コロナワクチン 国内使用に向け初の承認申請




ワクチン接種

ファイザーのコロナワクチン
厚生労働省に承認申請

米国の製薬会社ファイザーは、開発した新型コロナウイルスワクチンの日本国内使用に向け、12月18日、厚生労働省に承認を求める薬事申請を行ったことを公表しています。

感染拡大が収まる気配のないなか、待ち望まれる新型コロナウイルスのワクチンをめぐり、国内初の承認申請が行われるのは、明るいニュースと言っていいでしょう。

申請を受けた厚生労働省は、有効性と安全性を慎重に審査する方針で、このワクチンが「特例承認」の対象となれば、来年2月にも承認するかどうか結論が出る見込み。
承認されれば、早速3月にも接種が始まる可能性があります。

このワクチンは、ファイザー社と独国の企業、ビオンテックが共同で開発したものです。
英国と米国ではすでに使用が認められ、今月(12月)から高齢者や医療従事者への接種が始まっていることは報道等でご承知のことと思います。

日本政府はこのワクチン1憶2000万回分の供給を受けることで基本合意済みです。
接種は1人当たり2回なので、6000万人分に相当します。

審査簡略化の特例承認により
来年3月にもワクチン接種へ

わが国では、新規医薬品の申請から承認までの審査手続きは、通常は1年以上かかります。

今回申請を受けたワクチンについては、一定の条件下で国内審査の手続きを簡略化できることを定めた薬機法(正式には「医薬品医療機器等法」。旧薬事法)にある「特例制度」が適用される見込みで、大幅に簡略化された手順に沿って審査が進められ、特例承認される予定です。

薬機法の「特例制度」とは、
⑴ 疾病の蔓延(まんえん)防止のために緊急の使用が必要であること
⑵ 当該医薬品の使用以外に適切な方法がない(代わりの医薬品がない)こと
⑶ 米国や英国など、日本と同水準の承認制度採用の国で販売等がすでに認められている
の3条件を満たす医薬品について、臨床試験以外のデータについては承認後の提出でも認めるとする制度です。

この制度が初めて適用されたのは、2010年1月で、新型インフルエンザの輸入ワクチン2種類が申請からおよそ3か月で承認されています。

2020年5月7日には、新型コロナウイルス感染症の治療薬として、米国の製薬会社が開発した抗ウイルス薬「レムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注液)」が、申請の3日後という異例のスピードで特例承認され、重症者の治療に使用されています。

ワクチンの有効性は
高齢者で94%

ファイザー社のワクチンについては、日本国内において、投与後の免疫反応や安全性を確認する初期段階の臨床試験をすでに始めていて、来年2月末までには最終段階の臨床試験を終了してデータをまとめる計画で進んでいます。

厚生労働省は、この臨床試験のデータを踏まえ、
⑴ 感染を防ぐ効果はどうか
⑵ 重症化を防ぐ効果はどうか
⑶ 重症化リスクの高い人への効果はどうか
⑷ ワクチン効果の持続期間
⑸ 安全性
などを中心に審査し、早ければ2月中にも承認するかどうかの結論を出す見通しです。

ファイザー社は、数万人規模を対象にした最終段階の臨床試験で、新型コロナウイルスの予防効果、つまり⑴の感染を防ぐ効果が95%であったと報告しています。

ワクチンを最も必要としているのは、免疫力が低下しているために、新型コロナウイルス感染症を発症すると重症化しやすい、つまり⑶の重症化リスクの高い人です。

ファイザー社は、重症化リスクが高いとされる65歳以上の人においても、感染防止に94%の有効率が得られたと報告しています。

倦怠感等の副反応はあるが
重大な安全性の懸念はない

最も気になるのは⑸の安全性、つまり副反応(副作用)の危険性です。

ファイザー社の報告では、最終段階の臨床試験(第3相試験)では、ワクチン接種後に、
接種部位の痛みが出ることに加え、
⑴ 倦怠感が16歳から55歳までの59%、56歳以上では51%、
⑵ 頭痛が16歳から55歳までの52%、56歳以上では39%、
に見られたものの、多くはすぐに症状が治まったそうです。

比較的重い副反応としては、倦怠感(3.8%)と長引く頭痛(2.0%)があったものの、
「重大な安全性の懸念は報告されなかった」としています。

アレルギーの経験がある人は接種しない

ただ、ニュース報道によれば、英国でワクチン接種を受けた2人、米国では5人に、アナフラキシーショックのような激しいアレルギー反応が出て治療を受けているとのこと。

このうち英国の2人については、過去にアレルギー反応が出た既往があったことがわかっています(その他の人のアレルギー既往は不明)。

これを受け英国の規制当局もアメリカのCDC(疾病対策センター)も、過去に食べ物や医薬品、ワクチンでアレルギー反応が出た経験がある人は接種を控えるよう勧告しています。

ワクチン接種によるアレルギー反応についてわが国では、接種前に行われる問診にて、既往の有無をチェックし、その結果によっては接種をやめたり、より注意深く接種するなどの対応がとられている。

コロナ対応の医療従事者は
優先的にワクチン接種を

ファイザー社のワクチンが承認、実用化された場合のワクチン接種の対象者や接種順位については、9月25日、「新型コロナウイルス感染症対策分科会」が、
「新型コロナウイルス感染症患者に直接医療を提供する施設の医療従事者や、高齢者および基礎疾患を有する者を接種順位の上位に位置づけて接種する」
との方針をまとめています。

12月23日に開催された政府の分科会で、コロナワクチン接種の優先順位を、①医療従事者、②65歳以上の高齢者、③基礎疾患のある人&高齢者施設の従事者とする方針がまとめられた。

また、これは新型コロナウイルスワクチンに限ったことではありませんが、ワクチン接種は強制的に行われるものではなく、接種に際しては、
「しっかり情報提供を行ったうえで、接種を受ける方の同意がある場合に限り接種を行う」
と決められています。

ワクチン接種による健康被害の救済制度

ワクチン接種後の副反応は、極めてまれではあるものの、不可逆的に起こり得るものです。
そこで国により、副反応が起きた場合に備え、健康被害救済制度が設けられています。

ワクチン接種と健康被害との因果関係が認定された場合は、この制度により(申請手続きが必要)市町村による給付が受けられるようになっています。
詳細は、「ご存知ですか? 予防接種後健康被害救済制度」のリーフレット*¹が参考になります。

参考資料*¹:「ご存知ですか? 予防接種後健康被害救済制度