看護師が行うリフレクソロジーが好評です

リフレクソロジー

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リフレクソロジーで
患者の笑顔が戻る

先日、とてもいい話を聞くことができました。甥っ子の結婚式で、そろそろ後期高齢者の仲間入りをする叔父と久しぶりに顔を合わせたときのことです。

叔父は慢性腎不全で、3年ほど前から週に3日、自宅から2駅先にある透析クリニックに通い、1回4時間ほどの血液透析を受けています。食事制限も厳しく、相当つらい生活で心身ともに弱っていると聞いていました。

叔母によれば、透析を受けるようになってからの3年の間には、「このまま死んでもいいから透析はもうやめたい」と治療を拒む叔父を、幾度となく説得してきたそうです。

もともと塩っ辛いものが好きだったこともあり、減塩食を嫌って食が進まず、やせ細った時期もあったものの、何とか透析を続けてきたようです。

それが、ここ半年ほどは、治療に関する愚痴めいたことを一切言わなくなり、透析を終えて自宅に戻ってきたときの表情が、とても明るくなったと言うのです。

そう話す叔母の隣でニコニコしている叔父に、「何があったんですか」と尋ねると、叔父は少々得意気な表情でこんな話をしてくれたのです。

「クリニックの看護師さんがね。透析中に足裏のマッサージをしてくれるようになったんだ。それが気持ちよくてね。マッサージをしながら、食事の愚痴を聞いてくれたり、ちょっとしたアドバイスをくれるのもありがたくてね」

「マッサージにアロマオイルっていうのを使っているから、いい香りもして、ずいぶん癒されているんだよ」ともいいますから、アロマセラピーの効果もあるようでした。

緩和ケアや終末期ケアの一環としてアロマセラピーを活用する看護師が増えている。患者や家族からも概して好評だ。だか、アロマオイルのなかには殺菌作用の強いもの、香りにアレルギー反応を招くものもあり、是非科学的エビデンスのある活用を。

リフレクソロジーの
タッチケア効果

叔父が透析中に受けているケアが、最近では医療現場、特に看護の領域で認知度が高まっている「リフレクソロジー(Reflexology)」であることはすぐにわかりました。

リフレクソロジーは、「足裏マッサージ」、あるいは「足ツボマッサージ」と同義語のようにとらえられる節がありますが、正確にはちょっと違うようです。

足裏マッサージや足ツボマッサージは、足裏にあるツボを親指などで指圧して刺激し、気の流れをよくすることを目的に行われるものです。

これに対してリフレクソロジーは、あえて日本語で言えば「反射療法」です。足裏や手のひらに集まっている神経の「反射区」と呼ばれる部分を利用して、そこを押すなどして刺激を与え、血液やリンパの流れをよくしたり新陳代謝を活性化させたりして症状緩和を図り、体調を整えようというケア方法です。

足裏などの「神経のツボ」を刺激するリフレクソロジー

足の裏や手のひらには、末梢神経が網の目のように走っています。その神経の分布には一定の秩序があり、そこには身体の各臓器や器官に直結すると考えられている末梢神経が集中している箇所があります。

神経のツボといってもいいようですが、そこが反射区と呼ばれる部分です。その反射区が描かれた「反射区マップ」を参考に、たとえば胃の調子が悪いときはそのマップ上に「胃」と書かれている部分を刺激してあげると、胃への血流量が増え、リンパの流れもよくなって、症状が和らぎ胃の調子がよくなるといった感じです。

以上は、がんサバイバーであるパートナーの免疫力アップと私自身のセルフケアに役立てたいと考えて受講したリフレクソロジーの通信講座で学んだ知識です。私の場合は2か月ほどかかりましたが、早い人は1か月で全講座を修了できるそうです。

通信講座ですから、自宅で、自分の都合のいい時間に学ぶことができ、スキルを身につけて緩和ケアやリラクゼーションに役立てたいという看護師さんにはおススメです。最近はオンライン講座もあるようです。

看護師さんを悩ます勤務後の足の疲れや浮腫のセルフケアにもいいですよ。

リフレクソロジーによる
タッチング効果

叔父の話を聞いた数日後、取材がきっかけで、以来ずっと親しくさせていただいている訪問看護師のNさんに、このリフレクソロジーの話をしてみました。

すると、「要はタッチング、つまり触れるケア効果よね」と、いとも簡単な、しかし看護の基本をついた説得力のある返事が返ってきました。

「手当て」という言葉があるように、患者さん、とりわけ深刻な病を得て大きな不安と苦悩のなかにいる患者は、何気なく触れる看護師さんの手の温もりを感じるだけで、気持ちがずいぶん楽になるという話はよく耳にします。

とりわけ高齢患者が日に日に増えている看護の現場にあっては、リフレクソロジーのような触れるケアは、看護師さんの笑顔同様に、あらゆる患者さんのこころに届くケアとして、改めて見直されているようです。

授乳中の母親はなんと穏やかな表情をしているのかと感心させられる。その穏やかさに「癒しホルモン」として知られるオキシトシンが大きく影響していることはよく知られている。このオキシトシンとタッチングケアによる癒しにはただならぬ関係があるという話を書いてみた。

看護スキルとしてのリフレクソロジー活用例

そう思って電話やメールで取材してみると、実際にリフレクソロジーを看護スキルとして日常的に活用している看護師さんが少なくないことがわかりました。

■手術への不安を和らげる

ある外科領域の看護師さんは、術前オリエンテーションの際に不安を強く訴える患者に、簡単なリフレクソロジーをしながら手術に関する説明をしたところ、そう時間もかからずに落ち着きを取り戻すことができたと話してくれました。

参考までに彼女は『よくわかる理論と実践 リフレクソロジー』(ガイアブックス)を参考書としてすすめています。

■便秘が長引く患者に

便秘が続いている患者に、腸の反射区を中心にマッサージ刺激を与えるリフレクソロジーを試みたという話もうかがっています。

効果はてきめん、その夕方には「腸がゴロゴロ鳴って、動いている感じがする」との反応があり、その翌日には、「便がたくさん出ました」と笑顔で報告してくれたそうです。

■緩和ケアの領域でも

緩和ケアの領域では、薬ではなかなか対処しきれない倦怠感のような症状の緩和に、リフレクソロジーが役立っているようです。

おそらく活用できる場面はもっとあるのだろうと思います。

現時点では、残念ながら診療報酬の評価対象にはなっていませんが、日々のケアに活用し、その成果をエビデンスとして積み上げていくことで、補完代替医療*の一つとして評価される日もそう遠くないように感じています。

なお、リフレクソロジーをきちんとマスターしたいという方は、日本リフレクソロジスト認定機構(JREC)の公式ホームページ(後掲参考資料*¹)にアクセスしてみてください。

*補完代替医療とは:日本補完代替医療学会は「現代西洋医学領域において、科学的未検証および臨床未応用の医学・医療体型の総称」と定義している。

参考資料*¹:日本リフレクソロジスト認定機構(JREC)公式ホームページ