降圧薬の服薬指導で忘れずに伝えたいこと




グレープフルーツ

ある種の降圧薬と相性の悪い
グレープフルーツジュース

薬と飲み物や食べ物には相性の悪い組み合わせがあることはよく知られています。
なかでも高血圧の患者に処方されることの多い降圧薬のなかには、柑橘系の果物、とりわけグレープフルーツジュースと相性が悪く、同時に摂取すると薬が必要以上に効きすぎてしまう場合があることをご存知でしょうか。

グレープフルーツの果肉部分に含まれている成分により、降圧薬の働きが増強されて血圧が下がりすぎてしまい、頭痛やめまいなどの症状が現れるようになるのです。
グレープフルーツジュースによる同様の影響は、高血圧の方に多く見られる高脂血症の治療薬やある種の鎮静薬などでも現れやすいことがわかっています。

患者に対する服薬指導は、最近では薬剤師が、外来の薬剤窓口のみならず病棟においても、あるいは調剤薬局などでも「お薬手帳」を活用して集中的に行うようになっています。
そのため服薬指導が看護師さんの手から離れがちになる傾向にあるようです。

しかし、適正な薬物治療が安全かつ効果的に行われるためには、主治医から薬が処方される場に直接立ち合うことの多い看護師さんから患者に直に伝えていただきたいことが少なくありません。
その一例として今回は、服用時グレープフルーツジュースを避けるべき薬について書いてみたいと思います。

一部のカルシウム拮抗薬と
グレープフルーツジュース

ご承知のように降圧薬にはいくつかの種類があります。
そのなかで、グレープフルーツジュースと相性が悪いのは、カルシウム拮抗薬です。

カルシウム拮抗薬は、血管の筋肉(平滑筋)に対するカルシウムの働きを抑えることにより血管を拡張させ、血圧を下げる効果があります。
この働きが心臓の血管(冠動脈)に作用すると心臓への血流量が増えることから、狭心症の発作を予防する目的でも使用されます。

ところが、グレープフルーツの果肉部分や果肉と外側の皮の間の白い部分には、フラノクマリンと呼ばれる成分が含まれています。
この成分には、体内におけるカルシウム拮抗薬の代謝や分解、排泄に深くかかわっている酵素の働きを弱めてしまう作用があることがわかっています。

結果として、薬の血中濃度を高めてしまいますから血圧が下がりすぎて、頭痛やめまいがしたり、胸がドキドキする,ふらふらするなどの症状が現れることになります。

ただし、カルシウム拮抗薬のすべてがグレープフルーツジュースと相性が悪く、降圧効果が出すぎるというわけではありません。
グレープフルーツジュースと一緒に服用するのを避けるべきカルシウム拮抗薬は、カルブロック錠やアダラート錠、コニール錠、ノルバスクOD錠などです。

グレープフルーツジュースの影響は
人によっては3~4日に及ぶことも

同じカルシウム拮抗薬でもグレープフルーツジュースとの相互作用の現れ方には、大きな個人差があることがわかっています。
一般に、その影響が及ぶのはグレープフルーツジュース摂取後の24時間程度と考えられていますが、人によって、あるいはその時々の体調次第で3~4日続くこともあると言われています。

また、グレープフルーツジュースの影響は、一部のカルシウム拮抗薬以外にも、リピトール錠のような高脂血症薬やトリアゾラム錠などの催眠鎮静薬、また免疫抑制剤のネオラールカプセルなどにも及ぶことが指摘されています。

これらの薬の処方を受けた患者には、薬はコップ一杯の水かぬるめの白湯で服用するという基本を守ることを確認しておきたいものです。
その際、上記に該当する薬を服用している間はグレープフルーツジュースを飲むのは避けるように話すと同時に、グレープフルーツの果実そのものやジュースだけでなく、ジャムやママレードといったグレープフルーツの加工食品も控えるよう伝えることもお忘れなく。

同じ柑橘系果物でも
影響のあるものとないものがある

グレープフルーツは、他の柑橘類に比べてビタミンCの含有量が多い果物として人気が高く、習慣的に食べたり、ジュースにして飲んだりしている方も少なくないようです。
そのため、たとえば高血圧を指摘されてカルシウム拮抗薬の処方を受けた患者のなかには、グレープフルーツ(ジュース)だけはこれまでどおり摂り続けたいという人もいるでしょう。

そのような場合は、グレープフルーツジュースを禁止するだけでなく、別のタイプの降圧薬に替えることが可能かどうか処方医に相談してみるのも一法でしょう。
あるいは、同じ柑橘系の果物であっても、バレンシアオレンジやレモン、ユズ、カボス、温州ミカンなどには、問題となるフラノクマリンがほとんど含まれていません。
そのため薬との相互作用は心配ないことを伝え、これらのいずれかの果物やジュースに替えてみてはどうかと提案してみるのもいいでしょう。

ただし、夏ミカン、はっさく、スウィーティーライム、イチジク、ザクロなどでは、フラノクマリンによる相互作用の可能性がゼロではないことから、極力避けた方が安心であることも、忘れずに伝えておきたいものです。

薬の飲み合わせ・食べ合わせリスクについてはこちらの記事も参考にしていただけると思います。
読んでみてください。

高齢患者は一度に複数の診療科を受診し、それぞれから薬の処方を受けることが多い。「今飲んでいる薬」のチェックを励行すればいいのだが、ときにそれを怠り、併用薬の相互作用が思わぬリスクを招くことが。また食品との相性の悪さもあり、注意が必要だ。