一方で、HPVワクチン接種が原因とは確認されていないものの、接種後に起きたことから副反応として報告された「健康被害」は、2017年9月末までで10万人当り92.1人に起きていて、うち52.5人が医師らにより重篤と判断されたことも紹介されています。

HIVワクチン接種後に報告された健康被害として多いのは、広範囲にわたる筋肉や関節の痛み、手足の運動障害(動かしにくさ、あるいは不随意運動)などですが、ワクチン接種部位のかゆみや出血、不快感、さらには疲労感、頭痛、腹痛なども報告されています。

重症例としては、まれにですが、アナフラキシー症状(呼吸困難や蕁麻疹などを主症状とする重いアレルギー)、ギラン・バレー症候群(末梢神経障害により手足の力が入りにくい)、さらには短時間で回復した失神等が報告されているそうです。

10代の女子とその保護者に
HIVワクチンに関する啓発活動を

子宮頸がん予防のHIVワクチン接種をめぐっては、2009年にWHO(世界保健機関)が安全性と有効性を認めたことがプラスに働き、接種率が80%に迫る国も出てきています。

副反応の報告例も少なからずあるものの、概して各国で予防効果をあげていて、将来的には撲滅も期待できるとするレポートも出ているほどです。

しかし日本では、子宮頸がんという病気自体、いまだに認知度がきわめて低いのが実情です。

実際、厚生労働省の調査では、定期接種の対象である12~16歳の女子の8割以上が、HIVワクチンの認知度や理解度を促す啓発リーフレットを「一度も見たことがない」と回答しています。

接種させるか否かで困惑する保護者たち

加えて、彼女らの保護者には、「ワクチン接種を受けないことで子宮頸がんになってしまうことは怖いが、接種後の健康被害も心配」との声が多いとのこと。

困惑しているうちに定期接種年齢期間を過ぎてしまうというケースも少なくないようです。

こうした事態に厚生労働省は、
「ワクチンの接種対象者やその保護者に、正しい情報をより確実に届ける方法を検討する必要がある」としています。
看護職のみなさんにこそその役割が大きく期待されているのではないでしょうか。

なお、HPVワクチンの接種に関する情報提供のためのリーフレットは、厚生労働省のホームページ(コチラ)から、またHPVワクチンの副反応として報告された健康被害に関する調査結果はコチラからダウンロードできます。