看護師のキャリアを活かして公認心理師に

心理検査

公認心理師の資格を取得し
健康な人にもこころのケアを

5年ほど前の取材でなぜか意気投合し、以来時折りランチをご一緒してしている看護師のTさんから、いつになく真面目な顔で、こんな相談を持ちかけられました。

「この先は、これまでの看護師としてのキャリアを活かしつつ、患者だけでなく健康な人も対象にして、こころのケアといったことに力を入れていきたいと思う。そのために公認心理師の試験に挑戦してみようかと考えているのですが、どう思います?」

30代後半のT看護師はまだ独身ですが、人一倍の子ども好きです。

このところ繰り返し報道される実の父親や母親による幼子へのあまりに残酷な虐待事件に、人一倍こころを痛めているようです。

「両親、特にこれから母親になろうという女性たちに、子育て以前の、親になるための心構えのようなものを伝えることができたら……」
と、つねづね話しています。

公認心理師の資格取得と
看護師の実務経験

ですから、おそらくTさんは、その辺に関係する仕事に取り組もうと考えているのでしょう。

実は私にも、彼女ほど発展的ではありませんが、似たような思いがあります。

「あなたは母親になるこころの準備ができたようだからから親になってもいいですよ、といったパスポートみたいなものが、近々必要になってくるのではないかしら」
などと、冗談半分で話したこともあります。

公認心理師を目指したいという彼女の考えには大賛成です。

では、実際のところ、看護師として積み上げてきたキャリアは、公認心理師の資格取得や実際の仕事にどの程度役立つのでしょうか。

いい機会と思い調べてみましたので、こころのケアをもっと極めたいと、公認心理師に関心をお持ちの方にも役立てていただけるように、ポイントをまとめてみました。

看護師キャリア5年以上は
公認心理師試験受験に有利

公認心理師は、人のこころの動きやこころのありようを読みとることに精通した、日本初の国家資格としての心理専門職です。

臨床心理士などの心理職が、すでに広く活躍しているなかにあって、あえて国家資格の心理専門職を創設するに至った背景については、こちらの記事を読んでみてください。

人のこころを読み解くことではプロ中のプロと言える心理職の国家資格化により、「公認心理師」が誕生した。この先、さまざまな場面で看護と連携することが出てくるはず。相手の専門性をよく知ったうえで、患者の心の奥底にある問題解決に向け、いいチームプレーを期待したい。

2015年9月9日に成立した「公認心理師法」は、2017年9月15日に施行されています。

その後、2018年に行われた第1回公認心理師国家試験では2万8,574人、2019年の第2回試験では、試験問題自体かなり難問だったとの声もあり、合格したのは7,864人と少な目でしたが、すでに3万5,000人ほどが公認心理師として動き始めています。

T看護師が夢を実現するには、まずは年1回の公認心理師国家試験に合格しなくてはなりません。

その受験資格を得るには、「公認心理師法」第7条により、次の条件のいずれかに該当する必要があるとされています。

  1. 大学および大学院で心理学、臨床心理学、発達心理学、福祉心理学など「指定の科目」をそれぞれ履修し、卒業している
  2. 大学で心理学に関する「指定の科目」を履修し、卒業後、特定の施設(病院、診療所、保健所、精神保健福祉センター、学校、児童福祉施設、障碍者支援施設など)において既定の期間(2年間)以上、既定の実務を経験している
  3. 外国の大学・大学院で心理に関する「指定の科目」を履修し、卒業している
  4. 法律施行からの5年間(2022年まで)は特例措置として、大学や大学院で指定の科目を履修、修了していなくても、既定の実務経験が5年以上で、「現任者講習会」を修了すれば受験資格が認められる

特例措置を活用し
公認心理師国家試験に挑戦

Tさんは当初、放送大学などの社会人を受け入れている大学で「指定の科目」を学んだうえで、上記「2」のルートで国家試験を受講することを考えていたようです。

ところが、一緒にあれこれ調べていくなかで彼女の気持ちが変わり、ダメ元でいいからと、ルート「4」の特例措置を活用して、2020年6月頃に予定されている第3回国家試験に挑戦してみることに話がまとまりました。

そこで、まずファーストステップとして、彼女が看護師として積み上げてきたキャリアが「実務経験5年以上」の条件に当てはまるのかどうかを確認してみました。

心理に関する支援を週1回以上コンスタントに実践

厚生労働省の資料には、
「公認心理師法第2号から第3号に掲げられている行為*を業とし、常態として週1日以上勤務していれば実務経験となる」
とあり、彼女の場合は文句なくOKだろうということになりました。

*心理学の専門的知識および技術をもって、心理に関する支援を要する者の、
①心理状態を観察し、その結果を分析すること、
②その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと、
③その関係者に対し、相談に応じ、助言その他の援助を行うこと

そこで次のステップとして、「現任者講習会」を受講する必要があります。

公認心理師現任者講習会は、厚生労働省の委託を受けたさまざまな組織や団体が実施しています。そのリストは厚生労働省のホームページ*¹で確認することができます。

そこをチェックしてみたところ、現時点では2019年11月~2020年1月に開催される講習会のスケジュールしかなく、申込期限はすでに過ぎています。

「では、次のスケジュールが公表されるのを待ちましょう。その間に、職場の上司にこの件を話し、了解を得ておきます」ということで、その日は別れました。

その後の進捗状況は改めてご報告するつもりです。

その後、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2021(令和3)年度の講習会はオンラインで実施されることになっています。詳しくはコチラ*²。

参考資料*¹:厚生労働省「公認心理師」

参考資料*²:2021(令和3)年度公認心理師現任者講習会について