コンサルテーション・スキルをマスターする




対話

コンサルテーションを頼む側も
依頼を受ける側もスキルが必要

今回のタイトルの「コンサルテーション・スキル」という言葉に、自分はもっぱらコンサルテーションを頼む側だと思っている方は、「ああ、コンサルテーションの依頼を受ける立場にある専門看護師や認定看護師に向けた話なのね」となりがちではないでしょうか。
しかし今回書こうとしているのは、そういう話ではないことをまずお断りしておきます。

コンサルテーションを「相談」という日本語に置き換えて言えば、相談する側(コンサルティ)も相談される側(コンサルタント)にも、相応のスキルが必要だという話を、書いてみたいと思います。

実は、この話を取り上げようと思い立ったのは、がん看護専門看護師の友人とコンサルテーションについて話すなかで、一冊の本を紹介されたことがきっかけです。

その友人ですが、専門領域は違うのに、感染症専門医であると同時に日本ソムリエ協会認定のシニア・ワインエキスパートでもあり、専門書以外にも食と健康に関して一般向けの雑誌に多くの記事を書き、本も出されている岩田健太郎医師(神戸大学大学院医学研究科・教授)の「隠れ大ファン」を自称しています。

岩田健太郎医師については、すでにこのブログでも、こちらの記事で書かせていただいていますので、「ああ、あのちょっとユニークな医師ね」と、了解していただける方も少なくないと思うのですが、いかがでしょう。

抗菌薬には薬剤耐性菌の問題があり、国際的な脅威となっている。国は先に「薬剤耐性対策アクションプラン」を打ち出し、「抗菌薬適正使用支援チーム」を新設するなど対策強化を図っている。もはや無関心でいられない抗菌薬について理解を深める一冊を紹介する。

コンサルテーションは
相談すればいいというものではない

さて、友人が紹介してくれたのは、この岩田健太郎医師が10年近く前に出された『コンサルテーション・スキル 他科医師支援とチーム医療 』(南江堂)という著書です。

感染症専門医として他の診療科医師からのコンサルテーションをどう受けるべきか、逆に他科の医師にコンサルテーションを依頼するときはどうすべきか、といった視点から書き綴られた雑誌連載記事を一冊にまとめたものです。
彼女から期間限定で借りて、ざっとながら一通り読んでみました。

コンサルテーションは、「ただ相談すればいい」「自分の専門知識や技術を使って相談に乗っていればいい」というものではない――。
それなりの相談の仕方、それなりの相談の受け方があるはずで、そこにはスキルが必要である、といった話がご自分の体験を通して書かれています。

本のタイトルからイメージする、いわゆるハウツー色の濃いスキル本とは趣の異なるかたちでまとめられていて、エッセイを読んでいるような気分で読み進めることができます。

書かれている内容は、言うまでもなく医師向けです。
しかし、医師に限らずコンサルテーション、つまり相談し、相談を受ける、あるいは質問をし、質問に答える、といったことを日々の臨床で、さまざまな立場の人を相手に続けている看護師さんにも大いに役立つ内容となっています。

コンサルテーション・スキルは
コミュニケーションのスキル

本書の少し長めに書かれた「序文」のなかで岩田医師は、「コンサルテーションにはスキルが必要である」と断言しています。

そのうえで、このコンサルテーション・スキルは、一見しただけでは医療に必要なスキルなのかどうか明白ではないものの、活用すると大いに役に立ち、きっと医師としてのレベルアップにつながる「隠れたスキル」であるとしたうえで、次のように続けています。

コンサルテーション・スキルは、おおざっぱに言うとコミュニケーションのスキルです。人間関係をさらに豊かにするスキルです。
それでいて、単なる「人当たりのよさ」だけを目的にしたスキルではありません。
―― 中略 ――
単に「ナイスな人」としてふるまう技術ではなく、あなたの目指すゴールに確実に向かうよう根回しする、戦略的なスキルです。
医療環境をよりエキサイティングなものにし、お互いのレベルアップに役立ち、病院が退屈なルーチンワークの場ではなく、毎日ときめくような新しい知的環境になることを目論んだ、勇気を与えるスキルです。
困っている医師や困難に立ち向かっている医師に救いをもたらす、安寧を提供するスキルです。

(引用元:岩田健太郎著『コンサルテーション・スキル』「序文」)

どうしてこんな基本的なことで
コンサルテーションの依頼を?

そもそも友人が、岩田医師のこの本を私に紹介してくれるきっかけとなったのは、ある認定看護師さんから聞かされたコンサルテーションに関する、いわば愚痴のような話でした。

その愚痴とは、「どうしてこんな基本的なことで私にコンサルテーションを依頼してくるのかしら、と思うような話が多くて……」というものでした。
なんであれ聞けばいいというものではないでしょう、というのが彼女の言い分だったのです。

私がこの話をすると、がん看護専門看護師として、やはりコンサルテーションの依頼を受けることが多いという友人は、「確かに、数はさほど多いとは思わないけれど、そんなふうに思わせられることはあるわね」とひとまず賛同してくれました。

自分には当然のことが当然と了解できない人がいる

が、少しの間の後、彼女から返ってきたのは「でもね、自分の専門分野のことだからわかって当然と思うことも、専門分野が違っていたり、まだキャリアの短い看護師にとっては当然のこととは思えない難問だったりすることもままあるわけで、だからコンサルテーションということが成り立つのではないかしら」というひとことでした。

そして、コンサルテーションというからには、相談する側にもそれを受ける側にも相応のスキルが必要だろう、という話になり、岩田医師の本へと話が進んでいったのですが……。
さてみなさんは、どうお考えでしょうか。

日々の看護に行きづまって、あるいは職場の人間関係に悩み、専門看護師による看護コンサルテーションを受けたいと思う。でも、上司に筒抜けになるのは困るからと、躊躇している方のために、その辺の懸念をクリアしてみました。