看護師の慢性腰痛を就寝前の入浴で改善!




入浴で腰痛緩和

日本古来の湯治健康法を
慢性腰痛対策に活用する

私たち日本人には古くから、就寝前にたっぷりのお湯につかって1日の疲れをとる習慣があります。最近の入浴スタイルとしては、20代を中心に、シャワーを浴びるだけですましてしまう人も増えているようです。しかし、まだまだ多数派は湯船にゆっくりつかる入浴を好む人たちのようですが、あなたはどちらでしょうか。

入浴の効用は、からだの汚れを取り除いて清潔を保つことだけではありません。
「湯治(とうじ)」という言葉があるように、浴槽(バスタブ)に入りたっぷりのお湯につかる「浴槽浴」は、からだを温めることによる温熱作用が血液やリンパの循環を促すなど、心身にさまざまなプラスの影響をもたらしてくれます。

湯治のような、お風呂好きの日本人に伝統的な健康法は、現在では温泉浴としてリハビリテーションなどにも積極的に使われるようになっています。
慢性腰痛緩和のためのセルフケアの一環として、これを生かさない手はないでしょう。

炎症症状が疑われるような
急性期の腰痛は対象外

看護師のあなたは、ケア方法の1つとして、温罨法と冷罨法の選択基準、使い分けについて学んでおられるはずです。疾患の急性期で炎症症状や刺激症状が強いときは温罨法は避けて、むしろ冷罨法を行って炎症の鎮静を図り、急性期を過ぎて炎症や刺激症状が緩和しはじめたら温罨法を行う、というあのルールです。

腰痛の緩和を目的とする浴槽浴にも、このルールはそのまま当てはまります。
腰痛が始まったばかりの急性期で炎症症状が疑われるときや、慢性化していた腰痛が炎症をぶり返して痛みが急に激しくなったようなときは、湯船にゆっくりつかるような入浴は、むしろ炎症を悪化させて痛みを強めるリスクがありますから、禁忌です。

腰痛そのものに異変は見当たらないものの体調が思わしくないようなときも、時間をかけての温浴は避けた方がいいでしょう。

慢性腰痛の緩和には、
ぬるめのお湯での半身浴を

湯船につかる入浴には「温熱」「水圧」「浮力」の3つの作用があると考えられています。
これら3つの作用を最も強く受けるのは、体温より少し高めの、40℃程度のお湯に肩までつかる「全身浴」です。

10分程度の全身浴は、短時間でからだを温めることができ、筋肉疲労やストレスによる脳の疲れを和らげる効果が期待できるといわれています。

慢性腰痛の緩和には、温熱作用に加えて穏やかな水圧作用と浮力作用が期待できる「半身浴」が理想的です。代謝効率が高まることによるダイエット効果を期待して、若い女性を中心に静かなブームとなっている、あの半身浴です。

半身浴の方法としては、40℃以下の、少しぬるめのお湯にみぞおちあたりまでどっぷりつかり、額からじわじわと汗が出始めるまでの2030分ほどを、腰に負担のかからない程度に背筋を伸ばした姿勢で過ごします。

この間、湯船のなかで、腰を左右にゆっくりひねったり、背筋を大きく伸ばしたり、あるいは足先から太ももに向けて筋肉を軽くマッサージするなどして、血行を促す運動を付け加えると腰痛緩和により効果的です。

湯船につかるだけでも
腰痛緩和効果は期待できる

日本人の平均的な入浴時間は、浴槽から出てからだを洗ったり洗髪したりする時間も含めて、概ね2030分だとされています。
ただ、交代制勤務の看護師さんの入浴時間はどうでしょう。平均するともっと少ないでしょうから、毎日2030分の半身浴というのは、あまり現実的でないようにも思われます。

そこで、勤務スケジュールに合わせて、週に2、3回は半身浴を行い、残りの日は短時間でもからだを温めることができる全身浴を行うという方法がリーズナブルではないかと思います。

「腰痛があるから毎日半身浴をしないと……」などと決め込んでしまうと、そうできないことがかえってストレスになってしまいます。

このようなネガティブ思考は、認知行動療法を紹介する記事でも触れたように、腰痛緩和にはいい影響をもたらしません。「湯船につかるだけでもそれなりの効果はある」とポジティブな考えに切り替えるようにしましょう。

腰痛が慢性化してくると、「腰痛があるから仕事に集中できない」など、すべてを腰痛のせいにしてネガティブ思考に走りがち。このような受け止め方や考え方の癖を治すのが認知行動療法だ。自己学習用のワークブックもあり簡単にできるから、専門家に相談を。

なお、最近は、ミニ風呂バンスのようなICによる温度コントロールで湯沸かしと適温での保温が簡単にできる電気バスヒーターもあります。
これを活用すれば、夜勤明けなどでも簡単に入浴準備をしてお湯につかり、腰の疲れをとることができますから、活用してみてはいかがでしょうか。

ストレスの多いときは
入浴剤でリラックス効果をアップ

私たちが暮らすこの国は、5月5日の端午の節句(現在は「こどもの日」)には菖蒲湯(しょうぶゆ)に入り、冬至(日照時間が最も短くなる日、2016年は1221日)にはゆず湯に入るなど、四季折々に薬湯を楽しみ、血行を促進して自然治癒力を高めるということを、文化としてずっとやってきています。

その流れを受けて最近では、西洋の薬草であるハーブやアロマ(ハイパープランツ DRアロマバス リラクゼーション)、あるいは各地の温泉の成分や漢方薬などを組み入れたさまざまなタイプの入浴剤が市販されています。

その効能のなかには、 薬用ホットタブ のように、炭酸ガスの血管拡張作用を生かして温熱作用を高めるタイプのものもあります。お湯にこのタブレットを入れると炭酸ガスが発生し、その炭酸ガスが血管の筋肉に直接働きかけて血管を拡張させ、血行を促進することで温熱効果が高まるというメカニズムです。

自分好みのものを選んで毎日の入浴に活用してみてはいかがでしょう。
また、休暇がとれたときは、身近にある温泉に行ってみるのもいいと思います。