看護師のつらい腰痛緩和に3つの提案




腰痛の原因究明

腰痛を抱えつつ
看護を続けているあなたへ

腰痛は看護職の職業病といわれます。
その実態については、これまでにいくつかの調査が行われ、いずれの調査でも、腰痛に悩まされている看護職は全体の5~7割という結果になっています。

これを踏まえ、厚生労働省や日本看護協会のリードのもとに、各職場ではさまざまな腰痛予防策が講じられていることと思います。

しかし、それでも腰痛はゼロにはなっていないようです。
腰につらい痛みを抱えていながらも、「患者さんがいる以上は私だけ休めない」と、無理をして仕事に就いている看護師さんも少なくないことでしょう。

そんなあなたの高い職業意識に敬意を払いつつ、でも、やはりできれば痛みから解放されてほしい。解放とまでいかないまでも、少しでも痛みが和らいで、明るい気持ち、明るい笑顔で患者に向き合っていただきたい――
そんな思いから、個人レベルでの腰痛緩和策を3点に絞ってまとめてみました。

提案1
原因疾患がないことを確認する

腰痛を抱える看護師さんのなかには、「この仕事だからある程度の腰痛は、あっても仕方がないだろう」など、半ば諦め、受け入れてしまっている方もいるのではないでしょうか。

確かに看護という仕事は、体位変換や中腰でのケアや処置、車椅子への移乗介助といった腰の関節や筋肉に過度の負担がかかる姿勢や動作の多い仕事です。

しかも、看護という仕事に多いもろもろのストレスも腰痛を悪化させる原因とされています。
交代制勤務で不規則な生活になりがちなことも影響しているようです。

とはいえ、これは改めていうまでもないでしょうが、腰痛を引き起こす原因は多々あります。原因疾患を特定できる腰痛は全体の15%ほどだそうですが、そのなかには椎間板ヘルニアや腰部脊柱狭窄症のような、治療を必要とするものもあります。

また、腰痛全体の1%にみたないといわれるものの、胃潰瘍や腎結石、場合によっては循環器系疾患のような内臓疾患が原因の場合もあります。
特に女性では、子宮筋腫など婦人科系の疾患が腰痛を引き起こしていることも考えられます。

原因疾患のなかには放置すれば危険なものもあります。
腰痛が続くようであれば、まずは一度医師の診察を受け、腰痛の原因疾患がないことを確認してから、セルフケアに取り組むことをお勧めします。

なお、多忙のため、あるいは勤務先の外来受診に抵抗があるなどの理由から医師の診察を受けることを躊躇しておられる方もおられるでしょう。
そのような方は、遺伝子検査キットを使って唾液あるいは口腔粘膜を送るだけで腰痛リスクをセルフチェックできる郵送検診を活用する手もあります。
その結果を見たうえで受診するかどうかを決めるのもいいかと思います。

提案2
腰痛を和らげるセルフケアの実践を

腰痛は、看護職のみならず多くの業種に共通してみられる健康課題です。
そのため、インターネット上ではさまざまな腰痛予防策、緩和策が紹介されています。
腰痛対策をうたった書籍も数多く出回っています。

厚生労働省も、「職場における腰痛予防対策指針」*¹を2013年に公表しています。
これは、各職場の健康・安全管理者向けに出されたものですが、その解説編には、個人レベルでの対策を考えるヒントが数多く盛り込まれています。
特に、医療・福祉分野にしぼって対策をまとめた項は、参考になると思います。

これらを参考に看護の作業特性を踏まえてまとめると、看護職の腰痛緩和に向けたセルフケアは、次の4点になるかと思います。

1.      勤務中看護師の1日平均歩数が1万歩前後と、軽いウォーキングに匹敵することを考え、仕事中の靴は、足のサイズに合って歩きやすく、そのうえ床面から腰椎等への衝撃が少ないものを選ぶ(病院から支給される靴が万全とは言えない)

2.     腰部保護ベルトの効果には個人差があることを踏まえて着用を検討する。迷ったときは整形外科医や理学療法士などに相談するといい

3.    勤務開始時や休憩時などに軽いストレッチ、いわゆる腰痛予防体操を行って、腰部周辺の筋肉の疲労回復、柔軟性の確保に努める

4.  腰痛には、仕事上のストレスや疲労感、人間関係なども影響することが指摘されている。その心理・社会的影響についても考えてみる

「3」については、厚生労働省が推奨する「腰痛予防指針」をこちらの記事で紹介しています。是非参考にしてみてください。

看護師の職業病ともいわれる腰痛については、厚生労働省が腰痛予防対策指針をまとめている。そのなかでは介護・看護スタッフが個人レベルで取り組む予防策として、動的ではなく静的ストレッチングを奨励。その効果的な方法についても紹介している。

提案3
楽しみながらからだを動かす時間を

腰に痛みがあると、勤務中はなんとか頑張って動いていても、勤務から離れるとからだを動かさず安静にしていることが多いのではないでしょうか。

痛みにとらわれすぎて過度に安静にしてからだを動かさずにいると、廃用症候群(はいようしょうこうぐん)のメカニズムにより、活動性が低下して腰椎を中心とする脊椎や周りの筋肉がますます硬直化してしまいます。

その硬直化したままの状態で再度動こうとすると、かえって痛みが強くなってしまうことは、看護師のあなたならよくおわかりだろうと思います。

仕事から解放されたからといってそのまま横になって休むのではなく、からだを動かすことが大切なようです。
それも、何か自分が夢中になり、楽しみながらできることでからだを動かす……。

たとえば1日5分寝転ぶだけで腰痛・腰のコリがスッキリ揉まれる指圧クッションドリーム 揉まれる腰楽スリムクッション等を活用するのもいいでしょう。

痛みの悪循環を断ち切る

実際、たまたま見た「名医も認める奇跡の回復法」というテレビ番組*でその実例が紹介されていました。時に立ち上がれなくなるほどのしつこい腰痛に悩まされていた男性が、犬を飼い始め、その世話に夢中になっているうちに、いつの間にか腰痛が改善し生活に支障がなくなったというのです。*「名医も認める奇跡の回復法」たけしの健康エンターテイメント! みんなの家庭の医学/ 2016年8月16日放送/テレビ朝日

その回復ぶりを、東京慈恵会医科大学付属病院の北原雅樹医師(ペインクリニック・診療部長)は、「楽しいことに夢中になっていると、脳の意識がその楽しいことに集中するため、それまで脳を支配していた痛みが忘れ去られていく」ためだと、解説していました。

長引く腰痛に「腰が痛いから何もできない」⇒「何もせずにじっとしているからストレスがたまり、からだもこころもますます硬直化する」⇒「腰痛が悪化する」という悪循環を断ち切る効果が、「楽しいことに夢中になってからだを動かす」ことにあるのだそうです。

腰痛が慢性化してくると、「腰痛があるから仕事に集中できない」など、すべてを腰痛のせいにしてネガティブ思考に走りがち。このような受け止め方や考え方の癖を治すのが認知行動療法だ。自己学習用のワークブックもあり簡単にできるから、専門家に相談を。

もちろん治療を必要とするような原因疾患がないことが前提ですが、腰痛があることを理由に過度に安静にしているのではなく、夢中になってからだを動かすようなことを見つけて実践してみてはいかがでしょう。

また、これはもうやっておられる看護師さんは多いと思いますが、1日の締めくくりにバスタイムでリラックスすることも腰痛緩和につながるはずです。

その際は、重炭酸イオンを成分にした薬用 Hot Tab を入れた湯船にゆったり入って血流をアップすると、腰痛緩和により効果的です。

参考資料*¹:厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034et4-att/2r98520000034pjn_1.pdf